〈食べログ3.5以下のうまい店〉

おいしいもの好きのあの人に「食べログ3.5以下のうまい店」を教えてもらう本企画。今回はフードコラムリストとして活躍する門上武司さんに、「京都御所南 串かつ凡」を教えてもらった。

京都御所南にある、新しい「凡」

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!
食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。
点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

趣あるアプローチを通って店へ

京都・二条通の静かな路地にある「京都御所南 串かつ凡」。2025年9月4日(串の日!)にオープンした、北新地や銀座などで支持を集める串かつ専門店「凡」の新店だ。店内は、古い建物を活かした京都らしい落ち着きと、銅の釜や煙突などが配されたファクトリー感が共存。1階はコの字形の白木のカウンター、2階には半個室や特別室も備え、接待や記念日にも利用しやすい。

1階のカウンター席では、目の前で串かつを揚げる様子が見られる
2階の部屋は特別感のある空気が漂う
 

門上さん

ランチ時、ぶらりと歩いていて「串」という文字に引かれ、アポ無しで訪問。インテリアがモダンなのに、どこか懐かしいです。

店を任されるのは、店長の伊藤聖一さん。食べること、飲むことが好きで30歳から料理の世界へ。神戸のイタリアンで経験を積んでいた頃、客として通っていた「凡」に魅了され、フランス行きをきっかけに入社。パリ店では10年にわたりローカル客の支持を獲得し、日本の揚げ物文化を現地に伝えてきた。その経験が、京都での店づくりにも生きている。

店長の伊藤聖一さん。「串かつはジャンルにとらわれず、いろんな表現があって面白いです」

「胸やけしない串かつ」を掲げる凡のこだわりは、京都でも健在。揚げ油には綿実油とオランダ産ラードをブレンドし、衣は薄くサクサク食感を出すため、目の細かいパン粉を使用。揚げた後は串をクルッと回し、遠心力で余分な油を落とすことで、軽やかな仕上がりに。野菜は京都市中央市場から仕入れるなど地元食材を積極的に使用。常時25種類スタンバイしている串は京都らしい季節感を、一本一本の串に閉じ込めている。

サクサク軽い食感の串かつは、食後感も軽い

いただけるお料理はこちら!

ディナーコースはストップの声がけをするまで串かつが出てくる「おまかせコース」、「お試し12串コース」(8,000円)、「おすすめ15串コース」(11,000円)、「特選18串コース」(15,000円)の4種類。ランチコースは4,000円~、完全予約制で定休日以外は営業しており、10月からは水曜日が定休日となる。今回は夜のコースからお料理を紹介していく。

揚げた枝豆をトッピングした冷製茶わん蒸しは暑い夏にふさわしい一品。串カツは桜チップでスモークした鰻。山椒×赤ワインソースでいただく。オクラの胡麻和え、そうめん南京とささみの梅マヨネーズ和えなど一工夫ある品が揃う。

ソースで描いた凡の文字がユニーク

次は、王道から創意あふれるものまで、串かつを紹介していく。

ニューカレドニア産天使の海老
 

門上さん

プリッと甘みが滲みます。

柚子こしょうでいただく、照り焼き風フォアグラと出汁を煮含めた大根
 

門上さん

フォアグラがソースの役割を果たしています。

揚げた赤酢のシャリに豊洲「やま幸」の本マグロ、わさびを。他では味わえないと評判の寿司かつ

さっぱり味わえると人気のそうめん。オクラやなすなど刻んだ野菜を使った“だし”をたっぷりと。

〆のそうめん

デザートは、温×冷の組み合わせが楽しい最中。中には、抹茶アイス、揚げたヴァローナのチョコレート。

デザートまで串かつをアレンジ

串かつのお供のソースは、シチリア岩塩、自家製赤ワインベースのウスターソース、辛子マスタードソース、割醤油。素材ごとに最適な“当て先”が用意されている。

ソースなしで完結する串かつも多いが、やはりソースも欠かせない

京都で愛される“凡”へ

今は8割が地元客とのこと。「京都の方に愛していただける店になれれば。一本一本、丁寧にお出ししています」と伊藤さん。1周年を迎え、コース内容もリニューアル。ランチも今後、内容を変更する予定だという。店のフランスワインは自身がセレクトしているとのことで、「昼も夜も忙しくしながら、ゆくゆくはバーも併設したいです」と今後の展望についても話してくれた。

フランスでも地元民の心をつかんだ、気さくな伊藤さん
 

門上さん

丁寧な仕事、軽い食べ味が魅力です!

教えてくれた人

門上武司

1952年大阪生まれ。関西中のフランス料理店を片っ端から食べ歩くももの足らず、毎年のようにフランスを旅する。39歳で独立し「株式会社ジオード」設立後はフードコラムニストというポジションにとどまらず、編集者、プロデューサー、コーディネーターとマルチに活躍。関西の食雑誌「あまから手帖」編集顧問であり、全日本・食学会副理事長、関西食文化研究会コアメンバー。著書には「食べる仕事 門上武司」「門上武司の僕を呼ぶ料理店」(クリエテ関西)、「京料理、おあがりやす」(廣済堂出版)、「スローフードな宿1・2」(木楽舎)、など。年間外食は1,000食に及ぶ。

※価格は税込、サービス料別。

文:木佐貫久代
撮影:福森公博