〈New Open News〉

毎日、たくさんの新しいお店が登録されている「食べログ」。そんな「食べログ」のデータベースの中でも、オープン早々、高い評価の口コミがあったり、多くの「保存」をされたりしている『注目のお店』を食いしん坊ライターが紹介します。早くもお店に訪問した食べログレビュアーのコメントも掲載!

鰻はし本(東京・日本橋)

うな重(は) 写真:お店から

1947年創業、「食べログ うなぎ 百名店」にも選出されている老舗鰻料理店「鰻 はし本」。老朽化のため近隣の店舗で営業していましたが、2年に及ぶ建て替え工事が完了し、2024年10月、日本橋駅から徒歩5分ほどの元の場所にリニューアルオープンしました。

モダンな店内 写真:お店から

新店舗は木造2階建てで、店頭には歴史を感じる看板や創業以来の「うなぎ これ くふうて やくのむな」(鰻を食べて薬を飲むな)という理念を書いた高札が飾られています。店内は格子窓や左官仕上げの土壁など、日本の伝統美を受け継ぐ意匠が随所に取り込まれ、洗練された空間。オープンキッチンで臨場感あふれる1階にはカウンター席と小上がりがあり、間近で職人技を楽しめます。2階にはソファ席もあり、明るい光が差し込むガラス張りの坪庭が配され、落ち着いた雰囲気。

手間と技を要する江戸焼きを忠実に再現 写真:お店から

同店で腕を振るう橋本正平氏は、高校卒業後アジアやアメリカを放浪し、DJとして活動していましたが、24歳で「鰻 はし本」の板場に入り、2016年に4代目店主に就任。最近では時間効率を考え、営業前に白焼きまでを済ませておく鰻屋も多い中、原点回帰を掲げ、可能な限り仕込みをしないスタイルで、手間暇を惜しまず鰻と向き合っています。つぎ足しのタレを使用し、食感、香りを余すところなく引き出した江戸焼きが誇る味を提供します。

「タレはくぐらせた鰻の枚数で味わいが増す」とタレ壺を育てている 写真:お店から

使用する鰻は、鹿児島県泰斗商店の横山桂一氏が水質や餌、水温にこだわり、ていねいに育てた「横山さんの鰻」や、天然鰻に近い味と称される岡山県西粟倉村の「森のうなぎ」など、鰻本来の甘みや香りを持つ国産鰻を厳選。ブランドだけでなく、江戸焼きにした際にもっともおいしくなるように、身の締まり方や脂の乗り、サイズまでこだわっています。またタレは、橋本氏自身が焼き上げる鰻に合うタレを追求。鰻の脂に合うよう、キリリとした中に甘みを感じるタレに仕上げています。鰻のおいしさを際立たせる米にも厳選し、石川県産を中心に、国産コシヒカリを使用。品種だけでなく、水分量や炊き方にもこだわり、もち米をブレンドしてやや硬めに炊いているそう。タレとしっかり絡み、それでいてべたつかず、口に含んだ時にはらりとほどけていきます。

うな重(ろ) 写真:お店から

メニューは自慢の「うな重」(い)4,070円、(ろ)5,280円、(は)6,930円を、鰻の大きさに合わせて用意。艶やかにふっくら焼きあがった鰻は香ばしく、もっちり感のある米と共に口に入れれば、思わずうなるおいしさです。

肝焼き 写真:お店から

他にも「肝焼き」880円や「ひれ焼き」770円、「くりから焼き」825円など、鰻のいろいろな部位を串焼きで提供。「うまき」1,950円や「骨せんべい」550円など、鰻店ならではの酒のあてや、「板わさ」880円、「九条ねぎのぬた」880円など一品料理も用意しています。また同店の魅力を存分に堪能できるコースも9,900円と13,000円の2種類あり、こちらは前日正午までの予約が必要です。

臨場感のあるカウンターができた新店舗で、江戸前鰻の味を楽しみに足を運んでみてはいかがでしょう。

食べログレビュアーのコメント

中目のやっこさん
うな重 い   出典:中目のやっこさんさん

『・うな重 い 4,070円
・肝吸 440円

目の前に広がる光景は見ていて実に飽きない。
炭台の隣にはタレ壺、そして蒸し露が並び、タレに漬けて焼かれると芳ばしい香りと共に立ち上がる音がグッと空腹を刺激する。

待つこと30分で着重となりました。この日の鰻は鹿児島産とのアナウンスを添えて。

漆黒のお重には黄金色の家紋のみのシンプルなデザイン。
蓋を開けると、一瞬にして豪華さを放つ表情へと変わり、器の縁の模様とその均一で穏やかな飴色に滲んだタレで艷やかなフォルム。

箸で持ち上げようとする軽い力だけでも、すぐに解れるほどにデリケートな身。
一口運ぶと、タレのほんのり伝わる甘みと醤油の風味を醸すように、後味のキレでしっとりと伝わる上品な身の旨味と多幸感。驚くことに皮目を全く感じさせない身にフィットした食べ心地が特徴的で、ただふわふわとした口どけではなく、その過程で繊維から旨味を伝えてくれるかのよう。

そこに合わせるお米は驚くほどに粒立ちがよく、上層のみタレに染まった抜群の解け。
甘みはさほど強くないため、鰻の味わいに重きを置いた寄り添うバランス感。

後半に山椒を乗せれば、きめ細やかな青みが良く乗り、後押しする痺れが粋な余韻へとつなぐ。

肝吸いはクリアな味わいの中に仄かに感じる芳ばしさ、フレッシュな口当たりの肝はエグみすら感じさせない。

通常、うな重の一番安いものを頼むと、量などどこか物足りないことが多々あるが、こちらはスタンダードなものでも上質な1尾で満たしてくれる。
また驚くことに半分ほど食べ進めてもお米が冷めにくく、最後まで大変おいしく頂けました。

1階だけでもフロアに4名のスタッフが配置された潤沢なオペレーションで、次々と訪れるお客は当然ながら予約をされて楽しみに訪れる方ばかり。
また炭台に面したカウンターは少しの灰が舞う程度で煙や匂いは全くといっていいほど気にならないばかりでなく、6名の職人が引き立てるライブ感が堪らない。

鰻と向き合う空間がつくられ、そして伝統を重んじた江戸焼うなぎをお重に込めて。

再始動された「鰻 はし本」の魅力をお試しください』(中目のやっこさんさん)

Massow
至近距離で焼き場を見られる   出典:Massowさん

『鰻はし本@八重洲にて、うな重(は)
解体工事で日本橋へ移転後、元の場所でリニューアルオープン。ランチ飛び込みでの訪問。うな重メニューは変わらず「いろは」。1階カウンター席からは至近距離で焼き場ライブが観覧できるのは至高の時間。ランチ時は蒸し置きした蒲焼きを焼くだけなので10分ほどで着重。うな重は言わずもがなふんわり食感で老舗のクオリティ。ごちそうさまでした』(Massowさん)

※価格は税込。

文:佐藤明日香