【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレー#124】「エピタフカレー

東京における間借りカレーの聖地として知られる新宿ゴールデン街。こちらでその礎を築いたパイオニアとも言える存在の「エピタフカレー」が、コロナ禍の真っ只中に独立店舗をオープンしました。

場所はゴールデン街からも徒歩圏内の東京メトロ・新宿三丁目駅近く。開店当初はテイクアウトのみの営業だったのですが、現在はイートイン、テイクアウト共に営業中であり、店内は透明シートによる仕切りが随所に施され、感染防止対策もしっかりしているので安心できます。

カウンターメインの白を基調とした清潔感あるお店は、ゴールデン街時代とはまるで違う雰囲気です。

メニューは基本的に週替わりで、3種ある中から、ホタテのミーンモレーとポークビンダルーMARKⅡの「2種あいがけ」1,100円に、「チキンピクルス」400円をトッピング。ご飯は少な目(-50円)でいただきました。

ホタテのミーンモレーとポークビンダルーMARKⅡの「2種あいがけ」

まず看板メニューとも言えるポークビンダルー。週替わり3種の中の1つはこれがほぼ確実に入ります。しっかりとした酸味を包み込むような辛味。刺激的なグレイビーの中に入った豚バラの甘味がその刺激をおいしさに昇華させているという見事な三位一体。南インドカレーをベースにしているお店ですが、日本の米にも合うカレーであり、ご飯は日本米とインド米のブレンドになっています。それがここの持ち味と言えるでしょう。

ホタテはココナッツベースで柔らかくも奥深い味わい。刺激的なビンダルーに対して優しいホタテで、相性も良いです。

「チキンピクルス」

チキンピクルスは冷製のセミドライカレーといった趣。柔らかいチキン、スパイス、ビネガー、オイルが渾然一体となり、これ単品ではおつまみにもなりそうな逸品。ご飯と一緒に食べて良し、カレーに混ぜても味変となって良し。ナイストッピングです。全体的に感じるのは酸味使いの妙。尖った酸味、まろやかな酸味、奥深い酸味、全てを酸っぱ旨さに変換しています。

店名であるエピタフカレーのエピタフとは、プログレッシブロックバンド「KING CRIMSON」の名曲『Epitaph』からきているそうです。歌詞には“Confusion will be my epitaph”つまり「混乱が私の墓碑銘となるだろう」という言葉があります。

マスターは爽やかに見えて……というか実際人当たりの良い方なのですが、もうひとつの顔であるDJになると豹変する狂気を持ち合わせたアーティストであり、まさに良い意味での混乱を内に秘めた方。だからこその個性あるカレーであり、その墓碑銘を店名にしているということからも、このカレーに対する覚悟と決意が感じられるのです。21世紀のカレーマンである僕にとって、味のみならず精神性も含めて大好きなお店のひとつです。

※価格はすべて税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2020年8月1日)時点の情報をもとに作成しています。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/