お菓子博士・猫井先生の洋菓子講座〈一限目:モンブラン〉

365日、私たちの胃袋を掴んで離さない魅惑の存在である“スイーツ”。そんな、全国で今注目のスイーツ店を100店集めた「食べログ スイーツ 百名店」の中から洋菓子専門店に絞り、毎月一種類のスイーツを通して、現在の洋菓子の傾向をお菓子の歴史研究家・猫井登先生に分析していただくこの連載。第一回は、秋に旬を迎える栗をふんだんに使ったケーキ「モンブラン」の進化について学びたいと思います。

 

その前に、まずはモンブラン誕生の歴史を紐解いていきましょう。教えて、猫井先生!

モンブランの元祖は“家庭菓子”だった!?

 

 

 

出典:八坂牛太さん

 

「モンテビアンコ」に興味がある人には、「ラトリエ モリゾー」がおすすめ。

マロンペーストがパスタ状なのはイタリア菓子を参考にしたから?

 

 

 

サロンでゆっくり味わいたい時は「サロン・ド・テ・アンジェリーナ マロニエゲート銀座店」、テイクアウトしたい時には「アンジェリーナケーキショップ」。マロニエゲート銀座2に2店舗の系列店がある。

黄色いモンブランはMade in Japan!

 

 

出典:超やぎちゃんさん

モンブランが茶色い理由は製法にあり!

 

 

このように日本に伝わったモンブランであるが、今やフランスの「茶色いモンブラン」も、すっかり日本に定着。お店ごとに味わいを競っている。そして、近時、モンブランが日本で更なる進化を遂げていることはご存じだろうか?

進化その1:「ハイブリッド・モンブラン」

先に述べた、日本型モンブランと仏型モンブランが融合し、和栗と洋栗を両方使ったもの。表面は茶色いマロンクリームでありながら、土台がスポンジのもの。クリームにカスタードを取り入れ、コクを加えるもの。更には他の素材やお菓子と融合し、クリームにマスカルポーネチーズを使ったもの。タルトを土台にしたモンブランタルト、シュー生地を使ったモンブラン、モンブランのロールケーキなども登場している。

出典:ぽちのかいぬしさん

 

「アテスウェイ」のモンブランは、焼きメレンゲの上に和栗のペーストと和栗をのせ、生クリームをこんもりと絞り、洋栗のペーストで覆っている。

出典:ランチ組長さん

 

「アステリスク」のモンブランは、中心がキャラメリゼするまでしっかり焼かれたメレンゲの上に、なんとマスカルポーネチーズを合わせた生クリームを絞り、これに愛媛県産の和栗のクリームを絞った、日・仏・伊合作ともいえるハイブリッド・モンブランだ。

進化その2:「和魂洋才・モンブラン」

これは、仏型モンブランの枠組みを維持しつつも、日本人らしさが存分に発揮されたモンブランのこと。メレンゲに生クリームとマロンクリームを絞ったものは、時間の経過とともにクリームの水分がメレンゲに浸透し、メレンゲが湿ってくる。もちろんその感触がフランスらしくていいという意見もあるが、几帳面な日本人としては、メレンゲはあくまで「カリッ」とさせたい。その上で、日本の素材である「和栗」を使い、さらには、栗の産地も厳選したい。導き出された答えは、注文を受けてから組み立てる「和栗の出来立てモンブラン」。見かけはフランスモンブランでも日本人の魂がこもったモンブランだ。

 

出典:なおちぇんさん

 

「ラ・ペッシュ」のモンブランは、美味しい和栗をブレンド(熊本産+愛媛産など)して作ったマロンクリームを使い、注文を受けてから組み立てる。しかも賞味期限は出来てから1時間以内! 9月~4月頃までの季節限定の大人気のモンブラン!

最近は上記で解説した以外にも、さまざまタイプのモンブランが登場しているので、素材の組み合わせや構成を分析しながら食べるというのも一つの楽しみ方だ。

食欲の秋、スイーツの秋、いろいろなモンブランの食べ歩きを楽しんでみてはどうだろうか。