しょうゆ、塩、豚骨、味噌、煮干し、鶏白湯、貝だし、辛痺系……、様々なスープで楽しませてくれるラーメンだが、従来のジャンルにとらわれず、独自の道を行くラーメンが一部のファンに厚く支持されている。そんな個性派ラーメンを食べログマガジンでは「無所属ラーメン」と名づけた。どのラーメンも今は少数派だが、今後は一大勢力となる可能性を秘めている。

1. フレンチラーメン

らーめん 稲荷屋┃稲荷町

カズ兄 ♫
外観    出典:カズ兄 ♫さん

東京・稲荷町にある「らーめん 稲荷屋」は一見ごく普通のラーメン屋だが、店主は元フレンチのシェフ。「フレンチ×ラーメン」といえばフランス料理店なのに平日ランチにラーメンを提供する「オー・グルマン」が思い浮かぶが、「らーめん 稲荷屋」はれっきとしたラーメン専門店。

 

シーズンごとにフレンチの技法を取り入れた限定ラーメンを提供し、その斬新な発想と複雑で奥深い味わいが瞬く間に話題に。毎月訪れる熱狂的なファンもおり、特に週末は限定ラーメン目当てが多いので争奪戦だ。

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ジュドパンタードとパンタードのバロティーヌ    出典:TOMITさん

2・3月は「ジュドパンタードとパンタードのバロティーヌ」、4・5月は「4種の貝のマリニエール 季節のレギューム」と2ヶ月おきにメニューが替わるが、メニュー名だけではどんな味なのか想像がつかず、実際に食べて、未知の味との出会いを求めたくなる。
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ポタージュサンジェルマンとグラスデュバリ    出典:kuroeigorianさん

6・7月の「ポタージュサンジェルマン とグラスデュバリ」は冷たいグリーンピースのポタージュがスープの役割。麺はフェットチーネのような平打ち麺で具材はパンチェッタ、カリフラワーのアイスクリーム、村上農園のハーブがのり、「ラーメン」というより「冷製パスタ」の方がしっくりくる仕上がり。

 

街場のラーメン店で高級レストラン級の一皿を食すというシュールな贅沢体験はここでしかできない。

2. イタリアンラーメン

紅(くれない)┃浅草

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トマトらーめん紅    出典:亜喜丸さん

「らーめん 稲荷屋」がフレンチ出身なら、こちら「紅」はイタリアン出身のシェフ。看板メニューは「トマトらーめん紅」850円(税込)。チェーン店でもトマトラーメンをウリにしているところはいくつかあるが、こちらはフレッシュトマトを使用し、麺は浅草開化楼の平打ち麺、具材には鶏のせせりを使用するなど、独自のこだわりを感じられる。
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冷やし枝豆豆乳らーめん    出典:亜喜丸さん

さらに、ラーメンファンから支持を集めるのが毎年夏季に提供する「冷やし」。昨年は「冷やし枝豆豆乳らーめん」と、かなり独創的なメニューでファンを魅了した。今年はどんな「冷やし」が登場するのか、今から楽しみだ。

3. 鴨ラーメン

中華ソバ ビリケン┃浅草

デイルス・マイビス
外観    出典:デイルス・マイビスさん

2019年7月にオープンしたニューフェイスは東京・蔵前の人気店「らーめん改」の2号店。「中華ソバ」と称しており、このラインアップの中では一番従来のラーメンジャンルに近いかもしれない。だが、鴨と鶏からとった肉の旨みたっぷりのスープに、しっとりと柔らかい鴨チャーシューという、“鴨”を前面に打ち出した一杯は「鴨ラーメン」に分類したい。
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中華ソバ鴨チャーシュー増し    出典:ramen151eさん

「らーめん改」は食べログ評価3.92(2019年7月現在)と点数も高く、2018年には「食べログ ラーメン 百名店 TOKYO」にも選出されている有名店。名物はアサリやハマグリのだしがきいた「貝塩らーめん」だが、限定で鴨を使用したラーメンを提供することもあり、口コミでも高評価だった。
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「らーめん改」の限定・合鴨醤油らーめん+味玉    出典:たりらんさん

「中華ソバ ビリケン」では、限定麺とは趣が異なるものの、これから定番で鴨ラーメンが食べられるとあって、今後、あっというまに人気店になりそうだ。
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単品トッピングの「鴨チャーシュー」(左)   出典:ramen151eさん

「鴨ラーメン」と言えば「らーめん 鴨to葱」「銀座 鴨そば 九代目けいすけ」など都内でも繁盛店が増えている注目ジャンル。今後まだまだ新店が増えそうな予感だ。

4. スパイスラーメン

卍力 (マンリキ)┃西葛西

面食いclover
スパイスラーメン    出典:面食いcloverさん

カレーブームも引き続き盛り上がる中、スリランカ料理や辺境料理の認知がアップし、スパイス居酒屋など身近にスパイスと接する機会も増えてきた。そして、スパイスはラーメン界にも新しい風を運んできているようで、「スパイスラーメン 点と線.」「スパイスらぁめん 釈迦」なども提供する「スパイスラーメン」が、じわじわと人気のジャンルになりつつある。
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外観   出典:yeah!!さん

西葛西にある「卍力」は「中毒性がある」と再訪するファンが後を絶たない「スパイスラーメン」の行列店。食べログのレビューによると、60回以上訪れているコアファンもいる模様。店主は同じく中毒性の高い、東京・神田の「カラシビ味噌らー麺 鬼金棒」出身とあれば納得。
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出典:ysen5さん

スパイスは14種類使用しており、カレーのようでいて、アジアンテイストもあり、深みのある味わい。麺はモチモチとしたやや硬めの中太ストレート。パクチーがいいアクセントになっている。辛さやスパイスの量はお好みで調整可能。

5. 鯛ラーメン

真鯛らーめん 麺魚 本店┃錦糸町

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出典:ys-9-27さん

昨今、「麺屋ま石」「真鯛らぁめん まちかど」「鯛塩そば 灯花」など人気店が増えており、もはや「鯛ラーメン」は定番ジャンルの一つなのでは、と思いつつ全国的にはまだまだ少数派なのであえてご紹介。
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出典:macleodさん

錦糸町にある「真鯛らーめん 麺魚 本店」は食べログ評価3.9(2019年7月現在)と高評価。数多くのラーメンレビュアーが訪れている有名店だ。スープには愛媛県宇和島産の真鯛を使用し、骨から出ただしの旨みが濃厚。麺は北海道産小麦100%の石臼挽き全粒粉を使用した中細のストレート麺で、スープとの相性抜群。低温調理の色鮮やかなチャーシューは上品な味わいで、鯛スープとの組み合わせに違和感なく、トッピングの柚子の香りもマッチしている。
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真鯛らーめん 雑炊セット    出典:ぺっぺ★さん

一番人気は「真鯛らーめん 雑炊セット」1,000円(税込)。夏場は「冷やし」も人気。

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しております。最新の情報はお店の方にご確認ください。
 

文:食べログマガジン編集部