「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに、デイリー使いできて満足度も高い、東京の“料理がおいしい酒場”を教えてもらう連載! 今回は、味噌料理とジビエが人気の上野の酒場「味噌坐 玉響」のおいしいポイントを教えてもらいます。
【東京メシうま酒場】「味噌坐 玉響」(たまゆら)
上野広小路の繁華街の中に、ポツンと、昔からの家屋を生かした味わいのある居酒屋があります。味噌料理とジビエで有名な「味噌坐 玉響(たまゆら)」です。
とりあえずのビールは、生もいいけどこの雰囲気なら瓶ビール。
サッポロラガービール、通称赤星を頼むと、あえて瓶の上にコップをかぶせて出すという憎い演出。しかもそのコップがキンキンに冷えている。酒飲みが「こういうとこだぞ!」と喜ぶツボを、しっかり押さえられています。
さすが味噌料理を推しているだけあって、20種類程の味噌を取り扱っていて、その時期・季節によって、その日の料理に合ったものを出しているそう。
まずはそんなお味噌の中から、本日のおすすめ3種類をその名も「なめ味噌」として、しっかり味わいます。本日は鯛味噌・ゆず味噌・南蛮味噌(唐辛子入り)の3種類。
まろやかだけどフレッシュ感もあるゆず味噌は、新鮮なパプリカと相性ばっちり。味わいある建物の中で、味噌をアテに酒を飲むなんて、タイムスリップして武士にでもなったようで、なんともいい感じ。
メインの焼き物に行く前にお刺身の盛り合わせ。この日は、本鮪トロ・赤身・アジ・ヒラスズキ・マツカワカレイ・カンパチ・つぶ貝。
どれも新鮮でプリプリの食感ですが、中でもかなりの大きさで四角く切られた赤身のブツは絶品。寿司屋にはない、居酒屋ならではの豪快なご馳走です。
お酒の種類も豊富に取り扱っているので、お店の人に味や産地などを相談して選ぶのが良いでしょう。
新潟のおすすめで選んでくれたのが「あべ」。フルーティーで飲みやすく、1杯目として最適です。
1階は焼き台を囲む形のL字カウンター。目の前で炭火で焼かれる食材を見ているだけでもテンションが上がります。ということで、焼き物に行きたいと思います。
まずいただいたのは「天恵菇しいたけ」。これがもう、今まで食べたしいたけ史上最高のおいしさ! 肉厚なのはもちろんですが、表面に隠し包丁を入れて、炭火でじっくり焼き上げているからか、旨味がぎゅっと詰まっていて、もはや旨味の塊です!
そして、品書きで見た瞬間から絶対に食べようと思っていた「下仁田ねぎ」。
これまた予想の斜め上を行く感じの、おいしそうすぎるルックス! 下仁田ねぎ特有のまったりとした食感と甘みに、濃厚なタレがよく合います。これ、日本酒がどんだけあっても足りないぞ!
魚のおいしさや食感をしっかり残した、あっさりめの西京焼き。 味噌の使い方を熟知されているからこその、絶妙なバランスで、これまた酒が進みます。
メインはジビエの盛り合わせ。炭火で焼かれたジビエは、シンプルな塩の味付けでも、どれもものすごく力強い味!
特に樋熊(ひぐま)はしっかりとした歯応えで、噛むほどに旨味が滲み出てきます。さらに味噌をつけて食べると、ますます野趣あふれる味わいに。
肉+炭+味噌。これぞ日本の大地に根ざした、おいしい組み合わせです。
そして、飲みの終盤に欲しくなるのが小鍋立て。ネギとマグロの、ねぎま小鍋は江戸時代からの庶民の味。
程よく脂が落ちつつも、身はパサつかずしっとりしていて食感も良し。1品目のなめ味噌に始まり、伝統的な江戸の酒のアテがお店の雰囲気にもマッチしていて、ゆっくりじっくりと酒時間を楽しめます。
〆は焼おにぎりと、その日の具材を使ったお味噌汁。今日は豪華な蟹汁です。
目の前で炭火で焼いた焼おにぎり、おいしくないはずがありません! 表面は香ばしく、中はふっくら、理想の焼おにぎりです。
そして、濃厚ながらも味噌のまろやかな味が優しくておいしいお味噌汁。飲んだ後の〆に最高の組み合わせ、ああ幸せ幸せ! 日本古来の「おいしい」をじっくりと楽しめる最高の酒場でした。
1階焼き場前のカウンターも良いですが、2階は2階でさらにタイムスリップした感のある、映画のセットのような空間。こちらで仲間と集まってゆっくりと寛ぐのもおすすめです!
※価格はすべて税込