年中味わえる「穴子ずし丼」や「鯖寿司」は、持ち帰りもOK!!

店をのぞいて満席ならば、テイクアウトもおすすめ。人気の「穴子ずし丼」や「鯖寿司」は、「持ち帰り用に」と注文しておき、引き取りにくればいい。帰りの新幹線やホテルで味わうのも楽しみだし、家族や友人へのお土産にもいい。

「穴子ずし丼」は2,000円。お酒と醤油で煮た穴子はふっくら優しい味わい。

瀬戸内や大阪など近海から届く穴子は、湯通ししてぬめりを取ってから、酒に醤油と砂糖を加えふっくら煮あげる。白ご飯ではなくシャリと合わせることで、よりすっきりした味わいになり、食べ始めると箸が止まらなくなる。

できあがると、さっと炙った海苔を、女将さんが目の前で揉んでかけてくれる。海苔の香ばしい香りがただよって、それだけでお腹が動き出す。夏になると「鱧ずし」のほか、鱧の白焼きなども登場するという。予約をすれば、鱧の炙りなども用意してくれる。

持ち帰り用の「鯖寿司」3,500円。

京名物のひとつともいえる「鯖寿司」も、この店では1本3,500円とお値打ち。上質な鯖を使っているにもかかわらず、こんな値段にできるのは「長年の仕入れルートがあるから」だと女将さん。ほどよく締めた鯖のやわらかな味わいが旨いシャリによく合う。家族へのお土産にと買った客が、新幹線で1貫つまみ、止まらなくなって平らげてしまったというエピソードも。

ここにこの店がある限り通いたい

「いつまで続けられるか」とご主人は言うが、その動きはキビキビとしていかにも楽しげ。店の近くにある自宅で、毎朝6時から数時間かけて仕込みをし、準備万端で店に出るという。開業以来の客もいるし、週に1度か2度、もう何十年も通っている常連もいる。彼らの心にあるのは、ただひとつ。「この店がある限り通いたい」という思いだ。

扉を開けるには、ほんの少し勇気がいるかもしれないが、ぜひ意を決してのぞいてみてほしい。カウンターに座る楽しみを存分に味わえるから。

※価格は税込。

文:中井シノブ 撮影:高嶋克郎