【第3週のカレーとスパイス】元プロボクサーの店主が作る下町の薬膳カレー店が曳舟に移転&カムバック!「サハスラーラ」

元プロボクサーという経歴のシェフによる薬膳カレーのお店「サハスラーラ」が曳舟駅近くに移転しました。元々曳舟で間借りカレー店としてスタートし、その後独立して東向島で店舗を構え、今回また曳舟に戻ってきた形になります。

以前のお店は黒を基調とした店内でしたが、今回は白を基調とした木材の温かみも感じる内装。民家がそのまま飲食店になったような形で友達の家に遊びにきたような気分にもなるのですが、こちらはれっきとした人気飲食店。

開店前からお店の前で待っていると続々と列ができ(並び方にはルールがあるので店頭の説明書きの文言を守りましょう)、開店と同時に満席になるような盛況ぶり。早くも今の場所で人気となっている様子でした。

「カレー3種」1,350円に「ソーキ」220円をトッピングして注文。カレーはメニューが時期によって入れ替わるのですが、この日のカレーは定番のサハスラーラのチキンカレーと、限定の鮭とパニールのトマトカレー、カブのキーマの3種。これに日替わりの副菜ものります。

「カレー3種」に「ソーキ」をトッピング

それぞれスパイスによる薬膳効果を狙っているのですが、特に副菜には説明書きもあってわかりやすいです。例えば、茄子と銀耳のアチャール(免疫力向上)、アンチョビキャベツと金針菜のポリヤル(心の安定)など、薬膳カレーのお店であり、薬膳料理なのだというこだわりを感じます。薬膳カレーにも色々ありますが、副菜のネーミングからもわかるように基本はインド料理がベース。それにシェフの独自の工夫が施されているというわけです。

写真左から「カブのキーマ」「鮭とパニールのトマトカレー」「サハスラーラのチキンカレー」

チキンカレーは定番と言ってもしっかり攻めたスパイス感。辛いわけではなく、しっかりと香り立つタイプのカレーでインドカレー好きにはたまりません。鮭とパニールのトマトカレーは自家製のパニール(インドのカッテージチーズ)がたっぷり入り、トマトの酸味が爽やかなカレー。鮭との相性も良いです。カブのキーマは文字通りカブ入りの合挽き肉キーマ。肉のうま味をしっかりと感じます。

ソーキも実に柔らかく、甘みがおいしさを広げていて、カレーをかけて食べるとまた新たなおいしさが生まれます。

また、自家製の辛味ペーストも見逃せません。ただ辛いだけでなく、しっかりとうま味があり、これを少しずつ混ぜて食べると発汗効果も高まってデトックスした気持ちになれます。副菜は野菜メイン、ご飯も雑穀米で、肉も魚も野菜も一皿でたっぷりととれるヘルシーなカレーに大満足。

「五味子トニック」

お腹いっぱいになったのですがこちらはドリンクにも力を入れているお店。「五味子トニック」330円もいただきました。五味子とはマツブサ科の植物の果実。クエン酸などが含まれ、漢方では疲労などの治療に用いる食材であり、漢方薬です。これをトニックにしたドリンク。紫の色味も美しく、程よい酸味でスッキリと飲めます。カレーとの相乗効果で何だか元気になったような気持ちになりました。

先述した通りシェフは元プロボクサー。だからこそ体をつくる食事と、その食材に徹底的にこだわり、健康的でおいしい料理を提供している方です。墨田区の京島という昭和の雰囲気が色濃く残る下町の中にありながら、既に老若男女のファンをつかんでいます。食べた皆さんがまた食べたいと通っているからこそでしょうね。

【第4週のカレーとスパイス】千葉県民に朗報! 超人気の美しすぎるパフェとカレーの店「256nicom」が駅近に移転

キッチンカー営業からスタートし、千葉・新検見川駅から離れた場所で店舗を構えた「256nicom」。その美しすぎるパフェとカレーで話題となり、予約が一瞬で埋まる大人気店となりました。その後別館ができ、ガレージ営業などを経て、2023年2月に京成中山駅の目の前に移転しました。

店舗は2階建ての一軒家。入り口から256nicomの世界観が炸裂しています。看板にも扉の取っ手にも256の文字。店内に入れば、ドライフラワーが印象的な、美しくメルヘンな空間。おとぎ話の世界に紛れ込んだような気持ちになります。

1階はキッチンと受付。カレーとパフェのお店ですがカレーだけの注文も可能で、その場合は1階カウンターで食べることになるようです。しかしこちらでは是非パフェも味わってほしいですし、2階の内装が特に素晴らしいのでそれを体感しないと損です。

2階に上がると大きな鹿の剥製が印象的。テーブル席とカウンター席があり、専属スタッフがパフェを作る姿を見ながら食事ができるというエンタメ感のある空間となっていました。

メニューですが基本的にはカレーとパフェとドリンクのセットのワンメニューで、カレーが選べる形。この日は「苺の木」というセット(4,300円)。選べるカレー1つとサンバル、ラッサム、ダルと副菜が付くというミールスのような形なのですが、南インド料理とも違うオリジナリティある料理の数々。選べるカレーは凄く辛い鯖カレーに。他のカレーも1つ300円で追加可能ということで、甘辛ポークカレーとスパイシーキーマも追加してオーダー。

「苺の木」セットに、甘辛ポークカレーとスパイシーキーマを追加

鯖カレーはランペ香るスリランカスタイルで、凄く辛いとメニューにはあるのですがこれはあくまで世間一般向けの説明であり、日常的にスパイス料理を食べ慣れている僕からすると激辛まではいかない程よい辛口です。鯖のクセもスパイスとあいまっておいしさに変わっていました。

甘辛ポークは256nicomの常連さんの中でも特に人気があるというメニュー。八丁味噌のような甘味を感じたのですが、聞いてみると味噌は使っておらず、玉ねぎをしっかり炒めて甘味を引き出し、醤油も使うことによって仕上げた和風のカレーということで個性のある一品。パフェを目当てで通う甘党の方に喜ばれそうなメニューです。スパイシーキーマは程よくスパイスの香るカレー。テクスチャーが他のカレーとは違うので合わせると変化が出て良いです。

三者三様のおいしさであり、それぞれご飯にかけながら、時に混ぜて食べていけばやはり南インドのミールスに近い楽しさも味わえます。

ドリンクは「ホットチャイ」500円を注文。こちらは程よい甘さで癒やされる味わい。カレーとの相性も当然良いです。

「ホットチャイ」

そしてパフェ。デザートという以上に、こちらのお店ではこれがメインと言っても過言ではありません。「苺の木」と名付けられたゴージャスなパフェは、やよいひめ、とちおとめをたっぷりと使い、1人前に1パック以上の量のいちごがモリモリに盛り付けられています。選べるジェラートはピスタチオに。いちごの甘味を邪魔しない控えめな甘さで素材の味を感じるおいしさ。

これだけでもすごいのですが、中には他にも色々と入っており、マスカルポーネクリーム、ジュレが3種、黒コショウのクランブルも入ってほのかなスパイス感も調和するという面白さ。かなりの大きさなのですが、すくう場所によって味が違い、食べ進めるごとに色々なものが混ざり合い、ひと匙毎に味が変わっていくので最後まで飽きずにおいしくいただけるのです。ある意味でこちらもミールスのような楽しさがあるパフェ。素晴らしいです。

こちらのお店はカレーマニアの中では知る人ぞ知るといったお店なのですが、近隣の方々に大人気なお店。既に常連を多数掴んでいるからこそWeb予約が一瞬で埋まるのですが、移転後はお昼の時間はふらっと入ることも可能なのでカレーマニアにもチャンスが広がったと言えるでしょう。お値段は決して安くはありませんが、これだけの内容であれば全く損した気持ちにはならず、お値段以上の満足感を得ることができます。

カレーの後に甘いものを食べるのは個人的にも大好きで、至福のひと時を味わえるのですが、意外と男性客も少なからずいるので甘党の男性お一人様はもちろん、雰囲気が素晴らしいのでデートにも使えるお店です。

イベント時は相変わらず予約が一瞬で埋まるのですが、詳しくはお店のSNSを確認してみてください。以前よりは確実に行きやすい時間が増えました。京成線のみならず総武線の下総中山駅からも徒歩圏内。東京からもアクセスが良いので、要チェックのお店ですよ!

※価格はすべて税込です。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/