【THEご褒美スイーツ 〜知っておきたい通な店〜】

「食事と同じくらい、むしろそれ以上にデザートやスイーツにも絶対手を抜きたくない!」と、日々おいしいスイーツを探し求めるスイーツガチ勢の皆さんにお届けする本連載。スイーツの歴史研究のみならず、製菓にも精通するお菓子の歴史研究家・猫井登さんが「これを食べるために出かける価値あり!」と太鼓判を押す、ご褒美スイーツを紹介します。

〈第10回〉「ジャン=シャルル・ロシュー 東京」

バレンタインシーズンのこの時期におすすめしたいのが、青山にあるチョコレートショップ「JEAN-CHARLES ROCHOUX Chocolatier TOKYO(ジャン=シャルル・ロシュー ショコラティエ 東京)」だ。

表参道駅から徒歩約10分、南青山の骨董通りから細い路地を入った静かな場所に佇む隠れ家的なブティック。アーティスティックで美しい空間が広がる店内に入ると、いきなりチョコレートのワニがお出迎え。照明を抑えた店内中央には、ブランドモチーフであるクロコダイルの型押しをデザインしたシルバーのショーケースがロの字形に配置されている。

ジャン=シャルル・ロシュー氏は、フランス・リシュリュー生まれのショコラティエ。パリの有名レストラン「ギー・サヴォワ」などを経て、有名なチョコレート店「ミッシェル・ショーダン」に長年在籍。2004年に独立、パリ6区に自身の名を冠したブティック「JEAN-CHARLES ROCHOUX Chocolatier Paris」をオープン。 その後、日本にも進出し、2018年1月18日にこちらのお店をオープンした。

氏の代名詞ともなっているのが「カルーセルショコラ」だ。カルーセルとは、フランス語でメリーゴーランドの意味。厚い円盤状のチョコレートをレコードプレーヤーのような装置にはめ込み、金属製のレバーをメリーゴーランドのように回転させながら、チョコレートの表面を花びらのように極薄に削って食すというもの。

カルーセル ショコラ「ビター&ホワイト(200g)」

実はこれ「テット・ド・モワンヌ(僧侶の頭)」という名のチーズを削る装置「ジロール」と同じ原理。口の中でふわっと溶けるショコラの独特の食感を堪能できるということで、人気の商品となっている。

カルーセルショコラの種類は、写真の「ビター&ホワイト(200g)」2,916円のほか、ショウガ・シナモン・ナツメグ・チョウジを使用した「ミルク&スパイス(200g)」2,808円、パッションフルーツとホワイトチョコレートの「パッションフルーツ(200g)」2,916円などがある。 ※カルーセルマシンは、別売りで5,500円。

そんな「ジャン=シャルル・ロシュー 東京」で特におすすめしたい3品がこちら。

【ご褒美スイーツその①】「フルーツタブレット」

「フルーツタブレット イチゴ」

今、お店で大行列の人気商品となっているのが、毎週土曜日限定販売の「フルーツタブレット」だ。新鮮なフルーツをそのままチョコレートの中に封じ込めた商品で、今回紹介するのは「あまりん」という品種のイチゴを入れた「フルーツタブレット イチゴ」3,888円。

タブレットを割ったときに見える、フレッシュなイチゴの断面が印象的だ。上掛けされたチョコレートは完璧にテンパリングされており、パリッと軽やか。中のイチゴはみずみずしく、新鮮そのもの。あまりんは、甘みは強く、酸味は少なく、チョコレートにも負けない濃い味わいを持ったイチゴで、単なるチョコ掛けのイチゴではなく、イチゴのうまみとチョコレートのコクや苦みが融合した、異次元のスイーツに高められている。

フルーツタブレットは、季節ごとに旬の果物を入れて作られ、シャインマスカットや富有柿等のバージョンもあるが、こちらの「あまりん」バージョンが一番人気だという。販売時期は現状、3月頃までの予定(果物の状態により変更の可能性有)。

気になるのは販売個数だが、入荷したイチゴのうち状態の良いものだけを選別して使うので、20〜50個と日によって異なり、早めに並んだ方が良さそうだ(取材した土曜日も、開店前より10人以上の行列があった)。

【ご褒美スイーツその②】「アソートボックス」

ボンボンショコラについては、従来は個別販売も行っていたが、今は箱入りのアソートのみの販売となっている。 ショコラは、前述のフルーツタブレットを除いてすべてフランスからの直輸入なので輸入状況にもよるが、約50種以上のボンボンショコラがラインアップされている。

バレンタインの時期を意識したアソートとしては「アムール〜愛〜」10個入り 4,752円/11個入り 5,109円、「コフレ〜宝石箱〜」10個入り 4,752円/11個入り 5,109円があり、今回は「アムール」10個入りの味わいを詳しくご紹介!

写真左上から下へ順に、

・MEDAN(メダン)……ラム酒とキャラメルレーズンのビターガナッシュ 

・CITA LAIT(シタレ)……4種のスパイス(ショウガ、シナモン、ナツメグ、チョウジ)+プラリネミルク

・MAMOUROS(マモラス) ……山々の蜂蜜のビターショコラ

・SAPIN(サパン)……モミとプラリネのビターショコラ

・TRINITE(トリニテ)……カシスのビターショコラ

・PETROUCHKA(ペトローシュカ) ……紅茶(シトラス)のビターショコラ

・RICHELIEU LAIT(リシュシュレ)……レモンとヌガティーヌのプラリネミルク

・BALSA(バルサ)……ビターショコラ

・TOBAGO(トバゴ)……クルミとプラリネのビターショコラ

・MACAS NOIR(マッカスノアール)……ヌガティーヌアーモンドでコーティングしたプラリネビター

カシス、レモンといった「フルーツ系」から、クルミ、アーモンドといった「ナッツ系」、4種のスパイスやモミといったちょっと「珍しい系」まで、バランスよく詰め合わされていて、さまざまな味わいを楽しめるアソートとなっている。

【ご褒美スイーツその③】「シャテーニュ」

「シャテーニュ」

最後におすすめしたいのが「シャテーニュ」1,901円だ。フランス語で「栗」の意味。アクセサリーが入っていそうな箱を開けると、大粒の栗の形をしたチョコレートがコロンと1つ入っている。

フランス高級栗の名産地・アルディッシュ産の栗をたっぷり使用したマロンペーストとミルクショコラを混ぜ合わせて作ったなめらかなムースをウイスキーで香り付けし、外側をパリッとしたビターチョコレート(座と呼ばれる栗の底の部分はミルクチョコレート)でコーティングしたものだ。 濃厚な栗の味わいに、ちょっとビターなチョコと洋酒の香りが漂い、まさに大人の味わい! 栗好きにはたまらない逸品となっている。

このほかにも店頭には、魅力的な「タブレット」「トリュフ(生チョコ)」「オランジェット」などの定番商品も多数そろえられている。

※価格はすべて税込

撮影:外山温子

文:猫井登、食べログマガジン編集部