【肉、最前線!】

数多のメディアで、肉を主戦場に執筆している“肉食フードライター”小寺慶子さん。「人生最後の日に食べたいのはもちろん肉」と豪語する彼女が、食べ方や調理法、酒との相性など、肉の新たな可能性を肉愛たっぷりに探っていく。奥深きNEW MEAT WORLDへ、いざ行かん!

 

前回より短期集中で関西編を全3回にてお届け。関西編第2回は、肉愛とパン愛に溢れる京都に誕生した、世界レベルのハンバーガー店に迫る。

Vol.18 脳天痺れるご当地バーガー!肉と京都編②

京都の人はパン好きだ。街を歩けばいたるところにベーカリーショップがあり、かつてはパンの消費量で日本一になったこともある。

 

そして、京都の人は牛肉が好きだ。近江、松阪、飛騨、神戸と近隣の県は世界的に有名な銘柄牛の産地として知られており、2016年には、牛肉消費量ランキング1位に輝いている。

 

ならば、パンを使ったバンズと牛肉で作るパティを組み合わせたハンバーガーの実力も相当すごいに違いないと探した結果、見つけたのが「ドラゴンバーガー」だ。

柚子胡椒バーガー1,200円(単品)

 

京都を代表する観光スポット、伏見稲荷大社から電車で2駅。東福寺駅で降りてすぐの古民家は、ハンバーガーショップらしからぬ情緒ある雰囲気だ。引き寄せられるように店に入り、メニューを見てさらにびっくり。

 

柚子胡椒バーガーにわさびバーガー、さらにはサムライバーガーと、よそではあまり見かけないユニークなラインアップ。看板メニューのドラゴンバーガーは6mmの粗挽き牛肉にチーズやレタス、胡瓜の京漬物をトッピングした独創的な一品。

サムライバーガー1,200円(単品)

 

和風を謳うハンバーガーは世の中に数あるが、オリジナルのわさびソースに和がらしやわかめ、九条ネギをはさみ“和”を全面に押し出しているのはめずらしい。サムライバーガーにいたっては、万願寺唐辛子が刀のように左右に飛び出し、ビジュアルインパクトもかなり強い。

 

この規格外なご当地バーガーの生みの親は、ロンドンで開催された「Young British Foodies Chef Of The Year」でシェフ・オブ・ザ・イヤーに輝いた経歴を持つアダム・ローソンさん。

 

アダムさんは、「スライダーディサイダー」というミニバーガーコンテストで2年連続で優勝した“バーガー・キング”でもある。そのスターシェフがメニュー考案したハンバーガーを食べられるのは日本でここだけとあって、熱烈なバーガーファンのあいだでも大きな話題になっている。

わさびバーガー1,100円(単品)

 

余分な脂を落としながら焼くパティは肉の旨みが濃く、京都の食材が個性的なアクセントを添える。ピクルスがわりの漬け物は酸味がマイルドで軽快な食感も小気味よい。

 

サムライバーガーには万願寺唐辛子に加え、ハバネロの10倍の辛さと言われるジョロキアソースを使用しており、京都の“はんなり”したイメージを裏切る辛さに脳天が痺れる。ブリオッシュタイプのバンズはもっちりした食感でほんのりと甘みがあり、具材のホールド感も上々。肉肉しいパティとの相性もいい。

 

パン好き、肉好きの京都人だけではなく、食べた人を虜にするご当地バーガー。京都に行った際は、ぜひ足を運んでみて欲しい。

 

 

写真:富澤 元
取材・文:小寺慶子