【カレーおじさん\(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2022年12月を振り返る

2022年最後の「今月のカレーとスパイス」。2022年も沢山のお店をご紹介してきましたが、最後の月を飾るのに相応しい幅の広さとなりました。

  1. 幼少期からビリヤニを食べて育った日本人シェフによるビリヤニ専門店
  2. 名店で研鑽を積んできたシェフのミールスとおつまみインド料理店
  3. アーユルヴェーダの思想を取り入れた心身ともに癒やされるおしゃれなお店
  4. 第二のネパール料理激戦区大塚で誕生したお酒が進むネパール料理店
  5. カレー好きなら誰もが知る名店が手がけたワインとユーラシア料理のお店

以上5店舗です。

僕は17年毎日カレーを食べ続けています。「毎日カレーを食べていて飽きないの?」とよく聞かれるわけですが、全く飽きることがなくこの年月が経ったのには理由があるのです。カレーとそれに付随するスパイス料理の世界は本当に広くて深い。たった17年程度ではまるで足りないのです。2023年も毎日カレーを食べ続け、その中で発見した素敵なお店をご紹介していきたいと思っております。

【第1週のカレーとスパイス】日常的に食べられる優しい味。「流しのビリヤニ」待望の独立店舗がオープン!「流しのビリヤニ STAND」

「流しのビリヤニ」として、様々な飲食店へ出向いてコラボ的にビリヤニを提供してきたシェフが日本橋本町に独立店舗を構えました。

駅名で言えば小伝馬町が最寄りですが、新日本橋や三越前、神田からも徒歩圏内と言えるでしょう。店名は「流しのビリヤニ STAND」。おにぎり専門店が1階にあるビルの2階に2022年11月、オープンしたばかりです。

店内はこぢんまりとしつつも雰囲気のあるバーのような空間。ランチはビリヤニ、夜はビリヤニのみならず小皿料理もあり、お酒も個性的なものが充実しています。

まずはランチに訪問。メニューは基本的に週替わりのワンメニューで、この週は「チキンビリヤニとライタ」1,200円でした。ビリヤニはふわふわでエアリーな米が印象的。チキンのスパイス感も良く、サラッとしたライタ(ヨーグルトサラダ)も合います。

「チキンビリヤニとライタ」

シェフは日本人なのですが現地料理感ある本格的なおいしさであり、どこでこのビリヤニを習得したのか聞いてみると、シェフの親戚にパキスタン人と結婚したおばさんがいて、幼少期からパキスタンの現地式ビリヤニを食べる機会があって大好物だったそうです。そのおばさん直伝のレシピなのだそう。つまり、現地の方が家庭で食べるビリヤニのレシピ。

日本でもパキスタン料理店は増えてきており、そんなお店でビリヤニをいただくともっとパンチがあってガツンとくるものが多いのですが、それはレストランの味だからこそ。家庭料理としてのビリヤニはもっとライトで、だからこそ日常的に食べられるテイストである場合も少なくないのでしょう。こちらのビリヤニはそれを思わせるようなビリヤニです。

また、パキスタン料理店やインド料理店だと1人前とは思えない程の大量なビリヤニが出てくることも少なくないですが、こちらは程よく1人前というのも良いです。こういうニーズ、確実にありますから。

気に入って後日、今度は夜に訪問してみると、この日のメニューは「マトンビリヤニ」1,500円。

「マトンビリヤニ」

他にも小皿料理があったのでその中から「ひよこ豆のスパイスサラダ」400円を注文。コリアンダーシードが爽やかに弾けるサラダであり、前菜としても、ビリヤニと一緒に食べる副菜としても機能するものでした。

「ひよこ豆のスパイスサラダ」

メインのマトンビリヤニはライタのみならず紫玉ねぎとレモンも付いてきて現地感がさらに高まります。骨つきマトンがゴロッと入ったビリヤニはやはりふわっとエアリー。マトンのパンチがあるので以前食べたチキンよりは濃厚さを感じますが、それでも重くはないのが面白いです。ライタと紫玉ねぎをのせ、レモンを搾って食べれば爽やかさも増します。

とにかく米のフワフワ感が印象的で、シェフにお米について聞いてみると特に一つの銘柄にこだわらず、使う食材によって合う米を変えているんだそうです。今回のマトンとチキンに関してはたまたま同じお米だったようですが、他のパターンだとどうなるかも気になります。ビリヤニワンメニューでも通い甲斐があるということです。

ディナーメニュー

流しのビリヤニとしての活動は今後も続けつつ、拠点となるこちらの店舗では、ランチメインの営業を基本とし、週末の夜にはスパイスに合うお酒と軽いビリヤニや小皿料理、時には豪華な材料や高級なスパイスを使ったスペシャルなビリヤニを出すことも考えているとのこと。今回いただいたチキンとマトンはどちらもオーセンティックなものでしたが、創作系ビリヤニのレシピもあるということで、今後の動きにも注目していくべきお店だと言えるでしょう。

ビリヤニ好き、お米好きは要チェックです!

【第2週のカレーとスパイス】穴場のうちに行っておきたい! 数々のカレーの名店で研鑽を積んだシェフが独立店をオープン「Spice Bar モンカリー」

「エリックサウス」「アチャカナ」「アジャンタ」といえばどれもカレー好きなら誰もが知る名店。そんな名だたるお店で働いてきた経歴を持ち、特にアチャカナではその場所で間借りカレー営業もされていた方が、大久保でお店を開きました。平常時であればすぐに人気店となりそうなところですが、やはりまだまだコロナ禍の影響はあり、スタートダッシュを切れずにいるというもったいなさを感じる良いお店です。その名は「Spice Bar モンカリー」。

大久保駅からも西武新宿駅からも近いものの、大通りから一本裏に入った場所にあるのでここに行く目的で地図を見ながら行かないと気づかないかもしれません。ということはつまり、隠れ家感もあるということ。店内の灯りが温かくもれ出すファサードには手書き字体の「Spice Bar モンカリー」の文字。シンプルで趣があります。

スパイスバーということですがメインはミールス。実は間借り時代は「モンミールス」という屋号で営業していたのですが、独立と共にもっと気軽に入れるようにミールスからカリーに変えたそうです。確かにミールスと言ってもカレーマニアならすぐわかるもののカレーに特に興味がない方には馴染みのない言葉でしょうから。

「モンカリープレート」

看板メニューの「モンカリープレート」1,650円はまさしくミールス。念のためミールスを説明しておくと、南インドの定食で、様々なカレーをご飯にかけて混ぜながら食べていくものです。モンカリープレートはベジとノンベジのカレーが日替わりで、その他にサンバルやラッサムなどミールス定番のカトゥーリ(小皿)が付きます。

この日のカレーはノンベジがチキンウプカリー、ベジが春菊のダルでした。チキンはウプ(塩という意味)の名の通りしっかりと塩味が感じられながらしょっぱいの手前でちょうどよく止めた味付けのわかりやすいおいしさ。春菊ダルは春菊のほろ苦さがスパイスのような役割を果たし、優しさの中に個性を感じる味わい。

サンバルは優しく、ラッサムは攻めていて、カレーによって尖らせ方がそれぞれ違うので単体で食べて良し、混ぜて食べて良しのナイスミールス。ミールスを食べたことのない人でもわかりやすさがあるのが良いです。

「チャイ」

食後に「チャイ」550円もいただいたのですが、こちらもモンカリーのミールスに合うテイスト。確かに甘いのですが、甘すぎないというチャイ。どちらも味が強めでありながら強すぎず、その塩梅の決め方がこちらのお店の特徴だと言えるでしょう。

「ブナチキン」

スパイスバーの名の通り、夜はおつまみとお酒という楽しみ方も可能。「ブナチキン」550円は手羽先のおつまみ仕様。濃厚な味でお酒がすすみます。

「たまごのアチャール」

「たまごのアチャール」275円は絶妙な火入れでとろっとろの黄身が幸せな気持ちにさせてくれます。これはミールスのトッピングとしても機能しそう。

「カリフラワーのサブジ」

メニューには無かったのですが「他にもおつまみできますよ」と声をかけてくれ、ミールスの中にあったサブジを頼むと「カリフラワーのサブジ」220円も出してくれたりとサービスも良いです。

人気店に引けを取らないおいしさの料理でありながら、まだまだ空いていることも多い穴場店。一人カウンターでミールス、あるいはお酒とインド料理のおつまみを楽しむも良し、テーブル席で仲間達と料理を楽しむも良し。認知度さえ高まれば人気店となるポテンシャルを大いに秘めたお店です。

気になった方は穴場なうちに是非一度行ってみてください。