これぞ真骨頂! 鉄板焼きで作る伝統の麻婆豆腐

両手でコテを握り、巧みに使い麻婆豆腐を仕上げていく

「皆様これを見ると喜びますね」と張さんが語る一品、それが「麻婆豆腐」だ。本来なら中華鍋で作り上げる定番のメニューながら、もちろんこちらでは鉄板の上で調理される。実家の「千代」でも人気のメニューを、さらに張さん流にアレンジを加えた。

豚バラ肉、豆腐など材料を蒸し焼きにしてしっかりと火を通す

味付けはニンニク、ショウガをたっぷり使い、麻辣醤(マーラージャン)、沙茶醤(サーチャージャン)などを加え、刺激とコクをプラス。豆腐は近所の老舗豆腐店の絹豆腐を使用する。

大きめにカットされた絹豆腐の滑らかさも秀逸
 

山本憲資

口にすると一瞬マイルドな味わいが広がりますが、あとからじわりと刺激が! それでも後に残らない爽やかな辛さが絶妙ですね。

意外性に富んだシメのメニューは何度でもオーダー可能!?

鹿児島黒豚のバラ肉がたっぷりのったお好み焼き

魚介から肉料理、洋食から中華までバラエティに富んだコースを満喫したら、次は締めの一品へと移ろう。この日のシメは「ガーリックライス甲南漬け添え」「自家製カレー」「あっさり汁そば」「黒ごま担々麺」「お好み焼き」「ソース焼きそば」の6品。

常時4〜6品揃うシメの一品は、どれでも何回でもお代わりできるといううれしい大盤振る舞い。この中から山本さんがおすすめするのが「お好み焼き」と「自家製カレー」だ。

仕上げにコテで押さえつけてお好み焼きの形を整える

こちらのお好み焼きは、薄く焼いた生地の上に、千切りキャベツと豚バラ肉をのせて焼く。このスタイルはいわゆる広島風お好み焼きながら、最後にコテで押さえつけて平たくし、見た目は関西風お好み焼きに仕上げる。「これは神戸風お好み焼きですね」と張さん。

高知県四万十産の青のりの香りが香ばしいお好み焼き
 

山本憲資

表面がパリッとして、中はとろりとした食感。軽い口当たりと共に青のりの香りもたまりません。何枚でも食べられそうな味わいです!

見た目はシンプルながらこだわりの詰まった自家製カレー

それでは「何品でも」というお言葉に甘えて「自家製カレー」もオーダーしよう。こちらはさすがに鉄板ではなく、厨房の奥にある鍋でじっくり煮込んで仕込む。

具材が見えなくなるほど煮込まれたルゥが印象的だ

「玉ネギを飴色になるまで炒め、小麦粉、スパイス、フルーツを加え、牛肉と共に形が見えなくなるほど、じっくり煮込んで仕上げています」と張さん。仕上げに秘伝の辛味ソースをプラスしているのがポイントだ。

 

山本憲資

最初はフルーツの甘みが広がり一瞬油断しますが、あとから秘伝の辛味ソースがガツンと来て汗がにじみます! それでももう一口と食べたくなるから不思議!

カレーの刺激で流れる汗をぬぐいつつ、最後まで完食! さすが一日一組限定だけあって、他のお客さんを気にすることなく、じっくりと料理と向き合うことができた。もちろん満腹である。「コースの内容はお客様のリクエストにできるだけ応えられるよう、予約時にはしっかりコミュニケーションを取ります」と張さん。

常連ともなると「鉄板焼きは召し上がらず、お鍋のコースを所望される方もいらっしゃいます」と張さんは笑う。料理に合わせるお酒も豊富に揃うものの、それも希望に合わせて事前に仕入れてくることもある。

予約は2名以上で前日までにが条件。確かに少し値は張るものの、それ以上の満足度を与えてくれる名店であることは間違いない。特別な日のディナーにぜひまた利用したい。

※価格は税込です。

※本記事は取材日(2022年1月18日)時点の情報をもとに作成しました。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:藤川満
文:藤川満、食べログマガジン編集部