リーズナブルな小鉢とこだわりの一品料理を駆使して一杯やるのがマッキー流
「小鉢が破格なので、心置きなく飲めるのである」とはマッキーさん。これらに加え、鉄板焼きやそのほかの一品料理でリーズナブルかつ豪華に楽しむのがマッキー流。数あるメニューの中で、マッキーさんがイチオシなのが「とん平焼き」だ。
とん平焼き発祥の系譜を継ぐ伝統のレシピ
関西人のソウルフードの一つである「とん平焼き」は、炒めた豚肉や野菜を薄焼き卵で包んだ一品。「実はとん平焼きは、およそ50年前に私の親戚が発案したメニューなのです」と驚きの情報を披露する兼田さん。初代も先代もその親戚の店でとん平焼きを習得したのだ。
こちらのとん平焼きは、その発祥店の系譜を継いだレシピを忠実に守っている。具材は分厚い豚肩ロースの一枚肉。柔らかな卵焼きの中からジューシーな肉が現れ、食べ応え十分。甘辛ソースも相性ばっちりだ。
マッキー牧元
昔ながらの小判形で、卵はふわふわ、そしてほのかにカレーの香りがする、自家製ブレンドソースがたまらない。これで一杯やるのが実にいい!
このとん平焼きに250円追加すれば、ご飯、みそ汁、小鉢一つが付く「ここや定食」にグレードアップできるのもうれしい。お酒ではなく、しっかりと食事をしたい人もうれしいサービスだ。
あれこれ悩みながら選ぶのも楽しい小鉢のラインアップ
小鉢が並ぶ棚を改めて眺めてみれば、シラスおろし、ホタルイカ酢味噌、カレイや鰯の煮付け、フライ盛り合わせ、おひたしなどなど、まさに「これをアテに飲んでください」と言わんばかりのラインアップ。なかでもマッキーさんが好んでオーダーするのが次の品々だ。
この日はナスと菜花が主役の煮物。柔らかに煮込まれたナスには、たっぷりとだしの味が染みこみ、優しい味わいにホッとする。ほかにもエビと卵とカボチャ、鶏とゴボウなど野菜の煮物は季節に応じて内容は替わる。
箸休めには定番の野菜サラダがおすすめだ。いたって普通のサラダながら、卵サラダとポテトサラダが入っていてマイルドな味わい。生野菜のシャキシャキ感とのコントラストも映える一品。「実はこのサラダは隠れた人気メニューで、営業時間中に品切れにならないよう追加で作ることも多いです」と兼田さん。
マッキーさんが愛してやまない小鉢の一つが「てっぴ」。フグの皮のコリコリした食感とぽん酢のさっぱりした味わいが特徴だ。入荷状況により、ない場合もあるので注意しておきたい。
マッキー牧元
まさか大衆食堂で「てっぴ」が味わえるとは! 心地よい食感とフグの旨みを感じる一品ゆえに日本酒や焼酎が進んで困ります(笑)!
ここからは小鉢以外の一品料理にも目を向けたい。串焼きは「ずり」「とり」の2種類あり、1本100円からオーダーできる。マッキーさんが好むずりは、シンプルに塩と黒胡椒で味付けした一品。黒胡椒のスパイシーな風味は、ビールやハイボールなどによく合う。
マッキー牧元
こちらの串焼きは創業以来使い込んだ鉄板で焼くのが特徴。スピーディーに提供できるように、専用のコテで押しつけるように焼くのも面白い!
圧巻はお造り。650円というお手頃価格で日によって異なる4種類ほどの魚介が並ぶ。魚は兼田さん自らが市場へ出向き目利きする。「どんな料理にも手を抜くことはしたくないですから」と胸を張る兼田さん。
マッキー牧元
これだけ食べ飲みして、会計はわずか2,400円! 思わず値段を聞き直してしまいそうなお手頃価格。料理のクオリティも高く、長年愛される所以が分かる気がします。
この日はハイボールを片手に、これらの料理を楽しんだ。ちなみに生ビール(中)500円は平均的な価格とは言え、そのほか日本酒、ハイボール、樽ハイはすべて350円というのも、飲んべえにはうれしい限りだ。
お財布に優しい上に、飽きの来ない豊富なメニュー、何より普段着でも足を運べる飾らない雰囲気がこの店の魅力でもある。きっとまた近いうちに再訪することだろう。