【第3週のカレーとスパイス】昼はカレー、週末夜にはフランス料理を。武蔵小山にカレーのおいしい一軒家フレンチが誕生「ボンクルール」

フレンチの名店「モルソー」で10年以上修業の後、カレーの名店「HI, HOW ARE YOU」でも働いていたというシェフが独立し、武蔵小山にご自身のお店を開店しました。その名は「ボンクルール」。

経歴からもわかるように昼はカレーとオードブル、週末夜はフレンチを提供するお店なのですが、外観は街中にとけ込む一軒家。

店内に入ってみても日本家屋を上手にレストランに変身させたような、個性とセンスを感じる素敵な空間となっていました。

「かさま苺と伊ブッラータチーズのオードヴル」

せっかくのフレンチも楽しめるお店ですからまずはオードブルを。「かさま苺と伊ブッラータチーズのオードヴル」700円は、上品な甘味とほのかな酸味が見事に調和した一品。オリーブオイルの香りも良く、お酒を飲みたくなる味。

「北海道鴨オードヴル」

続いて「北海道鴨オードヴル」800円を。こちらはとにかく鴨の味わいが強くて濃厚。臭みや嫌みがまるでなく、うま味が凝縮したような鴨で、それを引き立てるジュレと野菜。バランスが良い一皿です。

「ボンクルール特製ビーフカレー」

期待が膨らんだところで「ボンクルール特製ビーフカレー」1,800円をご飯少なめで。大振りのビーフがゴロゴロと入ったカレーは欧風カレーとスパイスカレーの良いとこ取り的な仕上がり。欧風カレー的な奥深いうま味と深みが根幹となっているのですが、重さやしつこさがなく、スパイスカレー的な軽やかな仕上がりになっているのが素晴らしいです。これは他にありそうでなかなか無いタイプの絶品カレー。

興奮してシェフになぜフレンチからカレーの道へ進んだのか聞いてみると「元々カレーが好きだったんですが、フレンチのソースとカレーは似ている要素があり、フレンチのフォンを活かしたカレーを作ったらおいしくなるのではないかと考えて、試行錯誤してできたカレーなんです」と楽しそうに語ってくれました。

しっかりと火入れした玉ねぎ、フォンの奥深いうま味、柔らかく煮込まれたビーフ、仕上げのバターもむしろ爽やか。副菜も彩りのみならずそれぞれ意味を感じるもので、とにかくセンスが良いのです。

「パキスタンチキンカレー」

他のカレーも気になって「パキスタンチキンカレー」1,300円も注文。こちらは修業先のHI, HOW ARE YOUの人気メニューをアレンジしたものだそうで、確かにそのベクトルは感じつつも、よりスパイス感が強く、それでいて柔らかさも同時にあるような落とし所が絶妙なカレー。トマトにこだわっているそうで、そのトマトの甘みがスパイスと調和してこのように仕上がったのかと納得しました。

食べ終わってみると物凄い満足感に包まれていました。確かに色々といただいたのですが、それ以上の満足感があるのです。お値段もカレーとしては安くはないかもしれませんが、フレンチと考えればかなり安いと言える価格です。夜のメニューも気になるものばかり。夜は基本的にカレーは無いそうですが、それでも行きたいなと思える程すべてがおいしかったのです。

食べてテンションが上がり、食べ終わって幸福感に包まれる料理。シェフも気さくでフレンチ特有のハードルの高さもなくカジュアルな感覚で行けるお店。確実にまた行きたいと思います。

【第4週のカレーとスパイス】インド料理好きならピンとくる! チャンドラニさん監修のインドカレーパン&チャイの店が神楽坂にオープン「Spicier 神楽坂店」

インド料理好きならチャンドラニさんの名を知る人も少なくないでしょう。チャンドラニさんとは西葛西を中心にインド人が数多く住む江戸川区において、江戸川インド人会の会長を務める在日インド人の父とも呼ばれる方です。そのチャンドラニさんがカレーパンの監修をしていることを知っている方はまだそれほどいないのではないでしょうか。

今回ご紹介するお店は神楽坂の中間辺り、本多横丁を少し横に入った場所にできたカレーパンとチャイのお店「Spicier 神楽坂店」です。

以前は学芸大学駅の「GAKUDAI MARCHE」などに出店していたお店なのですが、2022年12月に神楽坂で独立店舗を構えました。イートインスペースもあり、注文してから調理を開始するのでいつでも揚げたてのカレーパンが味わえます。

パンのメニューは4種類。「もちもちキーマ」420円、「チキンバターマサラ」490円、「ほうれん草カッテージチーズ」440円。そして神楽坂に来てからの新メニューで、カレーパンではないのですが「チャイパン」290円というものも増えました。

まずは店内でもちもちキーマとチャイパンをイートイン。こちらのカレー、先述したチャンドラニさん監修とあって本格的なインドカレーをそのままカレーパンに入れてあり、キーマもしっかりとスパイシー。これを、でんぷんを使用しもちもちした食感のパンが包みます。

「もちもちキーマ」

揚げたてですが、油切れが良く軽やかで上品な仕上がり。最初にサクッと、その後モチッとした食感の変化があり、しっかり辛口で香り高いキーマカレーが口内に広がります。あくまでインドカレーが主体でそれを引き立てるパンというバランスが良く、ありそうで無かったタイプの絶品カレーパンです。

「チャイパン」

チャイパンはチャイクリーム入りでデザート感覚。大人から子供まで楽しめる味だと言えるでしょう。

「ほうれん草カッテージチーズ」

テイクアウトも可能ということで、ほうれん草カッテージチーズとチキンバターマサラをテイクアウト。ほうれん草カッテージチーズとは、インド料理で言うパラックパニールのこと。こちらも程よいスパイス感で、カレーパンを食べているのですがインド料理を食べている気持ちになります。チキンバターマサラはマイルド。こちらも期待通りのおいしさ。テイクアウトして温め直しても味がほぼ変わらない状態で食べられるのがとても良いです。

チャイも忘れてはいけません。チャイメニューも1月から増えました。カレーのみならずチャイもチャンドラニさんの茶葉を使用。定番の「スパイシアブレンド」520円はジンジャーやシナモンが利いていて、飲めば体の中からぽかぽかと温まるようなチャイ。これに泡だてたミルクをあしらった「チャイラテ」650円は見た目も可愛らしくて良いです。「カルダモン&フェンネル」580円は別皿でフェンネルが提供され、自分の好みでその量を調節しながら飲むという楽しさがあります。

カフェなどのメニューにある一般的なチャイはチャイシロップを使用したものが多く、インド料理のチャイとは似て非なるもの。インドのチャイは茶葉からしっかりと煮出すので非常に手間がかかるものなのですが、だからこそのおいしさなのです。カフェのチャイが苦手だった人がインド料理店でチャイを飲んだらとてもおいしくて好きになったという話もよく聞くくらい。

こちらのお店はカレーパンとチャイでカフェ的な利用もできつつ、そのカレーもチャイも本格的なインド仕様という稀有なお店なのです。インドにはカレーパンという料理はないのですが、だからこそインドと日本の架け橋になるのではと、チャンドラニさんが監修を引き受けてくれたのだそうです。

基本的にはカレーパンとチャイのお店なのですが、あくまでお店のスローガンはスパイスを広めたいというもの。スパイス料理を気軽に幅広い世代に食べてほしいという思いがあり、場所を選ばず食べられるカレーパンのお店にしたとのこと。そんな思いもあってカレーパンのみならず新展開も準備中。

「キーマまぜそば」

とある日には限定メニューで「キーマまぜそば」888円を提供していたのですが、こちらもまた非常に面白い逸品でした。スープにもガラムマサラを使用。麺にのったキーマは完全にインド料理のキーマであり、スパイス好きにはたまらない香りと辛さのまぜそば。近隣にはバーなどお酒を飲むお店が非常に多いのですが、そのシメにちょうど良い料理でした。

今後は朝にキーマトーストのモーニング営業を考えていたりと、さらなる新展開のアイディアも色々とあるそうです。

テイクアウトするも良し、カフェ使いするも良し。日程が合えば飲んだ後のシメだったりモーニング利用だったり(通常の営業時間は11:30〜18:30なのでイベント営業についてはお店のSNSをご覧ください)と、さまざまなシーンで使える本格的インドカレーを使用したカレーパンとチャイのお店。いや、それを超えたさまざまな可能性を秘めたスパイス料理のお店です。要チェックですよ。

※価格はすべて税込です。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/