家族のような仲間とゆっくりと広げる食のコミュニティ

本田:食べ歩きとかに行ったりしているの?
本岡:結構、行っていますね。昔からだと「イチリン ハナレ」。オープンして3カ月ぐらいの時にたまたま行ってから、ずっと通っています。後、仲良しなのは「ラ クレリエール」(移転のため閉店)。互いに行ったり来たりしています。それから「Yama(山)」の勝俣さんとも親しくしています。勝俣さんの実家が山梨だったこともあって、「ビオス」によく来ていただきました。

本田:今後、どういうふうにしていきたいと思っている?
本岡:2023年12月に2店舗目「ERI(エリー)」を東川口駅前にオープンしました。ありがたいことに2カ月目から数字面でプラスになっています。料理長は渡邊理奈さんという、目黒のイタリアン「レストラン ラッセ」で料理長をしていた方です。静岡出身で「ビオス」によく食べに来てくれたことから仲良くなりました。彼女は、喫茶店のような感じのカジュアルなイタリアンで、お客さんがふらっと来てくれて、夜はコースもできるみたいな店がしたいって言っていたんです。「ラッセ」が閉店になるタイミングで、たまたま僕がずっと通っていた、70歳のおじいさんがオーナーの古い喫茶店が閉店することになったんです。誰かやってくれないかなとなって、仲が良かったこともあって僕がやることになりました。それで、理奈さんに声を掛けたら、すごくいい雰囲気だからやりたいということになって。「ERI」がオープンしました。
本田:そっちは地元の人が入っている。
本岡:地元の人にランチが人気みたいです。縁があって、この土地でやっているので、駅周辺の飲食を盛り上げたいなと思っています。1、2年後ぐらいに新店舗を作る予定です。新しく加わってくれたスタッフに、そこの料理長を任せるつもりです。

本田:また店を作るの? すごいね、店舗展開。どんな感じにするの?
本岡:「KAM」と道を挟んだ向かい側に離れがあって、そこをベーカリー兼ワインバルにしようと思っています。「KAM」のパンを買いたいって方がたくさんいらっしゃるので、朝から夕方ぐらいまではベーカリー。夜はワインバル。「KAM」で召し上がっていただいた後、駅へ帰るまでに一軒寄りたいとかいう方もいらっしゃるんですよ。レストランから駅に帰るまでに立ち寄るルートみたいになればいいなと思っています。
本田:楽しそうだね。いいね、それ。
本岡:任せられる人がいないとなかなかできないと思うんですが、2人とも信頼がおけて、家族みたいに仲が良いんです。そういうメンバーがこの周りに集まって、何かできればいいなと思います。
本田:コミュニティができちゃう。
本岡:その分、料理以外の面でもちゃんと管理して、利益もあげないといけないとは考えています。でも、自然な感じでやれたらいいかなと思っています。
本田:いいね。なんか、肩の力入ってない感じで。ゆっくり、いい感じになっているよね。焦る必要もないし。楽しみだね。街にとってもいい話だもんね。ルーツといろんなものがつながって、ここにあるというのは面白いね。ライフスタイルとしても自然でいい。こういうふうにしたいと思ってもできない人たちの方が多いだろうし。31歳でそれを実現してるのはすごい。いい話をありがとうございました。
本岡:ありがとうございます。
取材:本田直之、食べログマガジン
写真:長尾真志
文:小田中雅子
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