【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】10月を振り返る

今月のカレーは、新感覚カツカレー、大阪からやってきた個性派南インドカレー、千葉で見つけた芸術的バターチキンとモダンインディアン、そして東京・富ヶ谷の朝カレーが初台でも食べられるようになりましたという4カレーでした。

 

食欲の秋、朝も昼も夜もカレーを食べたいものです。インドカレーにも色々ありますし、スパイスカレーも色々で、こういうものだと決め付けない方が楽しめると思います。スポーツの秋でもありますから、たくさん食べてたくさん運動して、健康的に秋を楽しみましょう\(^o^)/

【第1週のカレー】辛さもトッピングも自分好みに。カツカレーの山を目指して行くべきはここ!

9月は半月程インドに滞在していたのですが、インドカレーを食べ続ける中、無性に食べたいと思ったのが「カレーそば」「カレーうどん」、そして「カツカレー」でした。​カツカレーは日本ならではのグルメとして海外の方からの人気も高まっていると聞きます。カツだけでもおいしくて、カレーもおいし​いわけですから、合わせたらおいしいに決まっているという足し算の美学。昔ながらのお店でもカツカレーが名物というお店は少なく​ありません。

 

そして昨今盛り上がっている新たなカレームーブメントの中でも、やはりカツカレーに注目しているお店はあり、面白く​ておいしいカツカレーが生まれています。​今回ご紹介するのは、新しいお店でカツカレーに力を入れている、東京・浅草橋の「カレーピーク」です。​

ピークとは頂上という意味。こちらのお店のマスターは山登りがお好きだそうで、だからこその店名ですね。店内には様々な山の写真​も飾ってあり、山登り好きには楽しい空間と言えるでしょう。​

こちらのお店のカレーは、10種類以上の野菜とフルーツをベースにし、オリジナルブレンドのスパイスで素材の旨味を引き出した優し​いおいしさ。開店当初はフルーツベースのカレーと野菜ベースのカレーのあいがけスタイルだったのですが、現在ではその両者をひと​まとめにしてブラッシュアップしたカレー1種類となっています。

以前のスタイルの方が見栄えは良かったかもしれませんが、純粋に​味でいえば現在のものの方が個人的に好きです。​このカレーにトッピングをどう加えて行くか、ご飯の量、辛さはどうするのかを選んでいく、昔ながらのカレースタンドスタイルにリ​ニューアル。これによってより自分好みに仕立てやすくなりました。​

「ロースカツカレー」

今回は「ロースカツカレー」950円のご飯少な目、4辛(+40円)でオーダー。つまり990円です。ロースカツは低温調理でしっかりと​旨味を封じ込めた豚肉がしっとりと柔らかく、これだけソースをかけて食べても最高においしいと思えます。そんなカツに野菜とフル​ーツのカレーが合わされば、野菜不足も補えてバランスの良い完全食となるわけです。​元々がマイルドなカレーなので、辛さ増しができるのもうれしいこと。個人的なおすすめは3辛か4辛。辛くすることによってカレーの輪​郭が強調されて味が引き締まります。​

ご飯の横にちょこんと添えられた刻みらっきょがまた良い仕事をしています。ほのかな酸味とシャキシャキした食感によって、カツと​カレーを完璧につないでくれる箸休めどころか箸進め的な役割を担っているんです。​卓上にはカツ用のソースもあり、これをカツに少したらして食べると見事な味変になり、最後まで飽きずにペロリといけちゃいます。​このクオリティのカツカレーが1,000円しないというのは奇跡的ですよ。​

 

揚げ物が苦手だという方にはローストビーフ、ローストポーク、やわらかチキンもあります。野菜のトッピングも可能なので、トッピ​ングの組み合わせや辛さの変化で、自分好みのカレーを自分仕立てでオーダーできる楽しさのあるお店。インド滞在時に生まれたどう​にも止まらないカツカレー欲を、ヘルシーに、かつリーズナブルに見事解決してくれました!

 

※価格は税込

※10月1日以降、増税後の価格についてはお店の方にご確認ください

【第2週のカレー】祝移転オープン! 大阪の人気南インド料理店が東京にやってきた

大阪のカレー人気店が東京に進出という形は数年前から少しずつ増えてきていますが、支店が東京にできたわけではなく、大阪の店舗を閉めて東京への完全移転を果たすお店も出てきました。今週ご紹介する「ゼロワンカレー」もまさにそんなお店です。​

大阪のカレー激戦区谷町六丁目駅近くで間借りカレーからスタートし、当初は大阪スパイスカレーを作っていたのが、南インドへ行っ​たことをきっかけに南インド料理にシフトチェンジ。谷町四丁目駅近くで独立してお店を開店し、激戦区の中でも大人気店となり、「食​べログ カレー 百名店 WEST」にも選ばれ、大阪のカレー好きに知らない人はいないほどの有名店となりました。​

 

それがわざわざ東京へ移転。どうしてなのかマスターに理由を聞いてみると、前のお店の広さだとカレーやスイーツなど、出せる料​理のバリエーションも限られてしまい、もっと広い所で良い場所はないものかと大阪のみならず全国で探した結果、東京・三田駅近く​の現店舗にたどり着いたそうです。

 

確かにお店は大阪時代よりかなり広く、厨房も立派。無粋な話ですが、その分家賃も相当高いの​では? と考えてしまいますが、もちろんそれも含めて勝負に出たということでしょう。その意気や良し! そしてもちろん、無謀なわ​けではなく、勝算も十分にあってこそ。​南インド料理ではありますが、そこにオリジナリティがしっかりとあるのです。これは東京にも無いし大阪にも無い、ここでしか食べ​られない独創的南インド料理といえるでしょう。​

 

今週僕が食べたのは「二種盛りミールス」1,890円。選べるカレーは、「スモークラム肉のビンダルー」と「本日のフィッシュカレー(イカとサ​ンマのモイリー)」をセレクト。

「二種盛りミールス」

​まずラムビンダルーですが、カレー自体にもラム肉がゴロゴロと入っている上に、スモークしたラムが​さらにのっているというラム三昧。ラム好き、肉好きにはたまらないカレーです。

「スモークラム肉のビンダルー」

そしてイカとサンマのモイリーも、サンマは先にグリ​ルすることによって臭味を飛ばし、香ばしさを追加。この一手間がしっかりとおいしさにつながっています。

「本日のフィッシュカレー(イカとサ​ンマのモイリー)」

​凄いのはカレーだけではありません。副菜もとにかく手が込んでいます。「サンバル」(豆と野菜のカレー)は、インド南西部の州であるカルナータカスタイルの優しい甘さ。「ワダ」(南イ​ンドの甘くないドーナツ)の揚げ具合も程良く、ココナッツチャトニと良く合います。「ベルプーリ」(インドのスナック)にはフルーツ​が入っているのが面白く、麺料理はカルナータカの州都であるバンガロールスタイルの野菜を合わせたもの。さらには「ダル」(豆カレー)や「アチャール」(インドの​漬物)もついてくる豪華版!

たっぷりの副菜

お値段だけ見ると高く思うかもしれませんが、これだけ手の込んだ料理が色々と並ぶのですから決して​高くはありません。そして食べればむしろお得だということがわかるでしょう。​これだけでも大満足だったのですが、こちらのお店はスイーツにも力を入れているとあれば、デザートも食べないわけにはいきませ​ん。「季節のフルーツソースのフロマージュブラン」500円をいただきました。​

「季節のフルーツソースのフロマージュブラン」

甘さ控えめのしっとりしたフロマージュブランにほのかな塩味のクッキーがのって食感も楽しく、フルーツソースも程良い甘味と酸味​で最高のデザートとなりました。​

 

大阪時代も大好きなお店でしたが、広くなったことによって大阪時代にできなかった色々を心ゆくまでできているのを感じ、大阪時代​よりもさらにパワーアップしているのは間違いありません。​ここにしかない唯一無二の個性派南インド料理。カレー好きなら食べておかねばならない逸品です。そして甘いもの好きならデザート​も忘れずに。幸せの上に幸せが上書きされて、強く記憶に残るでしょう。

 

※価格はすべて税抜

【第3週のカレー】千葉カレー界の至宝発掘! その出合いにカレーの達人が感動したモダンインディアンとは?

日々おいしいカレーを求めて様々なお店へ食べに行っているのですが、久しぶりに感動するお店と出合いました。JR千葉駅から徒歩7~8分の場所にある「ベンガルタイガー」です。

​店名だけ見るとベンガル料理のお店かと想像しますがさにあらず。ではどんなお店なのかというと、インド料理とほかの国の料理をかけ​合わせたモダンインディアンのお店と言えるでしょう。しかし普通のモダンインディアンではありません。モダンインディアンという​と高級志向なお店がほとんどなのですが、こちらは驚くほどカジュアルな価格でモダンインディアンを楽しめる、全国的に見ても希少な​お店なのです。​

シェフはインドの西ベンガル出身で、インド、マレーシア、シンガポールと、アジア各国でその腕を振るってきた方。5つ星ホテルのヘッドシ​ェフをつとめたこともあるという折り紙付きの実力者です。​そんなシェフが作る料理の数々は、インド料理のオーセンティックな部分はしっかりと残しながらも、オリジナリティ溢れるモダンイ​ンディアン。​

「フィッシュ65」

まずは「フィッシュ65」をオーダー。単品だと820円なのが、通常610円のハイボールをつけたセットだと1,150円になるというお得な組み​合わせがあったので、セットでいただきました。65とはインド料理で、その語源には諸説ありすぎて結局どれが正解かわからないので​すが、簡単に言えばスパイス唐揚げです。チキンやカリフラワーの65が一般的。

 

それがこちらではフィッシュで65を作るという​個性派。魚は何かというとワカサギです。確かにワカサギの唐揚げはおいしい。その発想で65。食べてみればこれがまた最高においしい​じゃないですか! サクっと香ばしく揚がったワカサギはスパイスでクセすら旨味に変わっていて、お酒のおつまみとして完璧です。​

「ベンガルタイガーバターチキンカレー」

メインに頼んだのは店名を冠した「ベンガルタイガーバターチキンカレー」。こちらは通常1,080円でパラタ(インドのパン)が付くセット​メニューなのですが、プラス200円でパラタをマレーシア料理のロティジャラに変更できるということで、ロティジャラでいただきました。​このように元々リーズナブルなメニューがさらに安くなるセットサービスが随所にあるのがうれしいところ。そして安いだけではなく最高においしいので​すから本当に驚きの連続です。​

バターチキンといってもほかとは一味違います。こちらのバターチキンは濃厚なバターチキンカレーの上に、芽葱、アマランサス、四川​花椒菜を合わせたものをあしらい、その上にエディブルフラワーで飾り付けしたというアーティスティックな一皿。見た目だけではな​く味も素晴らしいんです。フレッシュな野菜がのることによって濃厚でありながらもしつこくないバターチキンとなり、野菜の食感で​変化が出るので飽きずに最後まで食べられます。​

そしてロティジャラがまた良いじゃないですか。サクサクした食感にほのかな甘味。これだけ食べても良いスナックですし、バターチ​キンとの相性も良いです。​もうこれだけで最高だったのですが、最高ならばもっと色々と食べたくなるわけで。​マレーシア、シンガポール料理もお得意ということだったので、「シンガポール風チキンライス」1,200円もオーダー。

「シンガポール風チキンライス」

これがまたこちらの期待​を超えてくるおいしさで驚きが止まりません。チキンの上にはきゅうりを細かく切ったものがのり、バターチキン同様に食感的にも味覚的に​も良い変化を出しています。そして、一緒についてくるチキンスープがまた絶品。鶏肉の旨味がしっかりと出ていながら雑味は全く無​し。じわじわとそのおいしさが五臓六腑に染み渡る感覚です。​

 

料理によって使う野菜はその時々に応じて変わってくるそうです。それも季節感だったり、旬を考えてよりおいしいものを提供したい​という考えからでしょう。​

 

個性もあっておいしくて、お店の雰囲気も接客も素晴らしくて、しかも安い。こんなお店なかなかありません。千葉カレー界の至宝です。​わざわざ行く価値のある名店ですし、僕もまた電車を乗り継いでわざわざ行くことになるでしょう。

 

※価格はすべて税込

【第4週のカレー】朝カレーが食べられる貴重なカレー専門店に待望の2号店が誕生!

朝からカレーが食べたい! そんな風に思うことはありませんか? 僕は毎朝です(笑)。そんな僕のようなカレー馬鹿にとって、朝から営業してくれているお店はそれだけで尊い存在。そして、東京で朝カレーを食べられる尊いお店の代表格と言えば、千代田線・代々木公園駅すぐ近​くにある「スパイスポスト」があげられます。

 

何しろ朝8時からの営業ですから。​このエリアは他にも朝から営業している飲食店が多く、需要があるからこそなのでしょうが、朝からお店でおいしいカレーを食べたい​ときに重宝しています。​そしてそのスパイスポストが、初台に2号店をオープンさせました。というわけで今週のカレーは「スパイスポスト 初台店」のご紹介。​

初台店は京王線・初台駅南口を出てすぐの遊歩道沿いにある居酒屋のランチタイム間借り営業という形式で、開店時間は10時半から。ラ​ンチタイムよりは1時間程早めにオープンしてくれているので、ギリギリ朝カレーと言えるでしょう。このエリアは朝から営業してい​るお店が少なく、つまりは需要もそれほど無い中でこの時間からオープンしてくれているのは非常にうれしいこと。

 

本店はオープンから​行列の途切れない人気ぶりですが、初台店は9月にオープンしたばかりでまだ認知度もそれほど高くないこともあってか、全く並ばずに食べる​ことができました。​

​僕が食べたメニューは看板メニューの「チキンカレー」と、限定メニューの「生ラムのカレー」のあいがけ。通常はチキンカレー、キーマカレ​ー、そして限定カレーがあり、あいがけはチキンとキーマのあいがけとなるのですが、裏メニューということで限定とチキンのあいが​けを1,500円で提供してくれました。​

お皿の手前が「チキンカレー」

チキンカレーは本店同様にサラっとしたスープ状のカレー。チキンの旨味とスパイスの香りのバランスが良く、行く度においしさレ​ベルが上昇する、進化するカレーなのです。​

 

卓上のスパイスビネガーを加えると味が引き締まってシャープになり、途中からの味変という意味でも使えるアイテム。僕はいつも三​分の一くらい普通に食べてから、その後でスパイスビネガーを加えて食べます。​

 

お皿の手前が限定メニューの「生ラムのカレー」

限定の生ラムのカレーは、冷凍ではなく生のラムを軽くソテーしてからカレーと合わせたもの。ラム特有のおいしさがこのカレーにも​よく合っていてラム好きにはたまらないカレーとなっていました。こちらはビネガーを加えずともラムの強さで味が完成していて隙間が​無かったので、ビネガーをかけずに食べきりました。​

 

スパイスポストのカレーを食べた後はいつもかならずしっかりと汗をかきます。スパイスをふんだんに使っている証拠です。辛さはそ​れほどでもないのですが、食べて行くうちにしっかりと汗が出てくるので、食後に爽快感があるカレーなんです。​

おいしさのクオリティは本店と全く変わりません。本店とは少し違うメニュー展開で、今なら本店より確実に空いています。東京で朝​カレーといえばスパイスポスト。代々木公園駅と初台駅の近くにあり、選べるようになったのは本当に喜ばしいことですね。

 

※価格は税込

 

 

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/