仔羊、スパイス、餃子!? 国境を越えた飲ませる味づくり
「飲みの街」に誕生したイタリアンだけあり、自由度が高いメニュー構成も「PotaLa」ならでは。福田さん曰く「お酒のアテにぴったりの餃子もご用意しています。だけど普通の味だと面白くないから」と考案したのが「仔羊 スパイス餃子 パクチー」。
仔羊ミンチをベースに、五香粉やナツメグなど8種のスパイスを配合したエキゾティックな味わい。そのまま味わうのもよいが、黒酢をちょんっとつけてパクチーと共に頬張れば、中国と中近東がミックスしたような、国境を越えた味の広がりが楽しい!
餃子にはビールが定番だが、ドリンクリストを眺めるほどに、うれしい悩みは尽きない。飲み物を担当する田中さんは「この界隈で飲む大人たちは、ハイボール好きが多くて」と、竹鶴や知多、山崎12年などジャパニーズウイスキーも揃える。さらに「若い世代は、サワーが好きだから」と、レモンサワーは広島産レモンをシロップ漬けするところから。
イタリアを中心に揃えるワインはボトル100種をストックし、グラスは泡・白・赤合わせて10種近く。「日本酒にも手を出そうと思ったのですが、何屋かわからなくなるので我慢」と苦笑する田中さん。曰く「仔羊餃子の複雑なスパイス感は、エキス感の強いオレンジやロゼワインと相性が良いですよ」。
パスタや炭火焼は、イタリアンの基本に忠実に
もちろん骨太なイタリア料理を味わえるのが「PotaLa」の真骨頂だろう。自家製サルシッチャは、島根・石見ポークの肩ロース肉をミンチにするところから。頬張れば、プチッと弾けるとともに、濃厚かつクリアな肉汁が溢れ出る! セージやローズマリーといったハーブや、ナツメグやキャラウェイなど各種スパイスを混ぜ込んでいて、食欲をそそりお酒も進む味わい。しかもジャガイモのピューレは艶やかでいて滑らか。その清々しい風味にも唸るはず。
いっぽう、名イタリアン出身の2人が織りなすパスタも必食。「水とセモリナ粉だけを使いました」と福田さんが話すのが、聞きなれないショートパスタ「ブシャーティ」。シチリアで馴染みのあるパスタで、生地を棒に巻きつけてカールさせたようなユニークな形状。
牛ウデ肉や香味野菜などをじっくり煮込んだ、コクの深いラグーソース実によく絡んでいた。
カウンター6席、テーブル9席のコンパクトな店内。「ワイン1杯だけでもいい?」なんてひとり客もいれば、しっかりとディナーを楽しむ女性同士の姿も。その隣席では、天満市場で働く人たちが、飲み会を開いていたり。幅広い世代のお客さんが、それぞれのシチュエーションで楽しんでいる。
ちょっと奥まった路地裏の落ち着いた立地で、「酒場」と「イタリアン」を掛け合わせたような自由度の高さと、名店仕込みの味づくり。それらのギャップが、界隈で異色の個性を放つ。
※価格はすべて税込