【食を制す者、ビジネスを制す】
上司との飲みも女性とのデートと一緒だと考える
どんなに優秀でも出世は上司次第
ビジネスパーソンにとって、悩みの種の一つとなるのが、人事異動で、どんな上司に当たるのかということだろう。どんな優秀な人であっても、上司が悪ければ上にはなかなか行くことができないし、上司が良ければ、部下は少し足りなくても、出世してしまうこともある。
ただ、大事なことは、厳し過ぎる上司やデキない上司に当たったとしても決してキレてはいけないということである。キレたら評価は決定的にマイナスになる。
大企業の場合、いくら気の合わない上司に当たっても、2~3年で配置転換があるので、よほどのことがない限り、どこかで自分と合う上司と仕事をすることができるはずだ。さらに大企業ならば、部門間での配置転換によって、「社内転職」をすることができる。そこでもう一度、社内のキャリアをリカバーすることも可能なのだ。
もし、これが規模の小さい会社となれば、そうはいかないが、その分、上層部との距離が近いはずだから、よほどのことがあれば、トップや役員に直訴すればいい。もしそれでも応えてくれなければ、そのときは、その会社に見切りをつけるしかない。
気心の知れた上司を持っておくと心強い
上司と部下との関係性を見るうえで重要なのは、そのどちらの立場でも、その人の弱点が見えてくるということである。部下だって上司の弱点は見えているし、上司なら部下の弱点はさらに見えている。しかも、責任のある仕事を任されるようになっていくにつれ、そのチェックはさらに厳しさを増していく。
だが、そんなとき助けとなるのが、気心の知れた上司の存在なのである。その上司とは、部下の長所だけでなく、弱点も知っている上での関係性であるから、多少の困難な状況に陥ったとしても、必ずその上司がサポートしてくれる。その関係性が深まれば深まるほど、その上司がもし偉くなれば、その部下も引き上げられたり、重要ポストの候補にも挙げられたりするのである。
仕事で「この人だ」と思った上司との関係を深めるためには、一緒に飲みに行くしかない。最近の若者は飲まなくなったというけれど、飲食店で上司と部下が生ビールを片手に真剣に語り合っているところを見かけることも少なくない。もしお酒を飲めないのなら、ウーロン茶でもいいから、上司の話に耳を傾けてみることが大切だ。上司も人間だから、話を聞いてくれる部下はかわいいし、どんな上司でもなんらかの学ぶべき点はあるはずだ。
住宅街の鮨屋で特別な関係を演出
そんなときにお薦めしたいのが、鮨屋だ。とくにカウンターに座るといい。じっくり話せるし、互いに目線を合わせなくていいので、緊張することもない。気まずくなれば、カウンターの前の板前さんたちが、テキパキと刺身を切ったり、鮨を握ったりしている姿を見ていればいい。店では上司がリードしてくれるなら、黙って上司の注文するものに従うこと。そうでなければ、最初からにぎりを頼まないことだ。
まずは瓶ビールを頼んで、上司にお酌をする。そして、板前さんに「つまみをいくつかください」と言って、刺身を注文する。そのときも刺身の盛り合わせを頼むのではなく、2人で2~3種類の刺身を1人前ずつもらうといい。そのほうが、ほかのおつまみも楽しみやすい。
ビールを飲み干したら、次に日本酒を注文すること。日本酒をたしなむお客さんに対して、たいていの鮨屋はやさしいからだ。飲みっぷりがいいと、つまみをサービスしてくれることもあるし、板前さんとの話も弾む。
その後は、刺身以外のつまみを頼み、日本酒が進んで少し酔っ払ってきたと思ったら、細巻きを頼んで、少しお腹に溜まるものを入れてもいい。最後ににぎりを4~5貫食べて終了だ。
上司とは都心の鮨屋でも構わないが、ときにはプライベートで使っている住宅街の鮨屋に行くといい。そのほうが静かなうえに、特別な関係性を演出することもできる。
例えば、東急東横線の学芸大学駅前にある「すし屋の芳勘」は、最初に「つまみをお願いします」といえば、自動的においしいつまみが食べるタイミングを見計らって次々と供される。話に夢中になっているときでも、目の前にさっとおいしいつまみが出てくるのである。
つまみでお腹が5~6割ほど膨らんだ時点で「ストップ」と告げれば、にぎりの用意をしてくれる。値段も手頃な地元の名店だ。忘れていけないのは、上司との飲みも、女性とのデートと一緒だと考えること。相手を気分よくさせることで、関係性は深まっていく。むろん、それは仕事にも大いにプラスになるはずだ。