定食王が今日も行く! Vol.31

牛肉らしさ満点の定食が看板メニュー!新興エリアでがんばる老舗大衆食堂

 

昭和23年創業、70年間地元に

愛されてきた肉屋直営の大衆食堂

 

豊洲というと、最近ではタワーマンションが多く建ち並び、芸能人やセレブなどが住む新興住宅街になり、今では住みたい街の人気ランキングの上位に食い込むほど。元々は大正12年の関東大震災のがれき処理によりできた埋立地で、造船所があり、そこで働く労働者で賑わう土地だったそうだ。

 

そんな場所で昭和23年から、工場の労働者や地元の人々の憩いの地になっていたのが、今回紹介する「いちむら」だ。この向かいにはセブンイレブンの国内1号店があることでも知られる。1階は精肉店として肉や、ヒレカツやメンチカツ、肉団子、レバカツなどお惣菜を販売している。2階は大衆食堂として、1階の肉屋が仕入れた新鮮なお肉をふんだんに使ったボリューム満点の定食を食べることができる。

 

定食メニューには30種類を超えるバリエーションがあるが、もちろんこの店の売りは牛肉を使った牛ステーキ、牛カツ、牛の生姜焼き定食だ。

 

定食の中ではやや値段が張るが、店頭から「牛・牛・牛」と牛推しなのがうかがえる。

 

 

流行りものには負けない牛カツ!

その分厚さはもはや揚げステーキ

 

最近、流行の牛カツだが、「いちむら」のものはスケールが異なる。その厚みや肉肉しさなどもはやステーキを揚げた!と言っても過言ではない。

 

衣は薄めでやや赤味が残るレアな仕上がりで、赤身肉を食べているどっしりとした満足感は残りながら、柔らかい! 付け合わせのサラダとスパゲティも、昭和の食堂の香りを漂わせており、とってもボリューミーだ。

 

上からたっぷりのデミグラスソースがかかっているが、そこまで濃厚ではないので、肉の味をしっかり味わうことができる。サクサクした衣も薄いので、中の牛肉の柔らかさを引き立ててくれている。文字通り、ステーキを食べているような満足感を味わえる牛カツは、最近流行りのお上品なものとは一線を画す仕上がりだ。

 

ハンバーグを丸々揚げたメンチと

隠れた名品!牛の生姜焼き

 

この店の看板メニューのひとつと言われるのが、わらじサイズのメンチカツ! 実はこれ、ハンバーグに衣をつけて揚げているのだとか。その揚げ色はキツネ色より濃いダークブラウン。サクサクというより、ザクザクの衣を切り分けると、ホロホロと切れるほど、繊細なパティが現れ肉汁がじゅわっと溢れ出す。口の中に入れると、粗挽きのお肉の旨味と、玉ねぎの甘さが口の中に広がる最高のコンビネーションだ!

 

そして、こちらが自分のお気に入りでもある隠れた名品、「牛の生姜焼き」だ。200gの牛ロースという肉厚な見た目はほぼステーキだが、驚くほど柔らかく仕上がっている。生姜醤油の甘辛い味付けは、ご飯が進んで仕方がない。牛の柔らかさとほどよい甘さが癖になる、癒やし系の名品なのだ。

 

セレブやハイソなエリアになりつつある豊洲で、昔ながらの味や品質を守り続けている「いちむら」。最近ではタワーマンションへのパーティ需要も高まり、お惣菜の宅配などもしているそうだ。ショッピングモールなど豊洲に行った際にはぜひその老舗の味を堪能してほしい。