〈秘密の自腹寿司〉

高級寿司の価格は3~5万円が当たり前になり、以前にも増してハードルの高いものに。一方で、最近は高級店のカジュアルラインの立ち食い寿司が人気だったり、昔からの町寿司が見直され始めたりしている。本企画では、食通が行きつけにしている町寿司や普段使いしている立ち食い寿司など、カジュアルな寿司店を紹介してもらう。

教えてくれる人

笹岡 隆甫
1974年京都生まれ。京都大学工学部建築学科卒業。舞台芸術としてのいけばなの可能性を追求し、日本-スイス 国交樹立150周年記念式典をはじめ、海外での公式行事でも、いけばなパフォーマンスを披露。2016年には、G7伊勢志摩サミットの会場装花を担当した。主著に『いけばな―知性で愛でる日本の美―』(新潮新書)。

大阪・難波の路地裏にひっそり佇む、カウンター6席だけの狭き門

大阪メトロなんば駅13番出口を出て徒歩数分。店先に看板はないので、迷うお客さんも多い

大阪・ミナミに「座ウラ」と呼ばれるエリアがある。旧・新歌舞伎座の裏側に広がる、小さな飲食店がひしめき合う飲み屋街だ。
この路地裏にある雑居ビルのどんつき(一番奥)にある、寿司の名店が「墨や」。
予約は数カ月待ち、いや半年待ちとも言われる、カウンター6席だけの店だ。

 

笹岡さん

前々から評判を聞いていて、知人にお願いしてお連れいただきました。それでも数カ月待ち。

看板はなく、店先の蛍光灯に書かれた店名が目印

店は2017年オープン。“のりちゃん”の愛称で親しまれている、店主の村上範子さんは、仕込みから料理、にぎり、サービスに至るまで、一人で切り盛りするスーパー女性寿司職人。