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珍メニューが多すぎてなかなか寿司に辿り着けない
カレー以外にも、品書きのあちこちに気になるメニューがありすぎる。中でもおすすめは「ピザちらし」。カレーの次はピザ! これは白飯ではなく酢飯を使っている。酢飯の上にイカやタコやエビをのせ、チーズで覆っており、もはや寿司屋で出てくる料理とは思えないビジュアルなのだ。
海鮮×チーズのマッチングに意外とハマる「ピザちらし」
チーズは溶けるチーズとスライスチーズを2種使い、ピザソースは醤油などを加えて独自に配合。
猫田しげる
魚介と酢飯はもちろん合うし、そこに焦がしたチーズの香ばしさとトマト香るソースが重なって絶妙にマッチ。酢飯の甘酸っぱさも、ソースに溶け込んでまったく違和感がありません。「海鮮とチーズは合いますからね」の濱崎さんの言葉に、確かにピザって海鮮とチーズだよなと納得です。
シャリの入った「寿司サラダ」!?
「これも撮って!」と次に出されたのは「寿司サラダ」。5種ほど用意しているサラダメニューの中でも人気がある自信作とか。
エビ、マグロ、タコ、トマト、レタス、その下にはやはり酢飯。野菜は地元産の新鮮・減農薬のものにこだわっており、ドレッシングも自分で手作り。クリーミーなシーザーサラダ的で、魚介類と合う。「確かにフランス料理ではサラダにクスクス入れるよな。あれと一緒か」と思えなくもない。
長崎の正月料理「具雑煮」も一年中食べられる
こちらもおすすめの「具雑煮」。これは長崎の県民食らしく、その名の通り具沢山の雑煮である。通常はもっと小ぶりのお椀に入れるらしいが、同店ではビッグサイズの丼にこれでもかというほどゴボウ、タマネギ、ニンジン、椎茸、鶏肉などがわっさり入っている。家で作れそうなメニューだと思っていたけれど、これだけの具を下ごしらえして入れるのは大変。
猫田しげる
上にのった丸餅に出汁が染みてまた旨い。汁は味噌ではなくすましなのですが、聞くと長崎県民なら誰でも知っている「あごだしスープ」を使っているそう。まさにソウルフードです。
ご主人、実はスゴ腕料理人だった
取材をするうちにここが寿司屋だということを忘れそうになったので、濱崎さんに「寿司握ってください!」と今更ながら頼んでみると「いや〜私寿司屋じゃないんでね」とまさかの拒否(笑)。
いやいや暖簾に寿司って書いてるし!と無理矢理お願いしたら、おもむろに魚を切り出して、リズミカルに酢飯を掴んで……ものすごい流麗な所作で寿司を握っているではないか!
いくら40年寿司屋をやってきたからと言って、このスピード技はなかなかないと思う。カメラマンも「速すぎて撮れません!」と困っていた。そうか、濱崎さん、謙虚なのだ。そもそも長崎から関西に出てきたのは料理修業のためだという。大阪の有名料亭で和食を学び、その後は大きな店の料理長を任されるほどに。
のちに洋食、フレンチ、和食を経験し、独立を機に「寿司屋をやろう」と仲間の店で寿司を習ったという。だからカレーからピザにビーフシチューまで守備範囲が広いのだ。
やっぱり寿司屋!と実感する美しい握り
2022年9月現在「波朗寿司」の食べログ点数は3.12。こんなスゴ腕料理人の店なのになぜなのか。それは、公共交通機関では行けない場所という立地もあるだろうが、濱崎さんが謙虚すぎてガンガン宣伝しないせいだと思う。聞けば「お客さんはお医者さんが多く、タクシーで大阪から来る方もいる」という。街中にあったら昼も夜も大繁盛じゃないか?と思うのだが……。
本当の人気メニューはカレーでも寿司でもなかった
最後に濱崎さんに「このお店で一番人気のメニューって何ですか? やっぱりカレーですか? おまかせ握りですか?」と尋ねたら「豚の角煮です!」。えっ! それ食べればよかった。ということで読者の皆様、行かれた際にはぜひ食べて、感想を食べログに投稿してほしい。