【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#66】「平澤かまぼこ 王子駅前店」
カレーボールというおでん種をご存じでしょうか? 東京でも各地で存在するわけではなく、体感的には23区の北東部でよく見かけるものの、他ではなかなか無いおでんです。今回ご紹介するお店はそのカレーボールはもちろん、意外なカレーもある「平澤かまぼこ 王子駅前店」です。
こちらは北区神谷の練り物店が開いた、おでんメインの立ち飲み店。おなじみのものが並ぶおでんメニューに、確かにあります「カレーボール」200円の文字が。
カレーボールとは球形の練り物にカレー味がついたもの。昆布と煮干しでとった透明度の高いだしに3つ入って出てきました。食べてみればまず最初にカレーパウダーが香り、その後に玉ねぎの甘みが追いかけてきて、白身魚のすり身に吸い込まれただし汁のうま味がそれらすべてを包みます。しみじみとおいしい。
僕は東京出身ですが、地元にはカレーボールがありませんでした。大人になってから様々な場所で飲むようになり、北区のお店でカレーボールと出合ったわけですが、ボール自体は小さい頃から食べてきており、そしてカレーも小さい頃から好きでしたから、それらが合わさって郷愁に近いものも感じます。
それだけではありません。ここに来たら「チキンカレー」350円を食べないわけにはいきません。チキンカレー(つまみ)と書かれている通り、ご飯はつかないおつまみスタイルのカレーです。お店の雰囲気からして昔ながらのカレールウを想像されがちなのですが、出てきたものはインド亜大陸の現地料理のようなルックス。食べてみるとインドというよりはネパールやバングラデシュの料理のような素朴で滋味深い味わいであり、シンプルなスパイス使いで鶏肉のおいしさが引き立てられているようなカレーです。
お顔立ちもネパール系の方に多いタイプに見えたので「これはネパールのカレーですか?」と聞いてみると「そうです」と。やはりそうかと思いつつも驚きました。まさかおでんのお店でネパールカレーをいただけるとは。実はこちらのお店、ネパール出身の方が店主をつとめているのです。
他にもチーズとソーセージを蒲鉾で巻いたというオリジナルの「源氏巻」400円、甘みと深いうま味に紅生姜の酸味のコントラストが良い「国産牛の牛すじ」350円もいただきましたがどれも良いおつまみでお酒が進んでしまいました。
元々は気さくなおばあちゃん女将が切り盛りしていたお店だそうですが、引退された後に長年つとめていたネパール出身の現店主がお店を引き継いだとのこと。働きぶりが真面目だったからこそでしょう。言葉少なですが丁寧な仕事が感じられるおでんとカレーとその他のおつまみ。せんべろできる価格も魅力的。駅前でアクセスも良いです。
昼飲みといえば近くの赤羽が聖地ですが、その前に王子で降りてまずここから始めるのもおすすめですよ。
※価格はすべて税込