目でも楽しまないと損! 圧巻の麺打ちパフォーマンス

「馬子禄 牛肉面」で提供するのは手打ちの9種の麺。注文が入ってから希望の形状に打ち始め、その様子をガラス越しに見ることができる。

形状を決めるのは麺の原型となる1本の生地。三角麺なら三角、極太平麺なら長い延べ棒のような形で、それを上下に振って引っ張ることで原型の縮小版となる麺が出来上がる。魔法のごとく麺が細かくなっていく様子は圧巻。毛細(マオシー)と呼ばれる極細麺を作る工程はよくぞ切れないと見入る職人技である。

両手で素早く生地を捏ねていく
上下に振るごとに麺が細かく分かれていく
左から極太平麺の大寛(ダークワン)、三角麺の蕎麦棱(チャオマイレン)、極細麺の毛細(マオシー)。並べてみると違いがよくわかる
 

大石さん

9種ある麺は食感がまったく異なり、その日の気分によって選べるのも楽しいところ。私はきしめんみたいな寛(クワン)や一番人気の細(シー)が好きです。ああでも極太もワンタンみたいな口あたりでよいですね。三角麺で角を感じるのも捨て難い。思い出したらお腹が空いてきました……。

本能に訴えかける、老舗の「蘭州牛肉面」

「蘭州牛肉面」が運ばれてくると、葉ニンニクから立つ香りが食欲をそそる。本店と同じ辣油の濃い赤も美しいが、まずは澄んだスープだけを召し上がれ。企業秘密でブレンドした多種の漢方が牛の旨味と重なり、滋味深さがこの上ない。すぐに胃がポカポカになり、目覚めるような感覚だ。

麺をすすれば前述の「一清二白三紅四緑五黄」が一体となり、なぜこの5色なのか納得する。すべての具材は大盛りにすることも可能。秘伝ダレが染みた半熟仕上げの茶卵(チャーダン)も人気の追加トッピングだ。

スープから透ける幅広平麺「寛(クワン)」に惹かれる。蘭州牛肉面は単品1,050円、茶卵は200円
黒酢の用意もあり辣油のお代わりも可。水餃子セットなどもある
 

大石さん

最初に澄んだスープそのものを味わうために、辣油を別盛りでもらっていただいています。麺少なめ、チャーシュー大盛りでお肉への欲求を満たすのもよいですね。茹で時間が極細でなんと1秒、太麺でも1分ほどなので、来たらさっさと食べましょう。普通のラーメンより油分も塩分も低いから後味が軽くて、女性人気が高いのも納得。まだ経験はないですが、二日酔いの時に飲んだら命の汁に感じそう(笑)。今年中に2軒目を都内に展開予定とのことで、家の近所でありますように。

食後は元気になり、しばらくすると身体が欲してまた食べたくなる。魔性の魅力がありながらヘルシーなラーメンを、神保町でお試しあれ。

看板に描かれた黒い線は麺を表している

※価格はすべて税込。

取材・文:大石智子、食べログマガジン編集部
撮影:山田大輔