「体を引き締めるために食生活を節制したくない。」と断言する、大女優の好物とは。さらに幼少期の楽しみがチョコレートだったことも発覚!

 

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音楽界のレジェンド、THE BLUE HEARTSの名曲を自由な解釈で映像化した6編が集結した『ブルーハーツが聴こえる』。うち1編の『ハンマー(48億のブルース)』で尾野真千子さんが演じた後藤一希は、同棲中の彼氏の浮気現場を目撃してしまうが――。

 

一希と同じような目にあったら

もし私に同じ事態が降り掛かったら、一希と同じようにその場をやり過ごして見て見ぬふりをするでしょうね。本音では浮気した相手のために家事なんてしたくはありませんけど、具体的な話が出るまでは、やるべきことはしっかりとこなします。

 

「あなたは知られていないと思っているでしょうけど、知っているのよ、私は。」という雰囲気をにおわせるために、会話の所々に毒を盛りながら、ですけど(笑)。

 

私のその対応に彼が少しでも動揺したら、「あなたさ……。」って、お説教タイムを始めてしまうかもしれません。

 

話が具体化するまでは、相手を泳がせる。私だけではなく同じように考える女性はいると思いますよ。自分から話を切り出せば、その場で別れ話に発展してしまうかもしれないじゃないですか。

 

簡単に別れたくないからこそ、相手がどう出るかを見てから反応を決めたいんです。

 

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ただ私は一希のように、おみそ汁、ご飯、焼き鮭、卵焼き、お漬物、焼きのり、梅干しといった、体にいい和食を用意してあげられるかどうかは、自信がありません。和食、大好きですけどね。

 

特に大好きな和食が、おにぎりとおみそ汁。体を温めたくて、この取材の前にもおみそ汁を飲みました。具の好みは特に決まっていなくて、自炊するときは豚汁を作ることが多いですね。

 

おにぎりは、仕事へ行く前に自分で握って食べることもありますし、コンビニで買ってから現場に入る日もあります。

 

コンビニで売っているやや大きめの、手作り感に溢れたおにぎりが大好きで、あのおにぎりばかり買っていた時期もありました。誰かに握ってもらったおにぎりを食べると、心が和むんです。

 

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幼い頃の大好物はチョコレート

18歳で上京するまでは、一番近いご近所が山をひとつ越えた幼なじみの家という、奈良県の山奥に住んでいました。大自然の中に私の実家がポツンと1軒立っている環境で育ったので、幼い頃のおやつはセリやイタドリ、ワラビやゼンマイといった道端に生えている野草や野いちご。

 

スーパーは車じゃないと行けない上に、当時専業主婦をしていた母は運転免許を持っていなかったため、遠出する手段がなかったんです。免許を所持している父は昼間、仕事で不在ですから、手近な食材をおやつにして食欲を満たしていたんです。

 

母がおやつを作ってくれる日もありましたけど、父と母と私たち4姉妹、6人分の食事作りもしなければいけなかったので、毎日というわけにはいきません。だからこそ、私たち姉妹が楽しみにしていたのが、週に一度来る移動スーパー。

 

お小遣いを100円、手渡されて買っていたのが、チョコレート菓子です。市販のおやつなんて普段は食べられませんし、野草や野いちごでは味わえない、あのチョコレートの糖分に魅了されて、毎回必ず買っていました。

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でも私、好物は先に食べるタイプなのでチョコレート菓子も買ったその場で食べきってしまっていたんです。長女は残しておくタイプだったので、「いいなあ~、少し分けてよ。」と、よくお願いしていました。

 

幼い頃は市販のおやつを食べる機会が少なかった以外に、外食ができる日もお正月とお盆だけ。母方の実家へ里帰りをするときに外食をして、お洋服を1枚買ってもらうというのが年に2回だけの最高のぜいたくでした。

 

だから日常生活では母の味で育ってきたんですけど、いまでもたまに食べたくなるのが母の作るおみそ汁。作り方を教わっていないので、姉妹全員見よう見まねで「こんな味だったよね? でも、あの味は出せないよね。」なんて言いながら、試行錯誤しながら作っています。

 

日頃の食生活

食べることが大好きだから、体を引き締めるために食生活を節制しようとは考えたことがありません。エベレストに登る撮影のとき、キャストの皆さんは痩せて下山したのに私は3キロほど太りました(笑)。

 

今は外食の頻度が増えている時期で、マネージャーさんやスタッフさんと大勢で食事に行く機会が多いですね。オフの日の夜ご飯は、夫にお願いして美味しいお店に連れて行ってもらったりもしています。

 

食事のお供は、焼酎の緑茶割り。仲の良い仕事の関係者と食事に行くと、私がオーダーする前にテーブルに出てきます(笑)

 

お酒は好きですけど、すごく強いわけでも弱いわけでもなく、酔うと普段以上によく笑い、よくしゃべります。基本的に楽しいお酒です。

 

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生涯最期に食べたい一品

できれば死ぬまで女優を続けたいんです。年を取ってヨボヨボになったとしても、体の自由が利く限りは女優でいたい。

 

その場にいるだけで“味”を醸し出すような老女優になれたらいいなと思う一方で、できるだけ(年齢より見た目が)若くありたいな、と思うときもありますけどね(笑)。

 

ただそれって数十年後の話ですから、その日の「生涯最期の一品」をいまは想像できなくて。いま死ぬとしたら、と考えると……ものすごく高価なメロン! 母の手料理を食べてから死にたいとも考えましたけど、いまこの瞬間と聞かれたら、メロンを選びます。

 

でも、どうしましょう。メロン、母の手料理、ラーメン、牛肉の定食、ウニのクリームパスタ……食べることが大好きだから、次から次へと頭に浮かんできました。すみません、一品に絞れません(笑)。

 

食べたいメニューすべてをテーブルから溢れんばかりに並べて完食して、満足してから死にたいですね。

 

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作品に関して

「2~3年前から音楽とお芝居が融合した作品に出てみたかった。」と尾野さんが語る本作は、キャスト全員の絶妙な掛け合いが見どころ。萩原みのりさんと伊藤沙莉さんの息ぴったりで芸人さながらのボケとツッコミには、本職の東京03 角田晃広さんも舌を巻いたそうです。

 

尾野さんは「あの3人に付いていくのに必死でした。」と語っていましたが、そこはやはり実力ある大女優。公園で4人が集うシーンや、工房で尾野さん演じる一希がキレかかる芝居は、大笑いさせてくれます。

 

一希の28歳という年齢は、仕事や恋愛でハンマーを持ち出したくなる日もある、葛藤するお年頃。尾野さんは「過去を断ち切りたいときや、次のステップに進む前には、物を思い切り壊す過程を経てもいいのかもしれませんね。個人的にはもったいない気持ちが勝ってしまってできないかもしれませんけど。」とおっしゃっていました。

 

撮影に入る前に曲を聴き直したのではなく、「(カラオケで)歌い直しました!(笑)」と尾野さんが語っていた映画『ブルーハーツが聴こえる』は、4月8日より全国公開。

 

写真/Hiro Kimura @W