大人の通いたい店、SHIGE tei(シゲ テイ)

おいしいお店が多い大人の街、神楽坂。老舗の料亭やカジュアルなビストロ、遠方からファンが訪れる町中華など多種多様なお店がひしめく東京屈指のグルメタウンだ。そんな神楽坂で「隠れ家でカウンターでワンオペ。おいしいもの好きのツボを押さえたお店」とフードジャーナリストの小松宏子さんが教えてくれたのが「SHIGE tei」だ。

豊富な料理経験があるからこその料理

和食店らしからぬ看板

石畳が風情のある神楽坂の路地を、ひと曲がりふた曲がりした先に見えてくる、SHIGE teiの小さな看板。なんとも風情のある店構えに期待が高まる。が、ドアを開けると、コの字のカウンターを囲むようにして、壁面には大きなモダンアートが3枚。一瞬、ここは何料理店? といぶかるも、れっきとした和食の割烹である。

ご主人の長野成宏さん

実は、ご主人の長野成宏さんの、料理人としての振り出しは、スペインバル。その後、居酒屋、和食店など多彩なお店の立ち上げに関わってきたという。韓国での和食店の立ち上げに参画したこともあるそうだ。そんな中で、自分の嗜好がどんどん和食に傾倒していくのを感じ、店を持つ段階にいたったときには、他国の要素を入れていこうかという迷いもあったが、結局和食1本に絞った。結果、それは間違いなかったと、3年を経た今、確信しているという。

ポップなアートが店内を彩る

そんなこともあってか、店内には、ぴんと張りつめたというよりも、ご主人のマイルドな人柄とも相まって、ゆるやかな空気が流れており、それもまたSHIGE teiの魅力となっている。そんなわけで、常連のお客さんたちが和やかな雰囲気を作り出しているものだから、初めて訪れる客も寛いで食事を楽しむことができる。

柔軟に対応してくれるのが魅力

さて、肝心の料理だが、おまかせもお好みもあり、というのも嬉しい。先般、割烹というと、おまかせのみの料理店を指すことも多いが、本来は、多くの品書きの中から自由に選べたり、ご主人と相談しながら、その日入った魚の調理法を決めたり、というところだった。そのスタイルを残しているのもSHIGE teiの良さだ。

最後の晩餐をモチーフにしたアート

とはいえ、2019年の開店当初に比べると、おまかせの比重が増えてはいるそうだが。というのも、「コースは12,000円ですが、ボリューム感的にはおまかせのほうがお得なんですよ」と長野さん。ぜひ、その日のお腹の具合と相談して決めよう。