【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#115】「ぽるこネ。」

面白いお店を見つけました。最初にわかりやすく説明すると「イタリアンとインネパの融合」です。

インネパというのは、ネパール人シェフの手によって日本人向けにアレンジされたインド料理風のメニューをメインに、アジア各国の料理を出すお店の総称で、カレーマニアの間で「インドネパール」を略して「インネパ」と呼ばれるようになったという経緯があります。日本に存在するインド料理店に見える店の多くは本格インド料理ではなく、実はインネパ店だったりします。

そんなこともあってインド料理原理主義者には敬遠されることも多いインネパなのですが、中には非常に面白い個性的な料理を出し、味のレベルが高いお店も少なくありません。というわけでむしろハードコアなカレーマニアの中にはインネパ店巡りを好んでする方も少なからず存在し、かく言う僕もその一人です。

そんな僕が久々に気に入ったインネパ系のお店が「ぽるこネ。」なのです。

そもそもこのお店がスタートした経緯からして実に面白いのです。こちらは五反田にある豚料理に力を入れたイタリアン「ぽるこ」の姉妹店。ぽるこのスタッフがまかない用にと旦那さんの作る料理をお店に持っていったところ、オーナーがそれをいたく気に入り、その旦那さんをシェフに迎えて新たなお店を出そうとできたというもの。オーナーは、料理のおいしさもさることながらネパール人の優しい人柄にも感銘を受け、日本に来た意味を持ってもらいたくてお店を開いたと語ってくれました。

昼にはネパール名物ダルバートをはじめさまざまな定食。夜はタンドール料理やオリジナル料理、〆に日替わりのカレーもあります。

お通しのナン

ディナータイムに行ったのですが最初にお通しとしてナンが出てきてびっくり。食べてみるとインネパ店によく見られる甘味が強いナンとは別物の、軽やかかつもっちり感もある絶妙なナンで期待が一気に膨らみました。

「海老とブロッコリーのサンボル」

最初に前菜として「海老とブロッコリーのサンボル」800円を。マヨネーズソースであえた海老とブロッコリーにココナッツファインがあしらわれ、これによって一気にアジア感が高まるという仕上がり。この柔軟なアイディアとセンスの良さに感心。

「ぽるこネ。煮込み」

店名を冠した「ぽるこネ。煮込み」800円はラム肉と野菜をトマト煮込みにしたもの。こちらもアジア料理感と西洋料理感どちらも感じる仕上がりで、こちらのお店のスタンスを感じるものでした。

タンドール料理で何か面白いものはないかとメニューを見ればサルシッチャ(イタリアのソーセージ)のタンドールがあるじゃないですか。しかもタレッジョ(イタリアのウォッシュタイプチーズ)のソースがかかるという。これは面白いということで「自家製サルシッチャの芳醇タレッジョソース」1,200円を。

「自家製サルシッチャの芳醇タレッジョソース」

出てきたものを見て笑みがこぼれました。シークケバブにチーズソースがかかった、いわゆるチーズケバブなのです。しかし言われてみればシークケバブはサルシッチャと遠くない料理であり、ソースもタレッジョ特有のクセは中和されて食べやすく、味自体は間違いなく良いものであり、この仕上がりにも楽しさを味わうことができました。

「本日のカレーライス」

〆に「本日のカレーライス」800円を頼むと、2人で1人前を頼んだ僕らを見て最初からハーフサイズを2つ出してくれるというありがたい心遣い。

カレーはチキンとマッシュルーム。これもインネパ的カレーに洋食的感覚がミックスされたものであり、こちらのシェフの味付けセンスの良さを感じる仕上がりでした。ご飯もカルダモンと炊いたバスマティライスであり、カレーライスとして十分においしいもの。

デザートに頼んだ「チャイノコッタ」300円は、チャイのパンナコッタなのですがこのネーミングセンスが素晴らしく、食べてみれば味も素晴らしいという。

インネパ店はありふれているとも言える程各地に多数存在していますが、その中でこのようなスタイルのお店は希有。そして希有なスタイルのインネパ店って実は当たりのお店である確率が高いのです。カレー好きな方、インネパと敬遠せずに色々と食べ歩いてみてください。手始めにここからいかがでしょうか?

※価格はすべて税込

写真・取材:カレーおじさん\(^o^)/

文:カレーおじさん\(^o^)/、食べログマガジン編集部