〈食べログ3.5以下のうまい店〉

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー！ 食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。

点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

そこで、グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、日本全国はもとより世界各地を食べ歩く「タベアルキスト」のマッキー牧元さんに、大阪府豊中市で50年以上続く下町の大衆食堂を紹介してもらった。

教えてくれる人

マッキー牧元
株式会社味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食いそばから割烹、フレンチ、エスニック、スイーツに居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ・テレビ出演。とんかつブームの火付役とも言える「東京とんかつ会議」のメンバー。テレビ、雑誌などでもとんかつ関連の企画に多数出演。

下町風情漂う商店街で愛される老舗大衆食堂「お食事処 ここや」

年間外食回数600回を誇り「タベアルキスト」の異名を持つマッキー牧元さん。あらゆるジャンルのお店を食べ歩いてきたマッキーさんが「大阪の食通の友人から薦められて、さらにその方が有名グルメ雑誌にも紹介されていた」のをきっかけに足を運んだのが「お食事処 ここや」。

お店は阪急庄内駅からすぐの下町風情が漂う西本町商店街の中にある。創業は昭和44年。まさに昔ながらの大衆食堂という佇まいが実に趣深い。「昼はランチ、夜は居酒屋使いと地元民から愛され続けてきた老舗大衆食堂」とマッキーさんが語るだけに期待はいやが上にも高まる。

食べログ点数は3.26とはいえ「とにかく安くて、おいしい。一杯引っかけるのにも最適！」とマッキーさんが太鼓判を押す、その実力を早速探ってみることにしよう。

※点数は2021年11月時点のものです。

メニュー豊富な食堂でありながら鉄板焼きも注力するハイブリッドスタイル

店内に一歩入ると目に飛び込んでくるのが、コの字のカウンター。中には大きな鉄板があり、なにやらジュージューと食欲そそるサウンドを響かせている。そのカウンターを中心にテーブル席や座敷席が取り囲み、まだ陽の高い時間だが、常連客とおぼしき人たちが思い思いに杯を傾けている。

「昼は定食、夕方からはお酒を楽しむ人が多いですね。皆さんの多くが地元のお客様ですよ」と語る店主の兼田貴史さん。品書きを見れば、様々な定食はもちろん、うどんやカツ丼といった王道メニューに加え、お好み焼き、串焼きなど鉄板焼きも充実。定食と鉄板焼きの二つを主軸に据えた構成だ。

オール250円の小鉢は、定食の副菜や酒肴の一品として大車輪の活躍

「定食のメイン料理以外の小鉢は、あの棚から一つ選ぶことができます」と兼田さんが指さす先を見れば、ハンバーグ、唐揚げといったガッツリ系からサラダ、和え物などあっさり系までバラエティ豊かな小鉢がずらり！

これらの小鉢を単品でオーダーすることも、もちろんOK。驚くべきはそのコスパ。なんと全て250円で楽しめるのだ。料理によっては原価割れしているのでは？と心配にもなるが「トータルで計算してバランスをとってますから大丈夫です」と兼田さんは笑う。