プレゼンテーションがすごい! 土鍋炊きの〆ごはん
〆は「傳」でも人気の炊き込みご飯。本日は鴨の赤ワイン煮、卵、ネギ、白米と一緒に炊いたごぼう、人参の五目だ。大きな土鍋の蓋を開けると、鴨が敷き詰められており、それを各席に披露して回ればシャッター音が鳴り響く。思わず拍手してしまう客もいるほどだ。
一巡すると鴨をほぐし茶碗に盛る。その上に、焼いた味付け卵に赤ワインを絡ませたものを串に刺してのせている。
味付け卵を半分に割ると、中からとろりとした黄身が流れ出す。濃厚でねっとりとした黄身はご飯と混ぜるも良し、そのまま食べるも良し。鴨は甘みのあるソースでしっかりと味をつけ、粗挽きの黒コショウで風味をつけている。〆ごはんであるが、つまみになる具材についつい酒が進んでしまう。
“できないこと”が、デンクシフロリでは“できること”に変わる
数年前、ふたりがコラボしたときに「いつか一緒に店を作りたいよね」という思いは、串を使った今までにないふたりの料理というかたちでようやく実った。
ふたりの共同作業は「これって絶対においしいよね」からスタートする。その思いついた食材や料理をどう串に落とし込んでいくかを、お互いの経験や技術をプラスしながら必ずふたりで作り上げていく。
しかも、自身の店では“できないこと”がデンクシフロリでは“できること”になるのを、純粋に楽しんでいる様子が皿を通して伝わってくる。
そうやって作られたレシピを再現し提供するのは、北海道のホテルやイタリア料理店で腕をふるってきた森田祐二さん。長谷川さんと川手さんが作り出した味を舌で覚え、そのとき仕入れた食材で再現するという難しい役を担っている。
ここで食べられるすべての料理は「こんな料理があるのか」という驚きと喜びに満ちている。それは世界が認めたふたりだからできることで、これこそ唯一無二の料理なのだ。
ふたりが作った店と言われれば、期待が大きくなるのは当然のこと。その期待を遥かに超える新感覚の串料理は、どこまでも自由でどこまでも楽しいのである。
ランチコース6,000円/ディナーコース9,800円(ともに税・サービス料別)