【カレーおじさん\(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2024年10月を振り返る

10月もさまざまなカレーやスパイス料理をご紹介しました。インドカレー、スパイスカレーはもちろん、カレーラーメンやカレー串カツという変わり種も。

カレー、そしてスパイスの可能性は無限です。さまざまな料理と融合してその魅力をより高めてくれたり、新たな発見で楽しませてくれたりする存在。色々と食べれば食べるほどその魅力にはまっていくと同時に、スパイスの薬効で元気になってくる気もします。晴れれば暑く、雨が降れば寒く、気温も不安定な今のような時期は、特にスパイスパワーで体調と精神の安定をはかりたいですね。

というわけで10月にご紹介したカレーとスパイスのお店は以下4店舗。

  1. カレー好きも串カツ好きも要チェック! 祖師ヶ谷大蔵に誕生した注目店
  2. インドカレーを大阪的スタイルで提供する人気店が繁華街から住宅街へ移転
  3. カレー激戦区で人気のカレー店の跡地に入ったのは姉妹店でした
  4. 目黒から巣鴨そして梅島へ移転したラーメン店の絶品カレーラーメン

多角的にカレーを楽しめる4店舗となっております。気になったらブックマークしておいてください!

【第1週のカレーとスパイス】ソースの代わりにカレー!? 祖師ヶ谷大蔵にカレー串カツ専門店が誕生「かれー串かつ キダムマサラ」

今やカツカレーは世界中で人気の日本食と言って差し支えないほどの存在となりました。カツとカレーの相性の良さは誰もが知るところ。そんな中で変わり種の新店舗が誕生しました。その名も「かれー串かつ キダムマサラ」。2024年8月15日、祖師ヶ谷大蔵駅の北口からすぐ近くにオープンしたお店です。

2024年8月15日、祖師ヶ谷大蔵にオープン

店主は幼少の頃からのカレー好きで、上京後にカレーを自炊するようになり、三軒茶屋の串カツメインの居酒屋でアルバイトをしながら串うちと揚げを習得。その中で出会ったネパール人スタッフにカレー作りを習い、自分でも本などで学びカレー作りを覚えたとのこと。

店内の様子

「カレーとカツって合うじゃないですか。だったらカレーと串カツも当然合うんですが、それを専門にやっているお店って見当たらないので、いけるんじゃないかと思って!」と笑顔で語るマスター。

その通りです。串カツ専門店でカレールウやカレーパウダーを置いてあるお店は時折見かけます。しかしキダムマサラはそのレベルではありません。カレーソース自体が3種類もあるほどに、カレーと串カツの組み合わせに力を入れているのです。

写真左から「カマンベール」「うずら」「かいせん」「ぶた」、カレーソースは「クラシック」(小サイズ)

まずは串カツを色々とオーダー。「ぶた」280円、「かいせん」300円、「うずら」180円、「カマンベール」280円を。「かいせん」は日替わりで、この日は帆立の貝柱でした。カレーソースはクラシック、オリジナル、ビンダルーの3種。どれも気になりますが「クラシック」300円(小サイズ)を注文しました。

濃厚なカレーソースをつけて、いただきます!

専門店だからこその素材を活かした串カツのおいしさはもちろん、カレーソースが実に面白い仕上がり。玉ねぎベースで野菜の甘みを感じる濃厚なカレーソースで、このままご飯にかけてもおいしいだろうカレー。ソースのカレー味ではなく、スパイスカレーそのものを串カツにつけて食べている感覚。

「キダムマサラプレート」(小)

ご飯が食べたい方にはカレーライスのプレートもありますし、串カツとカレーソースとご飯のプレートもあります。「キダムマサラプレート」1,300円(小)を、ビンダルーソースで注文。ビンダルーとは南西インドゴア地方の名物料理ですが、それをソースにしているところや、副菜にキャベツのトーレン(ココナッツを使って炒め蒸す南インド料理))があるあたりもカレーマニア心をくすぐります。こちらも程よい酸味とスパイス感のビンダルーソース。ご飯と一緒に食べれば当たり前のように合いました。

「前菜3種」

串カツのみならず他の料理も良いです。「前菜3種」550円は鶏ハム、自家製黒酢ピクルス、マスタードポテトサラダ。それぞれ丁寧に作られていてこの価格は実にお得。一見普通そうに見えるメニューにも、フックになるハーブやスパイスを使っていてそれがおいしさにつながっています。

「麻辣ポークキーマのあたま」

「麻辣ポークキーマのあたま」680円は中華風のキーマを全粒粉クラッカーの上にのせていただきます。このキーマもネギの存在感があり、ご飯にも合うこと間違いなしの味。

「山椒香るジンジャー」

飲み物も「山椒香るジンジャー」780円など、スパイスラバーが喜ぶメニューがあり、スパイス好きにはたまらない居酒屋と言えるでしょう。

曜日限定でランチ営業もしているので昼にカレーライスを楽しむも良し、夜にさまざまなカレーソースで串カツを楽しむも良し。近くにあったら定期的に通いたいお店です。スパイスカレー好きで串カツ好きな方には確実に刺さるお店。

テーブル席

カウンターメインですがテーブル席も1セットあります。何人かで行ってカレーソースを食べ比べるのがおすすめ。僕もまだ食べていないオリジナルソースを確かめに、また行きたいと考えています。

【第2週のカレーとスパイス】繁華街から住宅街へ。大阪の人気カレー店「ほなまた」が移転してパワーアップ!

大阪は言わずと知れたスパイスカレーの激戦区であり、創作系の自由なスパイスカレーを多く見かけますが、中にはオーセンティックな現地料理をわかりやすくスパイスカレー的なスタイルで提供しているお店もあります。

エメラルドグリーンの外観が目印の「ほなまた」

今回ご紹介する「ほなまた」も、インド料理をスパイスカレー的に表現したお店。2024年7月15日に今里駅と鶴橋駅のちょうど間くらいの位置に移転オープンしました。

店内のカウンター席
テーブル席も用意

エメラルドグリーンの鮮やかな外観が印象的なお店。中に入ると移転前のお店よりかなり明るくなっていて、居心地の良い空間です。

取材日のメニュー

こちらのカレーは先述したようにオーセンティックなインド料理をベースとしていて、定番メニューの野菜カレーと限定メニューのカレーがいくつかあります。僕のお気に入りは野菜カレー。

写真手前が「野菜カレー」

野菜カレーは肉や魚のうまみに頼れないのでごまかしが利かず、シェフの実力が特に出る料理だと思っているのですが、こちらの野菜カレーはベースのマサラ自体のレベルが高く、野菜のみでありながらしっかりと印象に残る力強さがあります。

「野菜カレーチキン付き」に「ヒイカのアチャール」をトッピングして注文

今回は「野菜カレーチキン付き」1,200円の小盛(-50円)と「ヒイカのアチャール」200円をトッピングして注文。付いてくるチキンは、限定の「西インド風チキンカレー」のこと。青唐辛子の爽やかな辛さとヨーグルトの優しさが印象的なカレーです。

野菜カレーに付いてくるチキン(西インド風チキンカレー)

写真を見るともうひとつカレーがあることがわかると思いますが、こちらはダル。豆のカレーです。というわけで2種盛りで注文しても実質3種盛りというお得感があるのがうれしいところ。

酸味とうまみの利いた「ヒイカのアチャール」はカレーのアクセントにぴったり

ダルは優しく他のカレーの味を邪魔せず、混ぜた時に味をつなぐ役割も果たします。ヒイカのアチャールは優しい酸味とヒイカのうまみと良い意味での苦みをスパイスで見事にまとめたもの。副菜にもそれぞれ意味を感じるおいしさであり、ひとつひとつの料理のクオリティが高いです。

「羊のネギマ」

夜にはスパイスおつまみでお酒を飲めるスタイルにもなるということで「羊のネギマ」250円もいただきました。焼き具合も程よく、羊肉のブリンとした食感と長葱のジュワッとした食感のコントラストが楽しく、味わい的にも調和しています。インドでは長葱を使うことは少なく、ネギマというのも日本ならではの発想。

あくまでオーセンティックなインド料理の調理法にこだわりつつも、提供のスタイルが自由なのが大阪的であり、素晴らしいです。

夜はスパイス飲みも◎

シェフは人気スパイスカレー店に1年半勤務した後に「食べログ カレーWEST 百名店」にも選出された「ココペリカレー」の立ち上げメンバーとなった方。その後ココペリカレーで働きながら、同時に人気インド料理店でも6年間アルバイトをしながらインド料理への理解を深めていき「ほなまた」で独立したという経歴の持ち主でもあります。

「カレーと聞くと、辛いという先入観やナンで食べるものだと言うイメージがまだまだ根強いことを移転してより強く感じました。お米に合うインドカレーも、辛くないカレーももちろんあります。たくさんの方に食べていただき、日常の食卓にも取り入れられるくらい身近に親しんでもらいたいです」と語ってくれました。

繁華街から住宅街へ移転したこともあってそのように感じられているようですが、まさにその通りです。インド料理の良さ、おいしさを本格的かつわかりやすく提示してくれる貴重な存在。昼も夜も違う楽しみ方ができる、通い甲斐のあるお店です。