朝、昼、夜で表情を変える

まずは、朝8~10時で要予約の「世界一の朝食」(8,600円)を忘れてはならない。ホテルでもいただけるが、朝日とともに、絶好の景色をみながらいただくのはまた格別だ。フランス料理界の重鎮ベルナール・ロワゾー氏より公式に再現を許された「世界一の朝食」だが、日本のエッセンスを取り入れるなど、常に新しく、進化し続けているのが「もう一度食べたい!」となる理由だろう。

写真:神戸北野テラスより
写真:神戸北野テラスより
 

笹岡さん

神戸北野ホテルの「世界一の朝食」を、とびっきりの景色と共に堪能。朝の清々しい空気とともに。レストランから眺める神戸の街が売りですが、エントランスから望む山の景色も美しい。飲むサラダやコンフィチュールは目でも楽しめます。

ランチは、前菜、パスタ、ワゴンデザートのテラスランチ(4,800円)がおすすめ。神戸北野ホテル「アッシュ」で作ったフランス菓子を、食べたいだけ選べるとあって、女性からも好評とのこと。

写真:神戸北野テラスより
写真:神戸北野テラスより

ディナーは8,000円から。未利用魚を楽しめるコースや、ヴィーガンコース(ランチも可能:2024年4月1日より提供を開始)もある。

まずは、ヴィーガンコースから、三宝柑を使った、春らしい前菜。三宝柑とは和歌山生まれの柑橘で、徳川の殿様に献上されたほど、上品で甘みが強いそう。「さらっといただける、ヴィーガンコースの最初のひと皿です。日本料理の柚子豆腐をイメージして作りました」と優貴シェフ。乾燥きのこと野菜のジュに、長芋のピュレ、豆乳を合わせ、カットしたスナップエンドウと長芋を入れて満足感を高めた。パウダーは三宝柑の果肉や果汁を凝縮したもの。

ヴィーガンコースのメイン。椎茸にすりおろしたレンコンを詰めて蒸し、シャンピニオンデュクセル、レンコンチップ、ごぼうを添えた。ソースはキノコ。肉厚な椎茸を頬張れば、驚くほどジューシーで、レンコンチップやごぼうの食感も楽しい。満足度の高いひと品だ。「ヴィーガンといえども、素材をいくつも重ねたら誰でもおいしくできるので、素材を可能な限り減らし、それらの良さをどう引き出すかを考えています」と優貴シェフ。

未利用魚、クロダイのポワレ。自家製の辛くない七味、セミドライトマト、マイクロサラダで華やかに。ソースは菜の花のピュレと魚のジュ。「料理人の多くはマダイを好みますが、クロダイは独特の脂のうまみがありますよ」と優貴シェフ。さらに、山口総料理長は、「未利用魚は規格外などが原因で、おいしくても知られていない魚もあります。多種多様の魚種がいるのは日本ならではなので、料理人にとっては、知らない魚を知る良い機会かもしれません。漁師が獲ってきた魚にきちんと価値をつけることは、小さい運動かもしれませんが、資源保持につながる側面もありますよね」と付け加える。

 

笹岡さん

ルレ・エ・シャトーにも加盟しているオーベルジュ「神戸北野ホテル」のお料理を楽しめます。お肉、パスタ、スープ、スイーツ、何をいただいても満ち足ります。サスティナブルもテーマのひとつだそうです。

また、2階の「アミューズ・バー」では2階が貸し切れるプロポーズプランがあり、1階でコースをいただいた後に2階を貸し切り二人になれる趣向も。

写真:神戸北野テラスより
写真:神戸北野テラスより
 

笹岡さん

食事の前後に、2階の「アミューズ・バー」でグラスシャンパーニュをいただくのも素敵ですよ。

大切な人と過ごす食時間を

「多くの豊かな食材を、四季、いや二十四節気まで配慮して供する日本の食文化を次の世代につなぐのも、ホテルなど企業の使命と考えています。また、何より、食事は大切な人とどこで過ごすかが大事なことを思い出してほしいですね」と山口総料理長。優貴シェフも「自分と同じ若い世代の人が、特別な人との時間を過ごすために、ここに来てほしいです」とつけ加えた。

※価格は税・サービス料込。

撮影:東谷幸一
文:木佐貫久代