味わい、香り、食感など緻密に設計されている「魚介料理」

カレーの構成要素を分解して再構築したという魚介料理。酒盗のオニオンアチャールで旨味を、スダチで酸味のバランスを整えて、スパイスソースとフィットさせている。ナイフを入れればパリパリと心地のよい音で割れるチダイの皮目。丁寧にポワレされていることの証左だ。

チダイのココナッツミルクソース
 

カレーおじさん\(^o^)/

見た目はフランス料理のように美しく、食べるとしっかりカレーです。さらに、藪シェフがサフランライスに見立てて燗をつけた日本酒といただくと、ほぼカレーライスになります。藪シェフからのヒントがなければ連想できなかったかもしれない、絶妙な塩梅。本当に新しい発見があるお店です。

魚介料理のペアリングは、諏訪泉 純米吟醸 熟成原酒 満天星。H23BY(2011年醸造)とH24BY(2012年醸造)のブレンド

百名店の味そのままに熱燗までも楽しめる「南インドミールス」

南インドミールス

ミールスは浅草時代からの定番であるビーツのパチャディをはじめ、野菜のスパイス炒めであるトーレン、サンバルやラッサムといったスープ、各種アチャール、ココナッツチャトニ、パパド、バスマティライスのセット。こちらはおかわり自由の食べ放題だ。「〆のお茶漬け代わりです」とサーブする藪さんに対し「この量でお茶漬けはないよ」と笑うカレーおじさん\(^o^)/。

 

カレーおじさん\(^o^)/

藪シェフのミールスは、昔から優しい味わい。その輪郭をはっきりさせるのが、熟した果実のような日本酒です。藪シェフが「タマリンド・チャトニ」のイメージで扱っているというのがよく分かります。この店でしか楽しめない相乗効果があるため、自宅からは遠いのですが、何度も訪れる価値があるんですよね。

「舞美人 純米酒 MYVY」は酒粕を1年以上再発酵させたお酒。インドで親しまれている甘酸っぱいソース・タマリンドチャトニのイメージでミールスとペアリングしている

おまかせコースの内容は毎回変わるため、ミールス以外の料理は今回はじめて食べたというカレーおじさん\(^o^)/。「食に関するさまざまなことが学べる場所です。楽しいことだけを突き詰めようとする、藪シェフの人間性を感じる料理ばかり。この店でまた、新たな世界への扉が開けました。スパイス料理に興味がある人、日本酒に興味がある人、どちらにも訪れていただきたいですね。思いっきりお腹を空かしてからの来店をおすすめします」

ボクサー時代に減量で苦しんだ経験もあってか、藪さんの提供するコースはかなりのボリューム。食べきれない場合でも持ち帰りできるため、食が細い方も安心して訪れていただきたい。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※本記事は記事公開日(2021年11月2日)時点の情報をもとに作成しています。

撮影:佐藤潮

文:佐藤潮、食べログマガジン編集部