ハンバーガーをこよなく愛し、そのおいしさを探求し続ける、ハンバーガー探求家の松原好秀さん。そんな、ハンバーガー界唯一の存在である松原さんに、一食の主食として満足できる、じっくり食べられるハンバーガーを紹介してもらうこの連載。第10回は、ビールとの相性抜群な、神奈川・横浜「Antenna America(アンテナアメリカ)」のハンバーガーの魅力をたっぷり教えてもらいます!

【じっくり食べたいハンバーガー】第10回「アンテナアメリカ」

ハンバーガーはそもそもテイクアウトを象徴するような食べ物なので、やっていない店の方が逆に珍しいぐらいです。配達と持ち帰りのみに特化したデリバリー拠点のような店もあるぐらいで、そんな「テイクアウトが基本」なバーガー界から、今回も頑張るお店を一店ご紹介します。それも、「おいしいクラフトビール」を添えて。

ご紹介するのは「アンテナアメリカ」というお店です。場所はJR・横浜市営地下鉄の関内駅から徒歩5分あまり。イセザキ・モールから少しはずれた、古びたオフィスビルの5階にあります。「え? こんな場所に?」と思うような建物ですが、まぁ入ってみてください。

アンテナアメリカはハンバーガー店ではありません。その筋では有名な、アメリカのクラフトビールを扱う販売所です。冷蔵ケースの中を覗いてみると、カラフルなデザインのビールがまぁ~いっぱい! 同店を経営するナガノトレーディングは、その筋ではこれまた大変有名なクラフトビールのインポーター(輸入業者)で、現在、全米約40のブルワリーが醸造する200銘柄以上のビールを輸入販売しています。

 

店内にはナガノトレーディングが取り扱うほぼすべてのビールが並んでいて、買い求めることができます。缶・瓶のほかに、樽生ビールが計8タップ、サーバーに繋がれていて、すべて店内で飲むことができます。つまり“角打ち”できるということですね。

フードメニューは写真のとおりです。乾き物からハンバーガーまで全12品。加えて“Today’s Specials”が毎日5~6品。すべてビールの“アテ”にすることが前提のフードばかりです。現在、全品テイクアウト仕様で販売中。中から人気トップ3をご紹介しましょう。

 

まずは看板メニューの「スーパー“おいしい”バーガー」。最初からチーズがのった「チーズバーガー」です。自家製ベーコンをトッピングしてテイクアウトしました。

「スーパー”おいしい”バーガー」882円に自家製ベーコン237円のトッピングで1,119円。付け合わせはワッフルフライとタテ半分に割ったピクルス

箱を開けるとこんな感じ。バーガーの横にはケイジャンスパイスを振ったワッフルフライがどっさり。数えたら11個ありました。そしてポテトの山に隠れて半分に割ったピクルスも。ボリュームに不足なし!

合わせたビールはカリフォルニア“ファイアストーン ウォーカー”の「ファイアストーン ラガー」。万能感のあるラガービールの軽快な飲み口が、ハンバーガーの食べ口さえも軽快に

USビーフ130gパティに、チーズはアメリカ原産のコルビージャック。自家製ベーコンもUSポークを使っており、ここまですべてUS産。グルテンの弾力が弱めのバンズは横浜元町の名店「ポンパドウル」作の特注です。ソースはロシアンドレッシング。さらに飴色になるまで3時間炒めたキャラメルオニオンが入ります。

 

持ち帰りだと時間が経つにつれて、汁が出ます。その水分を帯びて“しとっ”としたところへ、厚切りベーコンが“カチッ”と食感に輪郭を添え、ソースの味わいがそれを甘く支えて、その中央にビーフパティがしっかりと据わる――そんな構成のバーガーで、ビールとの相性がとにかく抜群! バンズに塗ったバターの風味も利いています。

「フィッシュタコス(2P)」800円。タコソースをはじめ、さまざまな味わいが行き交った末の後味はなぜかマイルド。ライムは皮の方を向けて搾って

天気がいいのでタコスはベランダで。にんにく、オリーブオイル、ライムのゼスト(外皮)に浸けてソテーした北海道産のタラを使った「フィッシュタコス」です。フラワートルティーヤに、ピコ・デ・ガロ(サルサの一種)、ワカモレ、紫キャベツ、シュレッドチーズなどを巻いた一品。こちらも軽めなラガーとよく合います。

「バッファローチキンウィング(6P)」882円。セロリ&ニンジンのスティックとブルーチーズソース添え。このソースが強烈! チキンにつけても美味!

そして今回一番の目玉は「バッファローチキンウィング」。ソースは全部で7種類あり、中から辛さ“1辛”の「クラシックホット」を選びました。フタを開けた途端に酸っぱ辛いにおいがツーン! と来ますが、食べてみると、まあまあマイルド。

 

「冷凍は使いたくない」という理由から鳥取産の「匠の大山鶏(だいせんどり)」という産地直送の銘柄鶏を使っています。でも、「いくら良い肉使ったって、こんなハデな味付けしちゃあ……」と思っていたところが、辛いソースで仕上げてもなお、鶏肉の味がしっかりしているところがポイント。持ったときの指ざわりもソフト。“ふわっ”とした立体感があって、薄っぺらくない、良質なバッファローウィングです。

左から定番・シエラネバダの「ペールエール」、ハワイ・マウイブリューイングの「パイナップル マナウィート」、ミネアポリスの醸造所、フェアステイトの「ロゼリ」、そして同じく定番、カリフォルニア・ピッツァポートの「スワミズ アイピーエー」

オンラインストアがリニューアルして、ビールが注文しやすくなりました。しかも「クール便」で届きます。品質を落とさぬよう、工場出荷から船での輸送、日本国内での倉庫保管、さらには売り場での温度管理まで、ビールに適した「3~5℃帯での冷蔵」を徹底しているナガノトレーディングならではの行き届いたサービスです。

外ではなかなか飲みづらい状況ですので、「これ!」と思ったデザインのビールをジャケ買いして、家飲みするのもいい息抜きになるでしょう。日々自粛を頑張る自分や家族へのご褒美的に、明日へのエネルギー補給も兼ねて、ぜひ一杯!

 

※価格はすべて税抜

 

 

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。
※テイクアウトは流動的かつ期間限定の場合も多く、一時的な可能性も含め記事公開時点で取り扱いが終了している可能性もあります。また、日々内容も変化するため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

 

取材・文・写真:松原好秀