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〈食べログ3.5以下のうまい店〉
巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!
食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。
食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。
点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。
そこで、グルメに精通したあの人にお願いして、まだまだ知られていないとっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、大阪在住のライター・猫田しげるさんが、ネットに全く出てこない神戸・新開地の穴場すぎる韓国料理店をご紹介。
教えてくれる人
猫田しげる
20年以上、グルメ誌、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。各地を転々とした挙句、現在は関西在住。「FRIDAYデジタル」「あまから手帖」「旅の手帖」(手帖好き?)などで記事執筆。めったに更新しない猫田しげるの食ブログ 「クセの強い店が好きだ!」。
開店して5年なのに、ネットに全く出てこない。隠れ過ぎやろ~!
神戸駅の西の方、新開地というエリア。福原という花街があったり、競艇の馬券場があったり、昼から開いてる居酒屋が多かったりと、私好みのディープな街であります。
その新開地から湊川公園に向かう坂の途中にある「金の家」。屋台居酒屋と謎のフレーズが書かれていますが、なんのことはない韓国料理店です。店構えからも想像がつく通り、非常にリーズナブルです。
2019年にオープンし、約5年も営業しているのに、ネットに情報が全く出てこない(笑)。食べログに登録されたのもつい最近です。しかも以前は「承振」という店名で営業しており、その歴史を含めるとここに8年も店を構えていることになります。
お客さんは常連ばかりで、しかも韓国人の2世や3世が多いとのこと。なぜネットに出ないし食べログにも投稿されないのか、その理由は明白。「ネットに投稿する客層ではないから」なんですね。
猫田さん
若い方や遠方の方はわりと訪れた店の情報をアップしますが、身近すぎる店だと「今更なあ……」となりますよね。あとこの辺は韓国、ベトナムの店が多く「いつも現地の人で賑わっているのにネットに出てこない店」が結構あります。
店主の池さんは料理人一家のサラブレッド!
店主の池蒋さんは韓国人。母上も料理店を経営、お姉様も中国人の夫と一緒に神戸元町で中華料理店を営んでいるという料理人一家です。
5年前にリニューアルした理由は「もっと良い素材を使って料理のクオリティを上げたかった」とのこと。その言葉通り食材は肉も魚も国産のものを厳選し、調味料などは韓国から取り寄せて本場の味を忠実に再現しています。
パーティー盛りみたいな「蒸し豚」
メニューは豊富で、キムチや冷麺、揚げ物に鍋などざっと60種以上はあります。まず前菜代わりに食べて欲しい一品は「蒸し豚」。結構巨大な皿に分厚い豚バラが10枚ほど。キムチやらナムルやらネギやらも添えられ、いきなりパーティー始まっちゃいそうなアゲアゲな一皿です。
食べ方はフリーダム! 豚肉にナムルをのっけて甘辛いチョジャンをつけてチシャで包んでもよし、豚肉単体でも全のせしてもよし。何通りも楽しめるわけです。
猫田さん
チョジャンも自家製で、コチュジャンに酢、水飴、ニンニク、ショウガ、一味、隠し味にカレー粉を加えて作っています!
「豚肉は国産。柔らかさが違います」と池さん。丁寧に下処理するので臭みがなく、大量に蒸すために肉にしっかり旨みが染み込んでいます。家で作ってもこうはならないよなー。
カリッサクッジュワッ! 自家製ダレが決め手の「ヤンニョムチキン」
次は「ヤンニョムチキン」。揚げた鶏肉に甘辛ソースをたっぷり絡めたアレです。新大久保や鶴橋のコリアンタウンでもよく見かける料理ですね。
どのお店でも基本、コチュジャンにケチャップなどを混ぜて作るのですが、やはり決め手はこのタレの味。市販のヤンニョムダレとは味の複雑さが違います。
池さんオリジナルのヤンニョムはニンニクががっつり利いており、後を引く辛さ! 唐揚げは片栗粉と天ぷら粉を独自の配合でブレンドした衣なので、クリスピーでサクッジュワッと口の中で弾けます。
猫田さん
ちなみに「ヤンニョム」は「薬念」と書くのですが、一つの調味料を指すのではなく韓国料理の「タレ」「薬味」を意味する場合もあるそうです!