本連載のナビゲーター、肉バカの小池克臣さん

小池克臣が推す「予約困難予備軍」の焼肉店

巷には「予約困難」な焼肉店がたくさん存在している。口コミやメディアへの掲載など、予約困難となる要因はさまざまだ。本連載では肉バカ・小池克臣さんに早めに押さえておくべき「予約困難予備軍」の焼肉店を焼き方のポイントとともに教えてもらう。

教えてくれる人

小池克臣
横浜の魚屋の長男として生まれるも、家業を継がずに、外で、家で、肉を焼く日々を送る。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、ほぼ毎晩、牛三昧。その様子をInstagramYouTubeで発信中。著書に『肉バカ。No Meat, No Life.を実践する男が語る和牛の至福』(集英社刊)。公式ブログ「No Meat, No Life.」。

八丁畷駅からすぐ! 飲食店が軒を連ねる、なわて横丁にある名店

本連載の第6回に訪れるのは、川崎駅の近隣に位置する八丁畷。川崎にはレベルの高いコアな焼肉店が多いと聞くが「とにかく楽しくて、ちょっとほかにはないユニークなお店があります!」と、小池さんが推す焼肉店へ伺った。

駅前すぐに出現するローカルな雰囲気の“なわて横丁”。昔ながらの精肉店や飲食店、スナックなどが立ち並ぶ小路を少し進むとその店はあった
“焼肉”の文字があるちょうちんと赤いオーニングが目印

2021年にオープンした同店は、黒毛和牛のみを取り扱い、ワンオペで店主が炭火で丁寧に焼いて供するスタイル。基本的にメニューはなく、オーダーはおまかせ制。予約は、初回はインスタのDMから、2回目以降はLINEでやり取りするシステム。予約時に予算や食べたい部位などを相談しつつおまかせに委ねるが、常連になると〆までカスタムするなど好きなスタイルで楽しめる。「焼肉はご馳走だから、いろんな部位をひと切れずつ、自由に楽しんで欲しい」とのコンセプトを掲げる。価格は、1人6,000~10,000円が目安(ドリンク別途)。

店主の声も目も届く、靴を脱ぐ小上がりのテーブル2席(~12名)と、焼き場の目の前のカウンター席(3~4名)の小さなお店。来訪した著名人たちのサインが壁にたくさん書かれている
 

小池さん

SNSで見て気になっていて、内臓卸業者の知人に誘われてお店に伺いました。店名もユニークだし、お肉を重ねた映え写真が多かったので、実は内心、チャラいお店なのかなと思っていました(スミマセン!笑)。でも肉に対する真摯な姿勢と、楽しんでもらいたいとの熱量が衝撃的すぎて。いい意味で裏切られました。僕は何百軒と焼肉を食べていますが、焼きを完全に委ねて任せられるのは、本当に希少で4軒くらいしかなくて……。こちらは焼いてもらいたいと思える一軒になりました。

川崎名物!? 癖の強い店主の素性とは?

オーナーシェフ・郭テヨンさん 47歳

「エンジョーーーーイ!」とパワフルな声で底抜けに明るいテンションと金髪ルックにまず驚く、オーナーシェフの郭テヨンさんは、焼肉店「韓の台所」グループ出身。渋谷店をはじめ、20年ほど経験を積んだ経歴を持つ。「SATOブリアン」店主・佐藤さんも同グループ出身で、同じ時代を切磋琢磨したビジネスメンバーだ。道玄坂「ヤキニクバル 韓の台所 カドチカ店」や、ハワイ・カカアコ店の立ち上げに関わったあと、自分のやりたいことを小さいお店で追求するために、日本へ戻り独立。都心ほど高くない、奥様の地元である川崎の地で開業に至った。

韓国にルーツを持つテヨンさんはハワイにいたこともあり、ただならぬ陽気な個性とハッピーオーラが全開。とにかくいいお肉でお客様を喜ばせたい!をモットーに、エンタメ要素強めな焼肉劇場が開幕される。料理上手な祖母から受け継いだ自家製果実酒がずらりと並ぶ焼き場(厨房)の窓から、次々と焼肉が配される。うま味調味料や胡椒は使わず、赤身肉に合うように塩は炒って削って自ら作るこだわりようだ。

 

小池さん

とにかくテヨンさんのキャラに圧倒され、全力で味わい楽しんで欲しいとの思いが伝わってきます。でも肉に対しては勉強熱心だし、真面目で真剣なので、そのギャップに驚きました。見た目に美しい肉塊がドーンと重ねて出される、圧巻のパフォーマンスから始まり、おまかせスタイルなので終始ワクワクが止まりません。そんなお店ってなかなかない! 自信がないとできないですよね。