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【第3週のカレーとスパイス】秘密の楽園みたい! 神田でビリヤニが美味と評判の間借り店が移転オープン「パラダイスアレー」
神田駅ガード下に面白いお店を見つけました。入り口からしてわかりにくいのですが、JR神田駅の東口を出てすぐ、居酒屋の「大松」と「伊勢本店」の間の階段を上ったところにある隠れ家的なお店です。
扉を開けて店に入ってみるとカフェ的な空間。壁に面するように席が並んでいるので、少人数での利用がちょうど良さそうです。店内は店主がワンオペで切り盛り。キッチンも開放的なので独特な雰囲気となっています。
昼はカレーとビリヤニ、夜はおつまみもあり、スイーツも用意しているという幅広いメニュー構成。
各カレー(1,200円)に300円追加であいがけにもできるということで「天竺カレー」に「ムンバイキーマ」のあいがけをご飯少なめで注文。副菜ものったワンプレートです。
天竺カレーはカレーというよりも、食べ応えある骨付きチキンをカレーソースで煮込んだというイメージ。野菜やフルーツの甘みとスパイスの香りや良い意味での苦みが調和していて実においしいです。
ムンバイキーマを食べてみるとその現地感に驚きました。イラニアンキーマとも呼ばれる牛挽き肉のキーマなのですが、肉の味が絶妙なスパイス使いでワイルドに引き立てられていて、インド現地で食べているような本格的なテイスト。インド料理マニアであるほど楽しめるおいしさだと言えるでしょう。
これは面白いぞということで気になった「ソーセージのシードル煮」1,000円を頼んでみると、インド産のソーセージを使用し、シードルの甘酸っぱさにカシアやカルダモンといったホールスパイスが使用されていて香り高く、ピリッとした辛さが味を引き締めています。スペイン・バスク地方の郷土料理をスパイス仕立てでアレンジした逸品。お店のコンセプトでもある「クロスボーダー」を感じる楽しい料理です。
日を改めて今度は「鯖のビリヤニ」1,500円を食べに行きました。南インド・ケララのサラセリーという街のスタイルを踏襲したビリヤニは、皿に盛り付けられているのですが、これをターリーにひっくり返していただきます。
鯖の豊潤なうまみと香り高くパラパラしたバスマティライスの融合。鯖好きでビリヤニ好きならたまらない味です。
どの料理も基本的にはオーセンティックなおいしさで、そこに工夫を加えた料理もあり、どういう経緯でこうなったのか気になってマスターにお話をうかがってみると、イタリアンや和食などで約10年間料理の仕事をした後、会社員となるもインド旅行を機にスパイスに魅了され、自作のカレー弁当を持参して出社するようになったそうです。さまざまなスパイス料理を作っていく中で、これを他の人にも食べてもらいたいとの思いからお店を開くことを決意。再びインドへ向かい、現地で料理を習ってレベルアップした後にお店をスタートさせたとのこと。その熱い思いと、スパイスの楽しさを感じる料理の数々。だからこそ僕の胸にも刺さったのでしょう。
マスターは「是非カレー好きではない方にも訪れていただきたいです。うちには辛いだけでなく甘くてスパイシーな料理もあります。スパイスの力で国境を越える感覚を感じていただければこの上なくうれしいです」と語ってくれました。スパイスとは辛いものというイメージを持つ方が多いのが現状ですが、実は辛さはまったくなく甘いものもあります。スパイスを日本語に訳すと香辛料と書きますが、辛さより香りの方が先にくるのです。
物腰柔らかなマスターが楽しみながら作るスパイス料理。マニアはもちろん、初心者の方にも是非行ってほしいお店です。