濃厚なのにあっさり!? ゴワゴワ麺が活きる「冷しラーメン」

そして、その「らぁめん 舎鈴」から夏季限定で発売されたのが「冷しラーメン(並盛)」690円だ。

キンと冷えた「冷しラーメン」
 

小林さん

山形の名店「ケンちゃんラーメン」インスパイアの中華そば&ラーメンだけで勝負する「らぁめん 舎鈴」が、中華そばと同じ麺を期間限定の「冷しラーメン」に使用していると聞いて、すぐに食べに行きました。

中華そばと同じ麺を使用していることが一目瞭然。見事に縮れている

冷しラーメンと言えば、山形のご当地ラーメンのひとつ。それを同じく山形の「ケンちゃんラーメン」風に作り上げ「山形 × 山形」のタッグで完成したのが「らぁめん 舎鈴」の「冷しラーメン」なのだ。山形愛、ラーメン愛が過ぎる!

黄金色に輝くスープは煮干ベースの魚介出汁。一口スープをすすると、強烈な煮干しの旨みが口中に「これでもか!」と広がる。世の中に煮干し系の魚介出汁を利用したラーメンは数あれど、これだけ丁寧な仕事をするのには相当時間がかかるだろう。

 

小林さん

スープは澄んでおり、非常にすっきりとしながらも強めに利いた魚介でぐいぐい飲ませます。

にごりなく澄み切ったスープ

添えられた氷は清涼感を高めるとともに、スープの濃厚さを中和する役割も担っている。そのため、食べ終わりにしょっぱさを感じることは皆無。また、冷しなので、通常の中華そばよりもゴワゴワ麺のストロングなコシが高まっている印象だ。

 

小林さん

氷が浮いてキンと冷えており、それが少しずつスープに溶けていくことにより、最後にはちょうどいい濃度になるのもポイントです。

始めは濃いかな?と感じるスープも食べ進めるうちに氷が溶けて絶妙なバランスに化ける

トッピングには、大ぶりでジューシーなチャーシュー、大量のネギ、メンマ、海苔、ナルトと奇をてらわないもの。シンプルだからこそ、極上のスープの味や太縮れ麺の食感を邪魔しない。実は「舎鈴」の他店舗でも冷しを展開しているが、この麺を使用しているのは、ここ神田の「らぁめん 舎鈴」だけ。この特別感もまたご馳走のひとつ。

また「舎鈴」では全店で夏の風物詩として毎年「冷やかけ」を提供している。こちらはチャーシュー・メンマ・ネギ・刻み海苔と「冷しラーメン」よりもシンプルな具材。また、つけめんと同じもちもちの中太麺を使用しているのも「冷しラーメン」との大きな違いだ。

 

小林さん

他店舗の舎鈴で提供している「冷やかけ」とは麺が異なり、全然印象が違います。冷しラーメンに使用されているゴワッとした麺は、強めにつけられた縮れで食感がとても楽しいです。

食するハードルの高さも「幻」感をマシマシに!?

特筆すべきは、同店の営業時間だ。平日の11:30~13:30(L.O)のみと、かなりハードルが高く設定されている。しかも店内はカウンターのみ。さらに「冷しラーメン」は期間限定と、口明けを目指して行くくらいの覚悟がないとありつけないかもしれない。サラリーマン街に立地しながらサラリーマン泣かせとはこのことか。

店長の安達さん

とは言え、メニューはラーメンだけなので客の回転は早い。食券を購入するのも冷水もセルフサービスのため、店員にも客にも無駄な動きが一切ない。

他店舗の「舎鈴」で「冷やかけ」を食べてイメージトレーニングをしてから「らぁめん 舎鈴」を訪れるのも良いだろう。ぜひ期間が終了する前に、同店でしか味わえない「冷しラーメン」にトライしてほしい。

※価格はすべて税込

文:松丸まきこ、食べログマガジン編集部 撮影:ジェイムス・オザワ