コナモングルメ特集【エピソード2:うどん編】

出典:辣油は飲み物さん

 

エピソード1では、関西のコナモングルメが発達した理由のひとつとして、「だし文化」との相乗効果があり、大阪でおだしたっぷりのかけうどんが誕生したというお話を、日本コナモン協会 会長の熊谷真菜さんにお聞きしました。そこで、コナモングルメ特集第二弾となる今回は、「うどん」を深掘りしたいと思います。

 

 

――関西のうどんはどのように進化していったのでしょうか?

 

 

明治の中頃に、きつねうどんが生まれます。元々お寿司屋さんをやっていた人が、お稲荷さんのお揚げと素うどんを別々に出したら、お客さんがうどんにのせて食べだした。っていうところから始まってるんですね。

 

 

――きつねうどんは偶然の産物なんですね!

 

 

そうですね。最初にシンプルなおだしをいただいて、食べていくうちにお揚げの甘みや旨みが移って、最後にはおだしの味が変わっていき、飽きない。大阪のうどんは、「麺」と「具」と「おだし」の三位一体で味わうものなんです。これが讃岐地方になると麺が主役で、また違うタイプのうどんになるのですが、最近は大阪うどんと讃岐うどんがミックスした“大阪讃岐うどん”と呼ばれるうどんが広まってきているんです。

 

 

――大阪讃岐うどんとは?

 

 

「釜たけうどん」というお店の店主の木田武史さん(通称:武ちゃん)という方がいるんですが、彼は元々うどんが大好きで、全国を食べ歩いていた人なんですね。それで、香川県に行った時に、ぶっかけスタイルの讃岐うどんに衝撃を受けて、大阪でも食べたいと。その後、自分でお店を出す時に、新しいスタイルのうどんを提案しようと、コシの強い讃岐うどんよりもモチモチ食感の強い麺に、香川のちくわと半熟玉子の天ぷらをのせた「ちく玉天ぶっかけ」というメニューを考案して、“大阪讃岐うどん”というスタイルを広めたんです。元々大阪の人は、料理が出るまでに10分待たされたら帰っちゃうくらいせっかちといわれていて、武ちゃんのお店のうどんは茹で時間に25分かかるんですが、あっという間に行列ができる程大人気になりました。

 

 

讃岐と大阪。両方のイイトコが合わさったうどん界のニューウェーブ・大阪讃岐うどんが食べられるお店を含めた、大阪に行ったら絶対に食べたいうどん店がこちら。

日本コナモン協会 会長のお墨付き!大阪で必食のうどん屋3選

うどんを通して四季を感じられる大阪うどんの名店「道頓堀 今井」

出典:焼肉姉妹さん

 

【コナモン協会会長のオススメポイント】だしを作り置きしないのがモットーの、おだしをとても大事にしているうどん屋さん。季節の野菜、海の幸など、四季の味わいを感じさせてくれるメニューがあり、親子丼も絶品。

 

「だしは鮮度が命」と考える道頓堀 今井では、一度にきつねうどんにして、30杯ずつのだしを一日に何度も作るそうです。毎月変わる季節限定メニューも人気で、この8月は、1kgの蕎麦粉に200枚もの大葉を打ち込んだ大葉蕎麦が食べられます。

うどんの新しいスタイルを広めた元祖・大阪讃岐うどん発祥店「釜たけうどん」

出典:Yooh1さん

 

【コナモン協会会長のオススメポイント】大阪讃岐うどんを世に広め、新しいうどんのスタイルを発信する情熱のあるうどん屋さん。まずは、一番人気の「ちく玉天ぶっかけ」を食べてほしい!

 

関西で美味しいと評判になる大阪讃岐うどんのお店は、大体こちらのお店で修行をした方が始めたといわれている程パイオニア的存在。「キムラ君」「とんがり君」など、ユーモア溢れるメニューの名前も人気の秘訣です。

お祖父さんの代から手打ちにこだわる讃岐うどん界のプリンス「うどん棒」

出典:urya-momenさん

 

【コナモン協会会長のオススメポイント】“朝手打ちうどん”は、独特のもちもち感と、なめらかでキラキラしたのど越しがたまりません。女性一人でも入れる雰囲気も嬉しい。

 

ランチ以外の時間もほぼ満席ということも多い、老若男女問わず人気のお店。平打ちの細ざる麺は毎朝お店で手打ちされており、ツヤっとした見た目も美しいその麺の虜になる人が続出。

次回のコナモンは「蕎麦とラーメン」!

コナモン特集エピソード3となる次回は、「蕎麦とラーメン」をご紹介します。お楽しみに!

 

熊谷真菜(くまがい まな) 日本コナモン協会会長、食文化研究家、道頓堀たこ焼連合会主宰。57日コナモンの日に設立した協会は15年目を迎え、「コナモン」という言葉を全国に定着させた。「だしツッコミ!」を合言葉に極太麺と道頓堀ソース使用の道頓堀やきそば開発など、大阪の名物創生をプロデュース。半夏生に蛸を食べる関西の風習に着目し、粉もんプリンセス三戸なつめとともに、蛸半夏生(たこはんげしょう)キャンペーンを実施。主著は『たこやき』(講談社文庫)、『粉もん 庶民の食文化』(朝日新聞社)など。