信州素材とチョコレートとカカオを使った料理

「マードレ」のコンセプトは、信州素材を使った新しい食事を届けること。そしてすべての料理に、太田さんが交流・支援するペルー北部の村から適正価格で買い取った「アマゾンカカオ」のチョコレートが使われているのです。個性ある風味や、太田さんの取り組みが支持され、今や「アマゾンカカオ」を扱う日本の有名レストランやパティスリーは数百軒に及びます。

信州鶏 胸肉のバターチキン

「マードレ」の2022年夏メニューの一部を紹介します(料理は季節ごとに変わります)。

信州鶏 胸肉のバターチキン 2,300円

ボリュームある信州鶏のむね肉にバターでじっくり火を入れ、ピエモンテ産ヘーゼルナッツとアマゾンカカオのカカオパウダーをまぶし、チョコとジャンドゥーヤ風味のチキンに。やわらかく煮た夏野菜、自家製サワークリームで和えた高原キャベツのコールスローなどが添えられ、バターとカカオが香るジューシーなチキンをスイスイ食べ進められる一皿です。

鴨肉と夏野菜のアマゾンカカオビビン麺

鴨肉と夏野菜のビビン麺 2,300円

韓国の冷麺「ビビン麺」も、太田さんの手にかかれば、驚きのアレンジに。 生姜、リンゴ、ネギ、にんにくをペーストにして麺を和え、ソテーした鴨のむね肉をトッピング。肉味噌状にした鴨もも肉、味噌の上澄みでマリネした信州産キュウリと大根、新生姜と山で採取した山椒やマカンボ入り……と、驚くほどの手の込みよう。トマトのさわやかなジュレが軽井沢らしく、華やかに調和します。

ビビン麺の仕上げに、テーブル席でカカオマスをすり下ろす太田シェフ

仔羊と夏野菜のスパイスカレー

仔羊と夏野菜のスパイスカレー 2,300円

信州産の羊肉を、たっぷりの唐辛子と、カカオマス、カルダモン、コリアンダー、セイロンシナモン、クミンなどと煮込んだカレーです。「カカオはスパイスとの相性がいいんです」と太田さん。

バスマティライス、凍み大根のスープ、信州野菜の自家製ヨーグルト和え、写真でパンのように見えるのは、発酵させた生地で包んだとうもろこしです。茶色のソースは、山で採れた山椒に樹液とクミンをすり鉢で擦り合わせたもので、未体験のスパイシーさ。インパクトあるおいしさです。

長野の伝統食「凍み大根」入りスープ

「凍み大根のスープ」が料理に添えられます。凍み大根は、信州の伝統的な保存食で、真冬に大根を軒などに吊るし、干して乾燥させたもの。家庭料理にしか使われてこなかった長野県小川村の凍み大根を太田さんが買い取り、全く新しいスープに仕立てました。

酢やタマリンド入りで酸味があり、夏野菜も香辛料もたっぷりのミネストローネのような赤いスープ。凍み大根の噛みごたえとともに、パクチーの葉やコリアンダーシードが香る、洗練された新提案です。

イチゴとカカオのパフェ

イチゴとカカオのパフェ 1,800円

カカオやチョコレート好きなら、ぜひ味わうべき「アマゾンカカオ全開」のパフェ。グラスの中には、アマゾンカカオの水ガナッシュ、湧き水で作ったカカオジュレとジェラート、チョコムース、いちごとカカオバターのソースが調和しています。人気のアマゾンカカオのポップコーン、クーベルチュールとナッツをあわせたクランチチョコ、カカオ入りの薄い素焼きのコーンがアクセントに。

アマゾンカカオのお菓子が勢揃いするショップスペース

「アマゾンカカオ」のお菓子が揃う、ショップスペースです。オンラインや催事でしか買えなかった、人気のお菓子やチョコレートが勢揃い。

アマゾンカンカン 3,348円 「石臼そば粉ラングドシャカカオの果肉ジャム」「70%カカオチョコとどんぐり粉クッキー」「平飼い卵メレンゲ、カフェファソンペルー豆、カカオニブ」など6種入り

オンラインストアで大人気の「アマゾンカンカン」は完全な手作り。太田さんの哲学がぎっしり詰まったクッキー缶です。「機械を使わず、生地を手で伸ばして作ります。クッキーを噛んだ時に心地よいよう、あえて形をランダムにしています」(太田さん)。

ビスコッティに使われる古代小麦や、クッキーの中の信州のどんぐり。噛みしめるごとに素材の力強さがわかります。

「アマゾンカカオチャイ」(アマゾンカカオ入り)1,801円、「ガリンペイロ」(アマゾンカカオとナッツを使った板チョコ) 1,944円、「キャラメルポップコーン」(カカオニブ入り)864円、「そば粉のフィナンシェ」390円

常に素材の意味とルーツに立ち戻り続ける太田さんは、ヨーグルトやバターなどの乳製品を自身で作っています。「そば粉のフィナンシェ」には、自家製の発酵バターを使用。石臼で挽いた2種のそば粉を入れ、煮詰めたカカオの果肉で甘みを加えています。

昆虫食の展示、販売スペースも

「マードレ」の一角には、昆虫食のコーナーもあります。信濃毎日新聞社と共同のプロジェクトで、信州で昔から食べられてきた昆虫の、新しい味わい方の提案です。

昆虫食の歴史と今がわかるコーナー。コオロギのフィナンシェやカイコシーズニングなどを販売

太田哲雄シェフによるアマゾンカカオの食堂

太田哲雄シェフ

「味が重要。質が保てなかったらやりません」と、常にぶれない軸を持つ太田さん。

「LA CASA DI Tetsuo Ota」が、2022年は春の20日と秋の20日の、40日だけしか営業しない理由は、信州の素材を太田さん自身が採りに出かけて仕込むためで「1営業のために3〜4日準備することもあるから」です。

「マードレ」で使う素材も同じ。根源から向き合い、すべてが手作り。「もっとおいしくなるんじゃないかと、常に考えています。私が今まで経験してきたことを私なりに解釈し直して提案しますので、新しい味覚や組み合わせに出会い、末長く楽しんでほしいです」

「マードレ」は軽井沢で進化を続ける、楽しいアマゾンカカオの食堂です。

※価格は税込。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影・文:市川歩美