キャッシュレスはグルメ化が進むハンバーガー業界の未来を切り開く鍵となる?

テクノロジーの進化によるキャッシュレス化が進み、ファッション業界では財布を持たない人向けの小型バッグがトレンドになるなど、“お金”にまつわる新たな動きが生まれています。その流れはもちろん、飲食業界にも到来。現金ではなく、交通系ICカードやクレジットカード、スマホ決済などをメインとする「キャッシュレスレストラン」が増えつつあります。

 

そんな中、駅ナカハンバーガーショップとしてお馴染みの「ベッカーズ」でモバイルオーダー実証実験を行っているという噂を聞きつけたのは、ハンバーガー探求家・松原好秀さん。今回は、「ハンバーガーのグルメ化が進んだことにより提供時間に改めて注目が集まっています」と話す松原さんによる、モバイルオーダー実践&実食レポートをお届けします!

 

松原 好秀:ハンバーガー探求家、評論家。2014年に『ザ・バーガーマップ東京』(幹書房)出版。ウェブ・雑誌の連載のほか、テレビ・ラジオの出演も多数。2017年夏には映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』の公開記念キャンペーンの企画協力も担当した。

「いただきます」までたったの4ステップ! ハンバーガー探求家がベッカーズのモバイルオーダーを実践&実食

「ベッカーズ(Becker’s)」をご存じでしょうか? JR東日本グループが経営するハンバーガーチェーンです。首都圏に現在15店(ベッカーズ13店+R・ベッカーズ2店)。主に改札内などの「駅ナカ」にあるのが特徴です。

 

だからとても便利な反面、客が「一時に集中する」ため、対応し切れずに販売のチャンスを「ロス」してしまうのが、同チェーンの長年の悩みでした。その解決は先端技術で――と、始めたのが今回のモバイルオーダー実証実験です。

 

来店客が一時に集中するのなら、お客さまにスマホで事前注文、さらには事前決済までしてもらえば、店側・客側双方の流れがスムースになるというアイデアです。ショーケース・ギグ社が提供する「O:der(オーダー)」というモバイルオーダーサービスを導入して、都内3店のベッカーズで1月末より実験を行っています。

 

 

「モバイルオーダーでハンバーガーを注文する」とは、一体どういった流れで行うのか。実際にベッカーズの専用ページから注文してみました。

モバイルオーダー専用ページ:https://beckers.oderapp.jp

 

【STEP1】店舗を選ぶ

モバイルオーダーが出来るベッカーズは3店舗ありますが、今回は「R・ベッカーズ 池袋東口店」を選びました。「R・ベッカーズ」はベッカーズの派生版です。場所はJR池袋駅の改札外、「PARCO」の1階にあります。

 

 

【STEP2】商品を探す

 

店舗を選択すると商品が出てきます。中からモバイルオーダー限定のお得なセットメニュー「GOGO550円限定メニュー」550円(税込)を選びました。看板メニュー「BECKER’Sバーガー」にポテトフライ(L)+ドリンク(R)が付いたセットです。

 

【STEP3】注文する

 

「テイクアウト/イートイン」を選び、「ドリンク」と「ポテト」を選び、「数量」を選んで商品内容を確定させます。次に注文情報を入力します。

 

・受取時間 20分単位です
・購入者情報 メールアドレスと電話番号
・支払い方法 クレジットカード支払い(一択)

 

 

初回だけ登録の手間がかかりますが、すべて入力すると確定画面が出て、そして注文完了画面が出ます。それでは受取時刻「17:00」に間に合うよう、「R・ベッカーズ 池袋東口店」へ移動しましょう!

 

【STEP4】受け取る

 

ここからはEメールで案内が送られてきます。「ご注文の準備が完了いたしました」とメールが届きますので、店頭でそれを見せれば、すぐに商品を受け取ることが出来ます。待ち時間なし! 現金の支払いなし!

食べたいのはどっち? ベッカーズの自家焼成の酒種バンズと「別格」シリーズ

ところで、ベッカーズのハンバーガーは、粗挽きミートパティと、各店舗で焼いている自家焼成の酒種バンズがその特徴です。チェーン店とは思えぬ「手づくり」感あふれるハンバーガーが食べられます。今回頼んだ「BECKER’Sバーガー」は上下2カ所に入ったサウザンソースの口当たりがとにかくなめらか。コンパクトな中にもインパクト十分。

 

「BECKER’Sバーガー」490円(税込)。パティは粗挽き80g。サウザンソースが口当たりなめらか

 

さらに「別格」シリーズという、注文後にイチから調理を始める本格グルメバーガーのメニューがあります。パティは粗挽き113g。バンズは自家製の酒種バンズ。オニオンはグリルド。ケチャップの酸味と底に塗ったハニーマスタードの香りが利いた、専門店の域に迫る一品です。

 

「別格 ザ★チーズバーガー」690円(税込)。プツプツとした肉粒の粗挽き113gパティの上からチェダーチーズがねっとりかぶさってコク味豊か

 

「別格」を食べずしてベッカーズを語ることなかれ。モバイルオーダーでは「飯田橋東口店」で注文することが出来ます。

モバイルオーダーならファストフードの手軽さ&グルメバーガーとしての質も両立

本来ファストフードのハンバーガーは「時間がない時」手早く食べるのに便利な食べ物でした。ですが近年、グルメ化が進んで質も上がり、より調理の手の込んだ食べ物になって来ています。そこであらためて注目されるのが「提供時間」。昨今の専門店レベルのハンバーガーには「肉を焼く時間」がどうしても必要です。その点で「事前注文」はハンバーガーと相性のよい、至極有効なシステムに思います。

 

一方の「事前決済」はあらゆる商店・飲食店に有効です。現金の扱い・受け渡しには手間と時間がかかります。特に「駅ナカ」の店でそれらの手間暇と人手が省ける効果は非常に高く、キャッシュレス化は待望の流れとも言えるのではないでしょうか。

 

鉄道・交通各社は最新技術を導入して、さらにスマートでスピーディーな商品提供を目指すものと思われます。どんな革新的な技術が登場するか。ファストフード店含めた“駅ナカフード”の今後に注目です。

取材・写真・文:松原好秀