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ファッション誌『mer』や『mina』などで活躍するモデルでありながら、豪快な飲み方がなんとも男らしい! お酒好きを公言するモデル・村田倫子が、気になる飲み屋をパトロールをする連載。
そんな飲み道楽な彼女が、「同世代の人にもっと外食、外飲みを楽しんで欲しい!」と願いを込めてお送りする今回は、東京・高円寺にあるスパイス料理とお酒を楽しめるお店を紹介。
呑み屋パトロール vol.7「ピピネラ」
高円寺。私の好きな場所。
音楽、ファッション、フード、様々なカルチャーが入り混じり、粋な呑み屋も多く軒を連ね、一度住んだら抜け出せないという噂の魅惑の地。
実は、カレーもホットなスポットなのはご存じですか? 名店が多く立ち並び、実は私、先週もカレーを食べにこの地に降り立っています。カレー愛が溢れて仕方なく、別媒体でカレー連載もしている私にとって、ここは聖地とも言えるパワースポットなわけです。
今夜はその中でも、カレー好きからのラブコールが数々あがる「ピピネラ」へ。
“スパイス料理とお酒を楽しむ店「ピピネラ」”。あぁ……好きと好きがコラボしている。門構えから私を満たしてくれる予感がします。
暖かなライトが溢れるガラス戸を開けてお邪魔します! 扉を開けた途端、スパイスを纏う空気が鼻腔をくすぐる……。
広々とした店内は、ウッディーなインテリアを基調としたゆったりと温かい雰囲気。一人でふらっと立ち寄る女性のお客さんも多いそうです。
「ドリトル先生と緑のカナリア」に登場するカナリアの名前からとった「ピピネラ」。お店の棚にはルーツである「ドリトル先生シリーズ」がずらり。
そんな温もりも愛しいですね、ほっこり。
まずはスリランカのビールで乾杯!
ひとまず乾杯はビールでしょ! とオーダーしたのは、スリランカのビール「ライオンラガー」800円。
スリランカのビールを日本でも堪能できるなんて……。初めての遭遇にテンション上がります!!!
クゥ……。南の島のビールが、喉をつるりと通り身体に沁み渡る。爽やかなパンチ……。美味しい!
全部食べたい…スパイシーな一品料理もメニュー豊富!
乾杯のお供に頼んだのは、カリフラワー・人参のアチャール、マサラカシューの「本日の3種盛り」800円(単品300円)。アチャールとは、野菜や果物を使ったピクルスのことで、インドの漬物です。
酸味に合わさるスパイスの芳香と刺激が、ビールを運ぶ手に拍車をかける。あっさり爽やかなのに、どこか奥深い……。これぞスパイスの魅力。
ちょうど良い小鉢に身を寄せ合うのは「鶏レバーのスパイス煮 」600円。
スパイスがレバー特有の風味を生かしつつ、その旨味を相乗させる。これは、レバー苦手な人でも新しい発見があるのでは?! まったりとろける身の余韻に浸りながら、いただくお酒は格別です。
レシピはスリランカのお友達に教わった本場の味だとか。いつものレバーとは一味違うことに、舌も喜んでます。
魚介系も楽しみたくて、頼んだこちらは「牡蠣のアンブルティヤル、オイル漬けのクラッカー添え」700円。
アンブルティヤルとは、スリランカのスパイス保存食。ゴラカという酸味のあるスパイスと黒コショウでキュッとおめかしした牡蠣さんも素敵です(これがまたお酒に合うのよ…)。
あっさり系にもがっつり系にもうまく寄り添い、その子のスペックをそっと見つけ引き出してくれるスパイス。使い方次第で、メインにもサポートにも立ち回るその柔軟性。知れば知るほど魅力的です。
ビールはもちろん、自家製果実酒も!色んなアルコールが楽しめる!
お酒のメニューも、豊富なピピネラ。ビールに始まり、ウイスキー、カクテル、ワイン、焼酎、日本酒、梅酒まで……あら、ほとんど楽しめますね。
スパイス料理のお店で日本酒が置いてあるとは予想外だったので、嬉しくてついオーダーしちゃいました。
なんと「高円寺」500円という銘柄……。二度嬉しい。
しかもこんな、なみなみ注がれてきましたよ。ウヘヘ。
オーナーのタケイ・E・サカエさんは大のお酒好き。なるほど、この豊富なラインナップも頷けます。
お酒もスパイスもこよなく愛する彼女が、お酒のお供に「食べたい」という思いの熱量を形にしたメニューは、説得力しかない。そりゃ、こんなにお酒が進むわけです。
なんと果実酒は愛情たっぷりの自家製。桃、スモモ、ビワ、ナシ、ミカン、グレープフルーツ……。誘惑が多いぞ!
女性に人気という「キャラメルバナナ、ラッシー割」800円をオーダー。美味しいと美味しいの掛け合わせ。異論なし、すこぶる美味しい!!!!
お手製で仕込んであるためか、甘さはくどすぎず丁度良い。ラッシーの酸味と溶け合ってスパイス料理にマッチする。お酒ということを忘れてしまいそうなフレーバーです。
待ってました!本日の主役“まるで宇宙”なプレートが登場
さぁて、来ました。私の愛してやまないカレー様。「スリランカプレート 」1,500円。
思わず喉が鳴る。
どうです? この可愛らしい彩り豊かなプレート! これはカレーなの?と思わず首を傾げてしまいますよね。スリランカでは、数種類のカレーと副菜が一皿にのっているスタイルが一般的なのです。
この日のメニューは、エビカレー、豆カレー、菜の花のココナッツ炒め、人参のココナッツ煮、トマトのカレー、かぼちゃのカレー、ヤーコンのスパイス炒め、ココナッツのふりかけ、揚げ菓子。こんなに大ボリュームで1,500円なんてお得感も満載ですよ!(しかも健康的)
まずは一口、その子達のそれぞれの味の個性を楽しんだ後は、自分の好きな組み合わせで混ぜ合わせていきます。
この一皿が自分だけのカレーパレット。スプーンで口に運ぶたびに違った味が楽しめる、無限わくわくカレーなんです!!!! つまり一生おいしい!(お店のメニューには宇宙!と記載されていました。たしか…)
懐かしさの秘密はスリランカと日本に共通する料理文化にアリ!
知らない土地のカレー。なのに、口に広がる「美味しい」はどことなく懐かしい。この既視感は、スリランカの文化にヒントがあります。
スリランカは、モルディブフィッシュという鰹節のようなものを料理に使います。つまり日本の鰹だしという文化との共通点が、私たちの味覚に新しくも懐かしいノスタルジーな感覚を運んでくるのです。
目で見て楽しい、お口も幸せ良いことずくめのスリランカカレー。私自身、春にスリランカ旅行を計画しているほど、すっかりこの魔力に魅了されています(たくさんカレーを食べる予定)。
ヘルシーで油も少ないため、気づくと大きなプレートもペロリ。食後に「ラムチャイ」800円をホットで。
チャイのカクテルをホットで飲めるのは珍しい。ラムのフレーバーとチャイの温かさにほっこり今夜の余韻に浸ります。
一振りでくるっと料理の表情を引き出すスパイスマジック。たまには、スパイスの香りを堪能して、お腹も心もホクホクさせてみてはいかがですか?
カレーでお酒を楽しむカルチャー。どんどん浸透してほしいなあ。
取材・文:村田倫子