本連載のナビゲーター、肉バカの小池克臣さん

小池克臣が推す「予約困難予備軍」の焼肉店

巷には「予約困難」な焼肉店がたくさん存在している。口コミやメディアへの掲載など、予約困難となる要因はさまざまだ。本連載では肉バカ・小池克臣さんに早めに押さえておくべき「予約困難予備軍」の焼肉店を焼き方のポイントとともに教えてもらう。

教えてくれる人

小池克臣
横浜の魚屋の長男として生まれるも、家業を継がずに、外で、家で、肉を焼く日々を送る。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、ほぼ毎晩、牛三昧。その様子をInstagramYouTubeで発信中。著書に『肉バカ。No Meat, No Life.を実践する男が語る和牛の至福』(集英社刊)。公式ブログ「No Meat, No Life.」。

絶品ホルモンを求めて“サザエさん”で著名な桜新町へ

赤い暖簾を目印に、半地下を下りると店に到着。「我がホルモンに一点の曇りもなし」の格言が、目に飛び込んでくる

桜新町といえば“サザエさん”ゆかりの地。作者である長谷川町子さんが生前暮らしていた街で、美術館もあり、駅周辺では磯野家のモニュメントに出会える、楽しい雰囲気が漂う。世田谷区らしい閑静な住宅街へとつながる、通称“サザエさん通り”に、今回の目的地がある。

テーブル席よりカウンター席が多い、厨房まで細長く続く店内レイアウト。日常に、カジュアルに楽しむのに最適

開店して8年目を迎える「もつ山」は、鮮度の高い上質な内臓ホルモンを中心に扱う焼肉店。人気を博する用賀の焼肉店「Hodori」の系列店であり、間違いない仕入れルートを持つのが最大の魅力であり強み。長いカウンター席には7台コンロが置かれ、おひとり様で訪れる常連や女性客も多いそう。

 

小池さん

僕は「Hodori」には昔からよく行っているのですが、こちらは系列店で気になっていて、仕入れ先である神谷商店のご主人から、一番いい状態のものを卸していると聞きつけ、すぐに伺ったのがきっかけです。牛だけじゃなく豚も扱っていて、毎日新鮮なホルモンが届きます。コブクロが大好物なので、期待を膨らませて足を運びました。

ホルモンの魅力を開拓できる場所でありたい

店長・鈴木航海さんは35歳

肉好きが高じて18歳から「Hodori」に勤務する店長の鈴木さんは、内臓をメインに取り扱うスペシャリスト。毎日昼間に丁寧な仕込みを行うのがルーティンだが、どんな最高な状態のホルモンが入荷されるのか、その肉の顔つきや表情を見つめて、最高の状態に手解きするのがホルモン屋の醍醐味だと語る。「ホルモンは好みが分かれる部位でもあるし、抵抗ある人や知らない人に、もっとホルモン焼肉の素晴らしさを知ってもらいたい。食べた時においしい!と魅力に気づいて欲しい」と願う。

 

小池さん

いい肉を仕入れただけで満足する店も多い中、鈴木さんの肉の扱い方、切り方、味付け、トータルで素材のポテンシャルを最大限に高める、仕込みの技術は圧巻! 頬張った時の噛み切りやすさ、食べやすさなど、すべて計算されていて感動します。