食通が見いだした、今月の新店

新しいお店がどんどん出店し、ますますの盛り上がりを見せる飲食業界。「気になる店が多すぎてどこの店に行ったらいいかわからない!」という人も多いのではないでしょうか。

そこで、グルメ情報に精通している方々に、最近訪れた新店に関するアンケートを実施。特に注目している「今月の新店」について教えていただきました。

今回は、多くのメディアで活躍するフードライター兼フードアナリストの中山秀明さんにお答えいただきます。

教えてくれる人

中山秀明
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

今月のベストワン

Q. 直近で行った新店の中で、特におすすめしたいお店を教えてください

A. 「カレーピンカートン」です

SNSで知ったのがきっかけです。高円寺の間借りカレー店というだけで心惹かれますが、その場所は、日本屈指のハンドポンプクラフトビアパブとして知られる「ビア エンジン」の昼時間帯。聞けば五影壮一郎店主と、カレー&ラーメンフリークである「ピンカートン」の五影圭吾店主が従兄弟とのこと。

そして同店には共同代表に関根康明店主がおり、彼は神保町を代表する老舗カレー店の従業員でもあるのです。とはいえピンカートンのカレーは、その名店とは違う独自のスタイルで、これまた絶品。素材の生かし方やスパイスの利かせ方などに創造性が光るも、アティチュードとしては奇をてらわず、日本人が慣れ親しんだカレーライスで表現している点もお見事です。

「カレー定食 ポーク」1,400円

また、塩豚汁、ポテトサラダ、漬物をセットにした定食スタイルで提供している点にも、日本の食堂へのリスペクトを感じてグッときます。カレーのラインアップはポークとチキンがあり、味はそれぞれかなり異なるアプローチ。金曜(2024年4月からは土曜)の昼のみの営業ですが、運が良ければ夜に「ビア エンジン」で提供することもあるそう。激戦区の高円寺で、今最も注目のカレー店です。

Q. 「カレーピンカートン」でおすすめしたいメニューを教えてください

A. 「カレー定食 ポーク」(1,400円)です

豚のバラとヒレ肉がゴロッと入ったご馳走感が、いきなり心をわしづかみに。カレーソースは、フルーティーな甘みと酸味が主張しながら、まろやかなうまみが支える厚み豊かな味わい。グレイビーなテクスチャーもしっかりあって、やや硬めに炊かれたライス(大盛り無料)との相性も抜群です。

スパイスは、ブラウンマスタードシードとフェンネルがキーで、追いかけてくる爽やかなニュアンスはカルダモンでしょうか。味を構成する各要素のバランスとレイヤー感が絶妙で、サブジの感覚でポテサラによる“味変”を、アチャール代わりに漬物で箸休めを、といった楽しみ方もおすすめです。

「カレー定食 チキン」1,300円

チキンカレーは白味噌、生クリーム、青唐辛子などが隠し味の少々サラッとしたソースで、こちらも美味。+200円でソースの個別オーダーができるので、食べ比べたい人はぜひお試しを。また、同店でのビールはボトルになりますが、「ビア エンジン」で定番の「箕面ビール」のピルスナーを提供。2024年4月からは土曜営業に変わるそうで、これまでなかなか行けなかった人は特に要チェックです。

「箕面ビール ピルスナー」700円

※価格は税込。

写真:中山秀明
文:中山秀明、食べログマガジン編集部

※アンケート内容をもとに、料理名を掲載しています。最新の情報はお店にご確認ください。