トップシェフが夢のコラボ
博多「キャナルシティ」のすぐそば、那珂川を一望する立地に、食とエンターテインメントの融合施設010 BUILDINGがオープンした。ニューヨークのグッゲンハイム美術館を思わせるアーティスティックな建物は3階建て。
1階は、アジアのベストレストラン50でもランクイン常連の「ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール・ゴウ」のシェフ、福山 剛氏とアジアナンバーワンシェフの呼び声も高い、ガガン・アナンド氏のコラボレーションレストラン「GohGan」。
すっきりとシンプルな店内はアラカルトスタイルで、カジュアルにクリエイティブな料理が楽しめる。
目指すのは「唯一無二の料理」
メニューには福山氏のスペシャリテと、ガガン氏のスペシャリテが並び立つだけでなく、この場所でしか食べられないスペシャルな料理を出したいという剛×ガガンの個性が際立つ料理が味わえる。
全体の構成は、冷前菜6品、温前菜6品、カレー6種、ご飯など4種にデザート3種といった具合だ。実は、オープン3日前に取材をしたのだが、来日していたガガン氏が、唯一無二の料理をと強く訴え、メニューの約半分を二人で構成しなおしていたという、気合の入れようだった。期待に胸が高まるではないか。
フロアやエリアごとに違った楽しみを
川沿いに張り出したデッキ部分も広く、春頃には外で食事や飲み物が楽しめるようになるそうだ。また、屋外にも調理ができるカウンターがあり、他店のシェフやバーテンダーを呼んで角打ち的なお楽しみスペースもできるという。
これだけでも充分盛りだくさんなのに、2階には、本格的なショーレストランとバーが設けられている。ショーは、NYとロンドンでその名を馳せる「The BOX」という店舗を運営する「OTBA(Outside The BOX Amusements)」がプロデュースする「THEATER 010」が担当。歌ありアクロバティックなダンスありの本格派。18~23時までがショータイムで、客は出入り自由。席によって価格は異なるが、ショーを見るだけならスタンディング1,100円〜とリーズナブル。料理や飲み物は1FのGohGanからオーダーできるシステムだ。
バーは、奈良の「ランプバー」の金子道人氏プロデュース。「ランプバー」はアジアのベストバー50にもランクインする名店中の名店。とっておきのカクテルを楽しみたい。
そして3Fの「Goh」は、福山氏の牙城だ。こちらのオープンは来年1月の11日と一足遅くなる。ロングテーブルを14人で囲んで食事をする、いわゆる、ターブルドットスタイルのお店。ロングテーブルの端にプレゼンテーションスペースがあり、福山氏はそこで、仕上げや盛り付けを行う。その奥がキッチンになっており、時には扉を開けはなってオープンキッチンにして営業することもあるとか。料理は完全なおまかせのコースのみで、福山氏の世界観がまるごと楽しめる。
わざわざ食べに行く価値がある、ここだけの料理
今回はGohGanのスペシャリテ3品を紹介してもらった。
まず、「寒鰤とフェンネルのリキッドサラダ」1,500円。皿一面に敷かれたグリーンはフェンネルのソース。その上に2日ほどマリネしたブリを盛り、山わさびと発酵させた塩レモンを添え、生のフェンネルをあしらっている。
柑橘系の香りと山わさびのピリッとした辛味がアクセントになり、実にブリをおいしく食べさせてくれる。盛り付けの時まで、二人で共同作業を行っていた、まさにコラボレーションメニューだ。
2品目はガガン氏のスペシャリテである「GohGan スパイシークラブカレー」3,600円。インドのコルカタ出身のガガン氏にとって、カレーはまさにエスプリ。ストウブの小鍋で炊き上げたご飯とともに香り高いカレーが供される。
スパイシーながら、蟹の旨みがギュッと詰まった、まろやかさもある味わいは、やみつきになること請け合いだ。このカレーを食べるためだけにでも足を運ぶ価値がある。
最後はデザート、その名も「CCC」モエ・エ・シャンドン付きで5,000円。一見してチョコレートタルトだが、実は上にのっているのはキャビアだ。なぜ、Cが三つ並ぶのかというと、チョコレート、キャビア、シャンパーニュの頭文字をとったから。そう、まさにシャンパンにぴったりのデザートなのだ。
とろけるような芳醇なチョコレートにキャビアの塩気がたまらない。なんとも贅沢なデザートだが、これも二人での合作。博多で食事をしたあとに、このデザートとシャンパーニュだけを楽しみに訪れるのも洒落ている。
テーマパークのように、美食の楽しみがてんこ盛りの010 BUILDING。食の都としても名高い福岡で、新たな名所になることは間違いない。