〈食べログNo.1には理由がある!〉ベーグル編

食べログのジャンル別ランキング〈ベーグル部門〉で、1位(2021/6/18付ランキング)に輝いた「マルイチベーグル」。どんなところが多くの人々を魅了しているのか。これまで食べたパンは7万5千種超、パンコーディネーターのひのようこさんと共にお店に伺い、その秘密に迫る!

教えてくれる人

ひのようこ

パン愛好家/パンクラブ主宰
1999年にパンサークル「パンクラブ」をスタート。日本だけでなく、世界中にパン旅に行くのが趣味。旅先で出会った食材とパンのおいしい組み合わせを探求中。SNSやイベント、トークショーを通じて、パンの魅力を発信中。これまでに食べたパンを記録しているデータベース“パンピューター”は現在7万5千種類。

NYで出会った絶品ベーグルが原点

東京・白金高輪駅のほど近く。おしゃれなカフェや、近年増えているタワーマンションなどを横目に裏通りを進んで行くと見えてくる、白い螺旋階段のついた趣のあるビル。ここの1Fにあるのが、大人気のベーグル専門店「マルイチベーグル」。本格的なNYスタイルのベーグルが味わえる店として、近隣の人やベーグル好きがこぞって訪れ、連日行列が絶えない。

プレーンの他、ゴマつきの「セサミ」、蜂蜜やキヌアなどが入った「セブングレインハニー」など、ベーグルの種類は全20種類

「マルイチベーグル」の誕生にはこんなストーリーがある。

オーナーの稲木美穂さんが旅先のNYで出会った、現地の超有名店「Ess-a-Bagel(エッサベーグル)」のベーグルのおいしさに感動。NYから帰国後、再び単身渡米し、熱意を粘り強く伝えたことで「Ess-a-Bagel」での勉強が実現。帰国後に通信販売からスタートし、2004年に代々木上原に最初の店舗をオープンした。
オープン直後に訪れたひのさんいわく「2、3人入れるくらいの小さなお店でしたが、当時からベーグル好きの間で評判でした」。その後、2009年に現在の白金高輪へと移転してからも、人気は相変わらずだ。

「手書きの札など、この無造作な感じがNYっぽくて素敵ですよね」とひのさん

店内のショーケースには、シンプルなベーグルから、カラフルでボリュームたっぷりなサンドイッチまで、さまざまなベーグルが並ぶ。オーダーの仕方は、まずブレーンやセサミなど20種類からベーグルを選び、クリームチーズや野菜、スプレッドなど30種以上ある具材から好きなものをチョイス。

具材は高さ別にポイントが設定されており、一つのサンドにつき合計8ポイントまでオーダーできる(ミニベーグルは4ポイントまで)
あらかじめお店で具材を挟んであるサンドも人気。オーダーに迷ってしまいそうな人は、まずこちらで好みの組み合わせを探してみよう

伝統の技法を継承しつつ、原料は独自の選択で

ここからはいよいよマルイチベーグルの人気の秘密をひもといていこう。

まず気になるのは、ベーグル好きを虜にしている“NYそのままの味”について。ひのさんも「マルイチベーグルさんの魅力は、なんといっても生地のおいしさ!」と、力説されていたので、今回はあえてサンドせずに、ベーグルのみを味わってみることに。

手前右から時計回りに「プレーン」260円、「セブングレインハニーフィグ」310円、「エブリシング」290円、「シナモンレーズン」310円

写真ではふわふわのパンのようにも見えるが、実際に手にするとずっしりと重みがあり、中身が詰まっているのがわかる。外側はパリッと程よい硬さで、中はふんわりしつつも、しっかりした弾力が。
「Ess-a-Bagel」の技法を基盤にしつつ、材料は北海道産小麦、シチリアの岩塩など、マルイチベーグル独自の選択を行ない、この味を作り上げたそう。また、甘い系のベーグルに蜂蜜は入れるが、砂糖は一切使っていない。

「生地の目が詰まっていて、かじった時にムギュッとなるのを“引きがある”というんですが、この引きがある食感と、口の中に広がる小麦の香りが、マルイチさんならでは。他のお店とは違いますね」とひのさん。

「エブリシング」290円

なかでもひのさんの一番お気に入りは、プレーンベーグルにゴマ、ポピーシード、玉ねぎ、にんにく、岩塩が付いている「エブリシング」。「一つのベーグルでいろんな味や食感を楽しめて、最後まで飽きずに食べられますし、ベーグルのトッピングと、挟む具材との組み合わせを考えながら選ぶのも楽しいんですよね」