【映画のあの味が食べたい】

『マーサの幸せレシピ』のトマトソースパスタ

心が傷ついたり、哀しい出来事が起こったり、ショックを受けたりしたとき、食欲がなくなるのはなぜだろう? 食と精神状態がかなり密接に関係しているのは、みんな経験で知っているところだけれど、一方で、美味しいものを食べると自然と笑顔になれるし、元気も湧いてくる。

 

『マーサの幸せレシピ』は、そんな食べ物の“心理作用レシピ”ともいえるドイツ映画です。

(C)Pandora Film Produktion GmbH/Prisma Film/T&C Film/Palomar

ハンブルクのフランス料理の女性シェフ、マーサは、料理の腕は一流だが、オーナーからの評価は、“街で2番目のシェフ”。生真面目な性格から、シェフでありながら自らは食事を楽しむこともなく、仕事漬けの独身生活を送っている。

 

「鳩はローストが一番よ……」

 

週一回のカウンセリングでもセラピストに向かって、料理理論を解く。ということで、恋は二の次、三の次。

(C)Pandora Film Produktion GmbH/Prisma Film/T&C Film/Palomar

そんな時、姉が事故死してしまい、幼い姪のリナを引き取ることになる。心を開いてくれないリナは、マーサの作った料理もほとんど口にせず、日増しに元気がなくなっていく。

 

一方、店に新しく入ってきたイタリア人シェフ、マリオと方針の違いをめぐり激しく対立し、ストレスは募るばかり。だが、ある日、マリオお手製のパスタを貪るように食べるリナを見て、マーサは、自分に欠けていた何かにはたと気づく……。

(C)Pandora Film Produktion GmbH/Prisma Film/T&C Film/Palomar

人生を楽しむことを知らない生真面目なドイツ人女性と、陽気で人生を楽しむために生まれてきたようなイタリア人男性。凸凹なふたりが繰り広げる大人のラブストーリーだが、なんといっても、リナの心を一瞬にして開いてしまう、マリオの作ったパスタ料理が美味しそうでたまらない。

 

厨房でマリオがつくる故郷イタリアの太陽の恵みがいっぱいつまったシンプルなトマトソースを絡めたもっちり太めのパスタ。削ったチーズ(おそらくはパルミジャーノ)や刻んだイタリアンパセリをふりかけながら楽しそうに食べるマリオにつられてリナも、パスタをついに貪りたべる。

 

美味しそうな香りがスクリーンから漂ってきそうなシーンだ。

(C)Pandora Film Produktion GmbH/Prisma Film/T&C Film/Palomar

この映画、美しく盛り付けられた完璧なフランス料理のお皿が数々登場するのに、なぜかこのシーンが一番食欲をそそる。

 

ハートに響くのは、美食にあらず。

この出来事を境に、リナだけでなく、マーサはマリオに心を開いていくのでした。

食べ物の力ってスゴイ!

出典:ごろ寝さん

 

そんな人生を謳歌するイタリアの魔法を味わえるのが、「リストランテ ダ ニーノ」。陽気なイタリア人シェフのつくる料理は、心も元気になる前菜やパスタ。ちょっと心が疲れているときにどうぞ!

(C)Pandora Film Produktion GmbH/Prisma Film/T&C Film/Palomar

【作品紹介】

天才的味覚と最高の腕を持つ女性シェフ、マーサはハンブルクにあるフランス料理店で働いている。しかし自分の料理を認めない客に乱暴な言葉を投げつけるような彼女のことを、オーナーは「街で2番目のシェフ」と呼んでいた。その意味を知ろうともせず、人との関わりを避けて暮らしていたマーサに人生の転機がやってくる。事故で姉が他界し、8歳の姪リナを引き取ることになったのだ。戸惑いながらもリナの笑顔を取り戻そうとするうちに、人生を楽しむことを愛するイタリア人シェフ・マリオの姿に感化され、今まで見ようともしなかった風景や愛情に気付いていく……。

「マーサの幸せレシピ」 3800円(税別)

発売元:ショウゲート
販売元:株式会社アミューズ