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〈今夜の自腹飯〉
予算内でおいしいものが食べたい! インバウンドや食材の高騰で、外食の価格は年々上がっている。一人30,000円以上の寿司やフレンチもどんどん増えているが、毎月行くのは厳しい。デートや仲間の集まりで、「おいしいものを食べたいとき」に使えるハイコスパなお店とは?
リラックスした雰囲気のなかでいただく、創作イタリアンと絶品ワイン
店名の「グラヴィーノ」とは、重力を意味する“グラビティ”とワインを意味する“ヴィーノ”を掛け合わせた造語だ。人々を惹きつけるようなイタリア料理とワインを提供したいとの思いから名づけられた。
全国から旬の野菜、鮮魚、秋冬のシーズンにはジビエが届けられ、その食材をいかすためにメニューは日替わり。ワインはイタリアをメインに、自然派ワイン(ヴァンナチュール)や日本ワインも楽しめる。アラカルトで注文できるため自由度が高く、その価値がわかる大人たちが集っている。
毎日変化する、メニューの豊富さが魅力
翌朝まで暖かな明かりがともる場所が北参道にある。創作的なイタリアンとワインを楽しめる「グラヴィーノ」だ。火曜から土曜までは、翌朝3時まで営業をしているため、近隣の住民はもちろん、仕事を終えた飲食店のスタッフたちも多く訪れる。
扉を開けると、オープンキッチンを囲むカウンター9席と、4名用のテーブル席がひとつ。空間を贅沢に使っているのが印象的だ。季節の食材をたっぷり使った料理が自慢でメニューは日替わり。手書きのメニュー表には「お野菜」「魚介」「お肉」「パスタ」「リゾット」「ドルチェ」などの項目があり、それぞれ5~7種類の料理がリストアップされている。
キッチンに立つのは、シェフの緒続文一さん。
「旬の食材を使って、お客さまがその日に食べたいものをお作りするというのが店のコンセプトです。カウンターに並んだお野菜を見て気になるものがあれば、ご要望に沿ったひと皿をご提供することも可能です」
メニュー数が多く、アラカルトで注文できて、しかも日替わり。ゲストのリクエストにも応えてくれるとあり、毎週のように店を訪れる常連客もいる。
カプレーゼのイメージを一新する、とろ~り食感
店の定番となっているのが「完熟トマトと自家製チーズの生カプレーゼ」。ほとんどのゲストがまず注文するという。トマトとモッツァレラチーズが渾然一体となったカプレーゼを作りたいと考案したオリジナルの一品だ。
熟して真っ赤に染まったトマトは、果肉がしっかりしていて甘くジューシー。そこに、とろりとした舌ざわりのチーズが絡まる。フレッシュチーズのブッラータのような食感だが、作り方は秘密だそう。チーズの豊かな風味も感じられるため、ワインによく合う。なかには、デザート代わりに食べていく人もいるのだとか。
やわらかくてジューシーな、ラム肩肉のポテンシャル
「ラム肩と有機野菜のグリル バルサミコソース」も、ゲストからリクエストが多いひと皿。うまみが強く、適度な香りと食感のあるラム肩肉は、緒続シェフお気に入りの食材だ。生胡椒、バルサミコソース、グリーンマスタードを添えている。
この日の有機野菜は、レンコン、ロマネスコ、ズッキーニ、レディーサラダ、パプリカ、ルッコラ。肉も野菜も、食材の持ち味を最大限に引き出すように心を砕く。例えばズッキーニは、焼き色をつけながら中心部はレアに仕上げフレッシュな食感を残す。レンコンはしっかりグリルすることで甘さを引き立て、ロマネスコは独特の歯ごたえを楽しめるようさっと茹でている。
ラム肉の表面に焼き色がつくまで、香ばしくグリルするのが緒続シェフの流儀。レアな見た目に焼き上げる店も増えているが、少し火を入れたほうが肉のポテンシャルを引き出せると考えている。グリルしたラム肉は、驚くほどやわらかくジューシー。赤身と脂身のバランスがよいため旨味があふれだしてくるのだ。
まずは何もつけずにいただきたい。次に、生胡椒、バルサミコソース、グリーンマスタードと、それぞれに違ったテイストを楽しめる。
シェフのアイデアが光る、創作パスタも外せない!
オリーブオイルをニンニクと唐辛子で香りづけし、本ズワイガニとチェリートマトを入れて炒める。ゆで汁を加えたら、パクチーを投入して馴染ませソースの完成。イカスミを練り込んだパスタと絡ませ、最後に生のパクチーを散らしている。
ワイン好き垂涎の銘柄を押さえつつ、日本ワインもセレクト
イタリアをメインに、各国からセレクトしたおいしいワインを楽しめるのも魅力だ。自然派ワイン(ヴァンナチュール)を代表する銘柄や、ワイン好き垂涎の1本、知る人ぞ知る日本ワインまで幅広く取り揃えている。グラスワインは、スパークリング1種、赤ワインと白ワインは各3~4種ほど。各都道府県にスポットを当てたフェアを開催しており、この日は“兵庫県”の日本ワインも6種ほど楽しめた。
「山梨、北海道、長野、山形などでワインが造られていることはみなさんご存じでしょうが、実は47都道府県中ほとんどの地域にワイナリーが存在します。日本の醸造家による、素晴らしいワインも楽しんでいただきたい」とソムリエの黒岩さんは話す。
女子会やパーティに使える、2階のテーブル席も見逃せない
2階にはパーティにぴったりの空間が広がっている。コースでの提供のみになるが、事前に予算を伝えて相談すれば、日本ワインに合う料理、イタリアワインに合う料理など、テーマに沿ったコース料理とワインのマリアージュも叶う。グルメ好きな友人たちで集い、パーティを開くのも楽しそうだ。
シェフの穏やかな人柄がにじむ、心のこもったおもてなし
「大切な人や、親しいご友人と語らいながら料理とワインを楽しんでいただけるとうれしい」と緒続シェフ。例えば2人で訪れたなら「お野菜」「魚介」「お肉」「パスタ」からひと品ずつ選び、軽いコースのように楽しむのが理想的だ。アラカルトで注文してもシェフが2皿に分けてくれる。もちろん、おひとりさまも歓迎で、ハーフサイズで提供できるメニューも豊富。今回紹介した3品はすべてハーフサイズも可能だそう。
かゆいところに手が届くホスピタリティに、何度も訪れたくなってしまう。
■食事
・完熟トマトと自家製チーズの生カプレーゼ 900円
・本日の鮮魚のカルパッチョ 1,700円
・ラム肩と有機野菜のグリル バルサミコソース 1,800円
・本ズワイガニとパクチー・チェリートマトのガーリックソース イカスミを練り込んだパスタ 1,800円
・自家製ドルチェの3点盛り 900円
■ドリンク
・スパークリングワイン 1,000円×2
・白ワイン 800円×2
・赤ワイン 900円×2
■席 300円×2
合計 13,100円(1人 6,550円)
※価格はすべて税込