カウンター8席のみのモダンで静謐な空間

ライブ感を楽しめるカウンター

麻布十番の肉料理「kumasan 麻布」や、銀座の活け蟹専門店「かにじぇんぬ 銀座」などを運営する株式会社QRAUDが、2022年6月14日(火)、新富町に肉割烹「うし富味」をオープンした。「kumasan 麻布」が提案する黒毛和牛を日本料理に織り交ぜたオリジナリティ溢れる料理をオープンキッチンのカウンターで楽しめる。営業時間は18時からと20時半からの2部制で、コースは一斉スタートになる。

店があるのは八丁堀の駅から徒歩5分の場所、銀座から少し離れた静かで落ち着いた新富町の一角。扉を開けると、無駄を省いたモダンで静謐な空間が出迎えてくれる。

ほどよい距離感の客席

カウンターのみ8席の空間は、小さな劇場のようで、目の前で新鮮な食材が表情豊かに変化する様子が楽しめる。臨場感溢れる調理シーンを眺めながら、五感で料理を味わう時間は、心も身体も解きほぐしてくれるだろう。

緊張がほぐれる自然体の心地よい会話

永井 克宜氏 

料理長を務める永井 克宜氏は、調理師専門学校卒業後、老舗料亭「車屋」に住み込みで修業し、日本料理の基礎を学んだ。その後、銀座の懐石料理「瓢喜」の料理長をはじめ、都内の懐石料理店の経験を経て株式会社QRAUDに入社、「kumasan 麻布」の料理長として腕を振るっていた。

カウンターの中で真剣に料理と向き合う永井氏だが、客への気配りも忘れない。ほどよい距離感で、思わずクスリと笑ってしまうような、自然体の会話も心地よい。

肉を主軸に和食も織り混ぜる

「和食は高級料理のイメージがついてきているが、もとは家庭料理、価格を抑えて和食離れしている人たちにも戻ってきてもらいたい。お客様に寄り添ったお店にしていきたい」と語る永井氏の言葉からは、和食への愛情を感じられる。また「毎月メニュー構成を変えることで、その時にしかない旬の食材を調理でき、店の若手の勉強にもなる」と、若手の育成にも力を入れている。

月ごとにメニューが変わる「お任せコース」

料理は「季節のおまかせ」(18,000円)と、ヒレカツ手巻きを含む「うし富味のおまかせ」(21,000円)、旬の食材を取り入れ、毎月メニュー構成が変わる。 ある日のコースの中から「うし富味」らしさの溢れるメニューをいくつかご紹介。

最初に美しい見た目で視覚を楽しませてくれる「雲丹のユッケ」。宮崎産の濃厚な雲丹となめらかな舌触りのサーロインのユッケを、キャビアの塩味でいただく。混ぜることで三位一体になった味を堪能すれば、押し寄せるコクとうま味に身も心もとろけそう。これからの至福の時間を予感させる、インパクトの強い逸品だ。

八寸 

見た目にも美しい八寸は、彩り鮮やかで優しい味わい。肉割烹らしい「上ミノ三つ葉浸し」「ハツ黄ニラオイル」など、上品な懐石料理にアレンジされたホルモンにも驚かされる。ミノはほんのりと甘いうま味が引き出され、ハツはタタキで臭みがなく、淡泊な味にニラオイルがマッチしている。

すっぽん和牛メンチカツ 

「すっぽん和牛メンチカツ」は、かわいらしい丸いフォルムに騙されてはいけない。すっぽんスープが入った揚げたてのメンチカツは、まさに「うま味爆弾」だ。箸を入れたとたんに肉汁とすっぽんスープが溢れ出す。サクサクとした食感の衣とジューシーな肉質を味わったら、半分は黒酢をかけてさっぱりといただけるのもうれしい。

ヒレカツ巻き

なかでも脅かされたのが「ヒレカツ巻き」だ。サクッとジューシーに揚げられた特注のパン粉を纏ったA5のヒレ肉と、サッパリとした赤酢のシャリをパリパリの海苔で巻いて一口頬張れば、溢れ出すうま味にノックアウトされるだろう。木の芽の香りが鼻に抜け、生胡椒のプチッと弾ける食感とフルーティーで適度な辛味が、さらにおいしさを引き立てる。「キャラクターの顔にも見えるビジュアルは女性客を意識している」とユーモラスに話す永井氏の遊び心もうかがえる。