「ぽん多本家」と「とんかつ いちかつ」もおすすめ

最後は「食べログ とんかつ 百名店 2021」の中でマッキーさんがお気に入りのお店を「高くてもその価値がある」「安くておいしい」という条件で1軒ずつ教えてもらいました。

やっぱりおいしい上野広小路「ぽん多本家」

「高くてもその価値がある」としてマッキーさんが絶賛するのは、上野広小路の「ぽん多本家」です。

「とんかつは豚肉の料理だから肉も大事なんですが、揚げるという点で見れば衣と揚げ油が非常に大切な要素。衣となるパン粉をどういう考えで発注、またはオリジナルでパン粉を精製しているか、そしてどんな油で揚げるかです。油で言えば、豚肉にもっとも調和するのはやはりラード。料理のおいしさは、実は味付けよりも香りに左右されると言われるほどで、おいしいとんかつにはラード特有の甘い香りがつきものなんです」

ぴーたんたん
「ぽん多本家」のカツレツ   出典:ぴーたんたんさん

その、ラードのおいしさを突き詰めているとんかつの名店が「ぽん多本家」だとマッキーさん。

「僕が知るとんかつ屋の中で唯一、自ら豚脂を炊いてラードを精油しているのが『ぽん多本家』。同店は老舗の洋食屋なんですけど、大昔はお店の善し悪しは油で決まると言われていました。そういった背景もあって、自家製ラードを貫いているのでしょう。ここのとんかつは、口に入れた瞬間に甘い油の香りが広がって、とにかく絶品。ご飯、味噌汁、お新香もレベルが高く、たくあんまで手作りしています。さらにはキャベツの切り方も均一できめ細か。料理って、食材にお金を払うというイメージが強いかもしれませんが、ここの料理は職人の手仕事や心意気にお金を払っている、ということに納得できる説得力があります」

気軽に訪れてほしい両国「とんかつ いちかつ」

そして「安くておいしい」とんかつ店としてマッキーさんが太鼓判を押すのが、両国の「とんかつ いちかつ」。

「リーズナブルなお店なので、肉質は普通。ただし、技術や心意気でおいしく食べさせてくれるんです。油は甘い香りのラードを使い、肉はブロック状の塊から頻繁に切り出します。つまり、切りたてでフレッシュだということ」

もえあつ
「とんかつ いちかつ」の上ロースかつ   出典:もえあつさん

また、内装や雰囲気も同店のおいしさを格上げする要素だとか。

「清潔感あふれる店内は、オープンカウンターの仕様で居心地抜群。店員の動きにも無駄がなく、愛想もよくておもてなしの鑑と言える接客。それでいて『ロースかつ定食』は700円(税込)。以前は690円(税込)でした。とにかく『おいしいとんかつを気持ちよく食べてほしい』という思いが伝わってきて、こっちもすがすがしい気分でとんかつに向き合えるんです。甘い香りのとんかつに、やや甘めのソースがマッチ。あと『串カツ』(私が以前食べた時は税込250円でした)も玉ネギの熱の通し具合がきちんとしていて、追加をおすすめします。ご飯やお新香もおいしいので、気軽に訪れてほしい名店といえば『とんかつ いちかつ』ですよ」

老舗にニューフェイス、かつ丼の名店まで幅広く教えてくれたマッキーさんに感謝! みなさんもぜひ本稿を参考に、足を運んでみてください。

監修/マッキー牧元  取材・文/中山秀明 

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