ランチはキムチチャーハン、夜はプルコギコースも◎!「KABUN NO KIMUCHA」

シャキシャキと歯切れ良い白菜を甘辛味も絶妙なヤンニョンで和えた甘辛味も絶妙なコッチョリこと「浅漬けキムチ」、サクサクの食感がクセになるガツや鉄分の濃い肉味と脂の甘みの双方を楽しめる脂ハツなどレアなおいしさが魅力のホルモン類に、上質な肉と適正価格で人気を集めた赤坂のホルモン焼肉店「かぶん」。コロナ禍で赤坂の本店を一時閉めた後、2022年8月、「KABUN-AZABUJUBAN」として見事に復活したことはまだ記憶に新しい。

その「KABUN」の新業態が、この3月8日、赤坂の裏路地にオープンした。その名も、「KABUN NO KIMUCHA」。KIMUCHAとは「KABUN」名物“キムチチャーハン”の略。そう、同店は、店名通り“キムチチャーハン”に特化したカジュアル店だ。

店主の李久和さん

ご主人の李久和さんがこう語る。「11年前、赤坂にオープンして以来、おかげさまでキムチチャーハンはすっかりうちの名物として定着しました。これを目当てにお見えになるお客様も多くて、ならば、キムチチャーハンの専門店を作ってみようかと、当初は考えていたんです。牛丼屋みたいにね」

だが、いざ店舗を探してみると、見つかったのは想定外の広さの物件だったそうで、それなら「夜は、韓国の一品料理を楽しめる韓国居酒屋にしてしまおう」ということになり、誕生したのがこの店だ。

一見、ハンバーガーショップを思わせるポップな外観に驚きながら中に入れば、36席ある店内はざっくばらんな雰囲気。カウンター席もあり、ふらりと1人で訪れても、大人数で押しかけても対応可能なフレキシブルさ、そして、スタッフらのフレンドリーなサービスも「KABUN」と変わらない。

おすすめはもちろんキムチチャーハンだが、それだけで済ませるのは如何にももったいない。「名物浅漬けキムチ」からチヂミ各種に「サムギョプサル」や「カムジャタン」(豚の背骨とじゃがいもの鍋)などの鍋類まで「KABUN」には無い魅力的なメニューが目白押しなのだから。中でも、タンシタを塊のまま約6時間余りじっくりと煮込んだ「茹でタン」890円は、筆者自身がリピートしたいと思った逸品。

「茹でタン」

ただ茹でただけの肉なのだが、その茹で加減が実に巧妙。柔らかでいながらも、心地よい弾力があり、茹で肉にありがちなパサつき感が全く無い。噛むほどに、タンの風味と旨味が滲み出てくる。塩だけで充分いけるが、自家製の浅葱キムチや切り干し大根のキムチと共に頬張れば、お酒がすすむこと請け合いだ(筆者の場合ご飯だが)。

李さんによれば「丸々一本で仕入れるタンのうち、タンモトやタンナカなど焼肉で出す部位以外のタンシタのところを使っています」とのことで「KABUN NO 牛すじの煮込み」690円も然り。今風に言うなら、さしずめサステナブルメニューといったところだろう。とはいえ、良心価格はこれらだけではない。

「プルコギ」

例えば、おすすめの「プルコギ」。コースは、1人前5,500円(注文は2人前から)だが、その内容が濃い! 水キムチや浅漬けキムチにはじまり、チャプチェに骨なし手羽先揚げ、プリプリの海老がのった海鮮チヂミもあれば、韓国の蒸したまご料理のケランチムやテンジャンチゲが次から次へと登場。これらおなじみの韓国おかずがついて、全9品という充実ぶりだ。

一皿ごとのボリュームもしっかりとあり、少食な方ならメインのプルコギが出てくる前に満腹になってしまいそうなほど。しかも、品数ばかりではなく、それぞれがきちんと満足のいく味に仕上がっているのだ。中でも「ケランチム」は、焼きたてふわふわのスフレ感と茶碗蒸しのような滑らかさが共存する佳品。アツアツのうちに平らげたい。

そして、いよいよ真打ちのプルコギが登場。李さんが選んだ部位は黒毛和牛のブリスケ。三角バラの下側の胸の筋肉で、肉質は硬めながら肉味は濃く、噛み締めるほどに旨味がしっかりと舌に伝わる。通好みの部位だ。醤油と砂糖とみりん、ニンニク、ショウガをあわせた「焼肉KABUN」の揉みタレに味噌を合わせたタレで味付けした肉は、タレに負けぬ力強い味わいが印象的。シャキシャキとした芹の清涼感ある歯応えとも好相性だ。思わず白飯が欲しくなるが、お腹に余裕があるなら、ここは、やはり名物のキムチチャーハンで締めたいところ。

かぶん名物「キムチチャーハン」1,000円

半熟とろとろの卵焼きをのせたオムライス風のビジュアルも愛らしいそれは、牛脂で炒めればこその甘みとコク、そして自家製タデギが味の決め手だ。トッピングのコチジャンマヨネーズ(自家製オリジナル)もいい味を出している。

ちなみにランチタイムは、このキムチチャーハンが主役。思いっきり食べたい方は昼時が狙い目だ。

「生 虎マッコリ」3,000円(ボトル)

韓国居酒屋というだけに、ビールやビールのカクテルを始め、ハイボール、サワーに焼酎等々酒類も豊富。もちろんマッコリもいろいろ。一度試してみたいのは、高麗時代からの伝統の手法を守り、添加を一切加えず米だけを原料として作る「生 虎マッコリ」。爽やかな酸味とすっきりした喉越しが後を引く、幻のマッコリだ。

※価格はすべて税込

撮影:外山温子

取材:森脇慶子

文:森脇慶子、食べログマガジン編集部