【第3週のカレーとスパイス】気軽に電車でも行ける! 埼玉の隠れたスリランカ料理の名店「ラジャラタ」が駅近に2号店をオープン

埼玉・所沢のスリランカ料理店「ラジャラタ」。航空公園駅から歩くと20分少々かかるような位置にあり、車がないと行きにくいということもあってマニアでもなかなかたどり着きにくいお店ですが、本格的なスリランカ料理を楽しめる隠れた名店だと思っています。

そんなラジャラタが隣駅の新所沢駅のすぐ近くに2号店をオープンさせたと聞いて行ってきました。お話を聞いてみると「本店では、スリランカカレープレートがメインのランチに加えて、夜はスリランカ料理をつまみにお酒も楽しんでほしいのですが、車じゃないと行きにくいこともあってなかなかお酒の提供が難しく、駅近のお店を出すことによってお酒と一緒に楽しんでいただくなど、よりスリランカ料理を身近に感じてもらえたらと考えて新しくお店を出しました」とのことでした。

夜も気になりますが今回行ったのはお昼なのでお昼のメニューをご紹介します。小さなお店ですが明るくて開放感があり、入りやすい雰囲気です。

ランチのBセット

いただいたのはランチのBセット+セイロンミルクティー(1,600円)。Aがチキンカレー、Bがポークカレーのワンプレートとなっており、パリップ(豆カレー)、日替わりの野菜カレーが2種、ポルサンボル(スリランカのココナッツふりかけ)、カトレット(スリランカのフィッシュコロッケ)が彩り良くご飯の周りを囲み、ご飯の上にはバナナの蕾のふりかけがあしらわれ、別皿でサラダ、パパダン(豆せんべい)、メインの肉カレーがつく豪華なランチです。

この日の野菜カレーが、鮮やかなビーツと四葉きゅうりのカレーという面白い組み合わせ。カレーと言ってもそれぞれ優しい味わいで、メインの肉カレーと合わせて混ぜながら食べることによっておいしさが増していく名脇役です。

ポークカレーは程よいスモーキー感とスパイシー感で豚のうま味と甘味を感じられ、サラッとした口当たりなので他のカレーやおかずともよく馴染みます。バナナの蕾のふりかけが甘辛くて良いアクセントとなっており、このお店の個性が感じられるのが良いですね。

セイロンミルクティーとワタラッパン

食後に紅茶の産地としても有名なスリランカのセイロンミルクティーを。せっかくですから「ワタラッパン」400円も合わせましょう。ワタラッパンとはスリランカのココナッツプリン的な料理なのですが、サトウキビやヤシ由来のナチュラルな甘さと香りが心地よく口内に広がり、幸せな気持ちになれます。

穏やかに香る紅茶との相性も抜群。やはりおいしいカレーの後に食べるおいしいスイーツは最高です。インドやスリランカのミルクティーはホットの方が良い香りとなるので、暑い日でもホットがおすすめ。その分、店内は涼しい温度になっています。

お店を切り盛りするのはスリランカ人女性でしたが、日本語が堪能なので慣れていない方が一人で行っても安心。所沢エリアでスリランカ料理入門編としてはもってこいのお店です。スリランカは暑い島国。今年の夏は暑い日が続きますが、だからこそスリランカ料理が特においしく感じられるとも言えます。

本店、そして新所沢の2号店、さらにはイベントやキッチンカー出店も勢力的に展開しているお店。昼はカレー、夜はコットゥやエッグホッパーと共にスリランカのビールを楽しむも良し。いずれにしてもスリランカ料理ファン、そして所沢のスパイス料理ファンは要チェックですよ!

【第4週のカレーとスパイス】夏はスパイシーな羊料理がうまい! 元祖・ひつじやが四谷の地で完全復活「元祖Bistroひつじや」

まだ東京において羊肉を食べることが一般的ではなかった30年以上前に代々木でスタートし、羊のみならず各国料理が充実したメニューの数々で、羊好きにも、お酒好きにも、スパイス料理好きにも愛され、都内各地に店舗数を増やしていた「ひつじや」。

僕もそのファンであり、各地のひつじやで飲食を楽しんでいてそれぞれ人気もあったように感じていたのですが、突然の全店舗閉店。驚きと悲しみを感じていたのですが、四谷の地で「元祖Bistroひつじや」としてこの度完全復活しました! めでたい! うれしい!

その経緯や「元祖」がついたことなど気になることが多いのですが、それは最後にまとめるとして、まずはその魅力的な料理からご紹介しましょう。

「ひつじのレアステーキ」

最初は名物の「ひつじのレアステーキ」770円(Sサイズ)から。ほぼ刺身と言っても差し支えないようなレア加減。まわりにほんの少し火が入ることによって羊の味の輪郭がより感じられます。羊肉というと苦手なイメージを持っている方も少なくないと思いますが、ここの羊はそのイメージをくつがえす嫌味のないフレッシュな味わいで肉質の良さを堪能できます。

「セルティア」

続いてブリックと呼ばれる「チュニジアのぎょうざ」780円をチュニジアのビール「セルティア」520円と一緒に。ひつじやは世界各国の料理とお酒があるのも魅力的なところです。

「チュニジアのぎょうざ」

羊の挽肉に半熟卵とチーズが入ったブリックは期待通りのおいしさ。爽やかなチュニジアビールとよく合います。この料理、今でこそ日本各地で時折見かけるのですが、元はといえばやはりひつじやから広がった料理だと言えるでしょう。

「カリフラワーブジヤ」

どんどん行きますよ。続いては「カリフラワーブジヤ」720円とひつじや名物「マトンアサード」980円。ブジヤはインド料理。カリフラワー、じゃがいも、オクラというインド料理おなじみの野菜のカレー炒め的なものでお酒も進みます。

「マトンアサード」

アサードはスペイン語で焼いたものというような意味で牛肉を使われることが多いのですが、ひつじやではマトンであり、西インドの調理法もミックスさせた特別版。じゃがいも、トマト、そしてマトンのカレーソース的なものが重ねられた料理で、おいしいカレーを食べたような気持ちになれる満足度の高い料理です。

「ベンガルスタイルサバカレー」

と言いつつもやはりちゃんとカレーも欲しいという方には「ベンガルスタイルサバカレー」880円を。酸味の利いたサラッとしたカレーはインド版アクアパッツァのようにも感じられる料理で、白ワインが合います。

ワイン(ハーフ)

しかも、ひつじやセレクトワインを選べばハーフ(420円)でこの量。お酒もすすみ、料理もすすみ、食欲が止まりません。

あぁ、やっぱり最高! これこそがひつじやですよ。

突然の全店舗閉店から四谷の開店と、店名に元祖がついたことなど、お店の方にうかがってみると「コロナ禍による客数の激減、原材料費の高騰に加え、6店舗経営していく中で多数の外国人シェフを雇っていたのですが、ビザ関連の法律が変わったことにより、簡単に言うと人件費が急激に増えてしまったこと、この3つが重なって残念ながら倒産、閉店となりました。しかし長年お店を構えていたことによる古い付き合いもあり、色々な方が応援してくれたのもあって元オーナーの奥様の手によって復活。その際に、やはり色々な方から紛らわしいお店もあるから元祖をつけたらどうかと提案をいただき、つけることにしました」とのことでした。

確かにひつじやという店名は数多くありますし、ひつじや出身シェフが独立してひつじやのメニューをそのまま出しているお店も少なくありません。お店の方は「元々羊料理を広めたくてスタートしたので羊料理が広まってくれるのはうれしいことなのですが、あまりにも似ているお店があると古くからのお客様を混乱させてしまうので元祖をつけました」と語ってくれたように、ひつじやこそが東京における羊料理の先駆者であり、まさに元祖と言って差し支えない存在です。

腕利きのインド人シェフがいることから今後インド料理が増えていく予定だそうで、インド料理ファンにとっても今後が楽しみ。既に連日満席近い人気となっているので予約推奨。各地のひつじやにそれぞれ常連がついていたかと思いますが、まずは四谷で復活の祝杯をあげましょう!

※価格はすべて税込です。

写真・取材:カレーおじさん\(^o^)/

文:カレーおじさん\(^o^)/、食べログマガジン編集部